ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲

2019年6月9日

まずはダイジェストで!

朝もやに包まれたかのような幻想的な夜明けの風景を弦楽器が壮大に描きます。

木管楽器の動きは大変精緻でスコア(総譜)はまるで幾何学模様のようです。

まずは「夜明け」の部分をダイジェストで聴いてみましょう。

サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

作曲の背景

「ダフニスとクロエ」はフランスの作曲家、モーリス・ラヴェルが作曲したバレエ音楽。

バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の主宰者セルゲイ・ディアギレフの依頼を受けて作曲された作品で、バレエの台本は3世紀ごろのギリシアの作家ロンゴスの作とされる物語が元となっています。

全3場からなるバレエのあらすじはおおよそ次のような感じです。

第1場
羊飼いの少女クロエに牛飼いのドルコンが言い寄ると山羊飼いのダフニスは嫉妬します。ダフニスとドルコンは舞踏で勝負することになりダフニスは勝利します。
しかし、その後に海賊が襲来しクロエはさらわれてしまいます。
絶望のあまり倒れるダフニスに3人のニンフ(ギリシア神話の精霊)が現れて蘇生させます。
ニンフはダフニスをパンの神に祈らせるとパンの神(ギリシア神話の神)が姿を現わします。

第2場
海賊の首領の前に連れて来られたクロエは踊るように命ぜられます。
クロエは踊りながら脱出の機会をうかがいますが失敗します。
海賊の首領の手にかかるかと言うあわやのところで、パンの神の巨大な幻影が現れると海賊たちはたちまち逃げ去ります。

第3場の物語はこの後紹介する「第2組曲」の内容と重なりますので、そちらでご紹介したいと思います。

ラヴェルはこの作品の作曲にかなり苦心したようで、バレエ音楽全体の完成前にまず第1場から第2場にかけての物語から独立した管弦楽曲として「第1組曲」を完成させて1911年に初演しています。

バレエ作品としての完成と初演は翌1912年のことで興味深いことに、この公演期間中にはドビュッシーの代表作「牧神の午後への前奏曲」にバレエの振り付けを行った作品が「牧神の午後」として上演されています。

同じギリシア神話をモチーフとした作品ですが、皮肉なことに「牧神の午後」の演出で行われた性的な表現がスキャンダラスな話題となったこともあり、「ダフニスとクロエ」の影は薄くなってしまったようです。

ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」の記事はこちら

ラヴェルは翌1913年、第3場の音楽を抜き出して「第2組曲」として出版します。
この「第2組曲」はラヴェルの管弦楽作品の中でも傑作の呼び声が高く、演奏の機会も多い作品です。

楽曲解説

「夜明け」
祭壇の前で「夜明け」の音楽が流れダフニスとクロエは感動的に再開します。
老羊飼いがパンの神はかつて愛したシリンクスの思い出のためにクロエを助けたのだと教えます。

岩肌から流れ落ちる露が集まってできた小川のせせらぎの他、何も聞こえない。ダフニスはまだニンフの洞窟の前に横たわっている。

引用:ウィキペディア

これはスコア(総譜)に書かれた説明書きです。木管楽器は大変細かい音型を演奏していて幻想的な雰囲気を演出しています。

弦楽器の旋律も神秘的で徐々に高まりながら壮大な音楽に発展していきます。

空が白みはじめるとヴァイオリン、フルートとピッコロによる鳥の声が聴こえてきます。

「無言劇」(5:47)
オーボエとコーラングレが新しい旋律を奏でるとダフニスとクロエがパンの神とシリンクスの物語を「無言劇」で演じます。

フルートの長いソロ(8:05)は大変幻想的で美しくとても有名な部分です。

この部分はクロエの踊りで表現され、やがてフルートからアルトフルート、ピッコロとフルート属の幅広い音域を駆け回るとクロエは大きく身体をひねり、ダフニスの腕の中に落ちていきます。

「全員の踊り」(12:18)
祭壇の前で愛を誓い抱擁する二人に若者たちが熱狂的な踊りでパンの神とニンフを讃えます。

クラリネットの躍動的な動きにトランペットが加わり激しさを増していきます。

本来はここに歌詞を持たない合唱が加わりますが、次の動画では省略した版が使用されています。

全曲版を聴いてみよう!

ラハフ・シャニ指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

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