ラヴェル「ラ・ヴァルス」【解説と名盤、無料楽譜】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
徐々に大きくなるワルツのリズムの乗ってオーケストラが豪華絢爛な音絵巻を描きます。
まずはクライマックスの部分をダイジェストで聴いてみましょう。
サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ラヴェル「ラ・ヴァルス」解説
管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」(仏:La Valse, Poème choréographique pour orchestre )はフランスの作曲家、モーリス・ラヴェルが1920年に書き上げた管弦楽曲です。
作曲者自身によってピアノ2台のためや独奏ピアノのためにも編曲されています。
1914年、第一次世界大戦が勃発するとフランスもすぐにこれに参戦、ラヴェルも翌1915年3月にはトラック輸送兵として召集されます。
兵役に就く中、体調を崩すラヴェルに追い討ちをかけるように1917年1月、最愛の母がこの世を去ります。
第一次世界大戦でフランスを含む連合国とドイツとの間で休戦協定が結ばれたのは1918年11月のことでした。
心身ともにダメージを受けたラヴェルの創作意欲は極端に衰えたようで、1917年11月に以前より取り組んでいたピアノのための組曲「クープランの墓」を完成させたのを除いてはしばらくの間新たな作品を手がけることはありませんでした。
そんなラヴェルが久しぶりに取り組んだ作品が、今回ご紹介する「ラ・ヴァルス」です。
作曲のきっかけはバレエ・リュスの主宰者でロシアの芸術プロデューサーであるセルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)が1917年にバレエ音楽を依頼したことですが、先ほど述べた経緯などから1919年の暮れにようやく作曲に着手され、翌1920年の3月に完成しました。
ディアギレフの前で行われた2台のピアノによる試演の場にはストラヴィンスキーやプーランクも居合わせたそうで、プーランクの証言によれば演奏を聴き終わったディアギレフは、「ラ・ヴァルス」が傑作であることは認めつつも、バレエには不向きな「バレエの肖像画、バレエの絵」であるとして、受け取りを拒否し、それ以来ラヴェルとディアギレフは不仲となったそうです。
タイトルの「ラ・ヴァルス(仏:La Valse)」は英語にすると「ザ・ワルツ」と言うことになります。
ウィンナ・ワルツが隆盛を極めたのはシュトラウス親子が活躍した19世紀のウィーン、特にヨハン・シュトラウス1世の息子、ヨハン・シュトラウス2世はウィンナ・ワルツの黄金時代を築き、他の作曲家たちにも大きな影響を与えました。
「ワルツの世紀」とも呼ばれた19世紀でしたが、その舞台となった宮廷や王侯貴族を中心とした舞踏会は民主主義の広がりと共にその場をなくしていくことになります。
そして「ワルツの世紀」の主役でもあったヨハン・シュトラウス2世はまるでその世紀の幕を引くかのように1899年にこの世を去ります。
ラヴェルの「ラ・ヴァルス」は先ほどご紹介したようにバレエを念頭に置いて書かれた作品で、舞踏会で踊るための作品ではありませんが、ラヴェルが19世紀の華やかな舞踏会に想いを巡らせ作曲した作品と言えるでしょう。
ラヴェルは初版に際し、次のような言葉を添えています。
渦巻く雲の中から、ワルツを踊る男女がかすかに浮かび上がって来よう。雲が次第に晴れ上がる。と、A部において、渦巻く群集で埋め尽くされたダンス会場が現れ、その光景が少しずつ描かれていく。B部のフォルティッシモでシャンデリアの光がさんざめく。1855年ごろのオーストリア宮廷が舞台である。
引用:「ラ・ヴァルス」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラヴェル「ラ・ヴァルス」youtube動画
ラヴェル「ラ・ヴァルス」
パブロ・エラス=カサド指揮 hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
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ラヴェル「ラ・ヴァルス」ピアノ版
独奏ピアノと2台のピアノのために編曲された版の演奏動画もご紹介したいと思います。
豪華絢爛な音絵巻が繰り広げられる管弦楽版に比べ、繊細で瀟洒な雰囲気が素敵な作品です。
こちらもぜひ聴いてみてください。
ラヴェル「ラ・ヴァルス」(独奏ピアノ版)
ピアノ:ティファニー・プーン(Tiffany Poon)
第15回ルービンシュタイン国際ピアノコンクール(2017)
ラヴェル「ラ・ヴァルス」(2台のピアノ版)
ピアノ:アリス=紗良オット、フランチェスコ・トリスターノ
「スキャンダル~2台ピアノ作品集」収録曲
【収録情報】
ストラヴィンスキー:春の祭典(作曲者による2台ピアノ版)
リムスキー=コルサコフ:シェエラザードより『カランダール王子の物語』(作曲者による2台ピアノ版)
ラヴェル:ラ・ヴァルス(L.ガーバンによる2台ピアノ版)
トリスターノ:ア・ソフト・シェル・グルーヴ
録音時期:2013年9月
ラヴェル「ラ・ヴァルス」無料楽譜
リンク先から無料楽譜をダウンロード出来ます。ご利用方法がわからない方は下記の記事を参考にしてください。
ラヴェル「ラ・ヴァルス」名盤
管理人おすすめの名盤はこちら!
【収録曲】
ラヴェル作曲
ボレロ
道化師の朝の歌
スペイン狂詩曲
ラ・ヴァルス
シャルル・デュトワ指揮
モントリオール交響楽団
録音時期:1981年7月
デュトワとモントリオール交響楽団によって紡ぎだされる美しく洗練された演奏が印象的です。
「フランスのオーケストラよりフランス的なオーケストラ」と絶賛されたデュトワとモントリオール交響楽団が次々と名録音を遺した1980年代の作品で、カップリングのラヴェルの管弦楽曲も魅力的なアルバムです。
いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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