ストラヴィンスキー「火の鳥」【あらすじと解説】

2020年9月16日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

弦楽器が紡ぐ美しい調べがオーケストラに引き継がれ徐々に高揚すると金管楽器がドラマティックにクライマックスへと導きます。

まずは終曲をダイジェストで聴いてみましょう。

ヴァレリー・ゲルギエフ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ヴァレリー・ゲルギエフ(ワレリー・ゲルギエフ)さんは1953年生まれ、ロシア出身の指揮者です。

マリインスキー劇場(旧キーロフ劇場)でデビューし、1988年には音楽監督、1996年には芸術総監督に就任し、ソ連崩壊の混乱期を乗り越え世界有数の劇場に育て上げました。

とても短い指揮棒を使用するか、指揮棒なしで大変特徴的な指揮をする世界で活躍される指揮者です。

作曲の背景

バレエ音楽「火の鳥」はロシアの作曲家、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)が1910年に書き上げたバレエのための音楽です。

作品はロシアの芸術プロデューサーでこの翌年に高名なバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)を創設するセルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)の依頼によるものです。

物語の台本はロシアの民話を組み合わせたもので、振付師のミハイル・フォーキン(1880-1942)が担当しています。

この年28歳になるストラヴィンスキーはまだまだ駆け出しの作曲家で、この作品も幾人かの作曲家への作曲依頼がうまくいかず、最終的に新進のストラヴィンスキーに白羽の矢が立ったという経緯があります。

当時のストラヴィンスキーとしてはかなりの大役と言わざるを得ませんが、結局この作品を大成功に導いたストラヴィンスキーはこれをきっかけとして「ペトルーシュカ」「春の祭典」と言う大作をディアギレフとそのバレエ団のために作曲していくことになります。


次の項ではこのバレエの簡単なあらすじをご紹介したいと思います。

バレエ「火の鳥」あらすじ

イワン王子は、火の鳥を追っているうちに魔王カスチェイの魔法の庭園に迷いこみます。

魔法の庭園にある黄金の林檎を食べに来た火の鳥を木陰に身を潜めたイワン王子が捕らえます。

哀願する火の鳥を逃がしてやるイワン王子は、火の鳥から魔法の羽根を手に入れます。

そこに現れたのは魔法にかけられた13人の王女たち。黄金の林檎を手に戯れ踊りだします。

物陰からその様子を見ていたイワン王子はその中でもひときわ美しいツァレヴナ王女に魅かれて姿を現します。

しかし彼女たちは魔王カスチェイの魔法によって囚われの身となっていた王女たちだったのです。

夜が明けるとともに再び13人の王女たちは魔王カスチェイの城へと閉じ込められます。

王女たちを助けようと魔王カスチェイの城に乗り込むイワン王子でしたが、結局はカスチェイの手下に捕らえられ、魔法で石に変えられてしまいそうになります。

絶体絶命の王子が火の鳥からもらった魔法の羽根を振ると、そこへ再び火の鳥が現れます。

火の鳥に魔法をかけられた魔王カスチェイと手下たちは倒れるまで踊り狂います。

火の鳥は今度は子守唄を歌い、踊り疲れてその場に倒れこんでいた魔王カスチェイと手下たちを眠らせてしまいます。

そのすきに火の鳥はイワン王子に魔王カスチェイの命が林檎の樹の根元にある卵の中にあることを告げます。

やがて目を覚まし襲い掛かってくる魔王カスチェイですが、イワン王子は卵を地面に叩きつけ割ってしまいます。

これによって魔王カスチェイは滅び、石にされていた騎士たちは元に戻り、ツァレヴナ王女をはじめとする13人の王女たちも自由の身となります。

最後はイワン王子とツァレヴナ王女が結ばれ大団円となります。

バレエ版と組曲版

オリジナルのバレエ版は次の22の曲から構成されています。

1.導入部
2.カスチェイの魔法の庭園
3.火の鳥の出現、イワン王子の登場
4.火の鳥の踊り
5.イワン王子に捕らえられた火の鳥
6.火の鳥の哀願
7.魔法にかけられた13人の王女たち
8.黄金の林檎と戯れる王女たち
9.イワン王子の突然の登場
10.王女たちのロンド
11.夜明け
12.カスチェイの番兵の怪物たちに捕らえられる王子
13.不死の魔王カスチェイの登場
14.イワン王子とカスチェイの対決
15.王女たちの哀願
16.火の鳥の出現
17.火の鳥の魔法にかかったカスチェイの手下たちの踊り
18.魔王カスチェイの凶悪な踊り
19.火の鳥の子守歌
20.カスチェイの目覚め
21.カスチェイの死、深い闇
22.カスチェイの城と魔法の消滅、石にされていた騎士たちの復活、大団円

ストラヴィンスキーはこのバレエの全曲版から幾つかの曲をピックアップして、さらに編成とオーケストレーションに一部変更を加えた管弦楽組曲版を3度に渡って出版しています。

組曲(1911年版)は最初に出版された管弦楽用の組曲でオリジナルと同じく大きな編成で「魔王カスチェイの凶悪な踊り」で終わるのが特徴です。

組曲(1919年版)は演奏機会の最も多い版で、編成がオリジナルのバレエ全曲版より若干縮小されています。

組曲(1945年版)はオーケストレーションが複数箇所に渡って変更されていて、特に終曲での変更が特徴的です。

次の楽曲解説では今回ご紹介する演奏動画の1919年版の組曲での曲目を解説しています。

バレエ組曲「火の鳥」解説

1.序奏

低弦の奏でる旋律が魔王の宮殿の庭という不気味な雰囲気を醸し出しています。

2.火の鳥の踊り(03:23)
3.火の鳥のヴァリアシオン

木管楽器が忙しく駆け巡り魔法の庭園を飛び回る火の鳥を表現します。

ヴァリアシオンは英語読みのヴァリエーションですが、ここではソロの踊りを表すバレエ用語としてフランス語読みが使われています。

4.王女たちのロンド(05:00)

とても幻想的で美しい旋律はロシアの民謡が元になっています。

5.魔王カスチェイの凶悪な踊り(10:25)

オーケストラが響かせる強烈な和音の一撃で前曲とは一転して緊張感の溢れる音楽が展開されます。

魔王カスチェイと手下たちが狂ったように踊る激しい音楽です。

6.子守歌(15:23)

踊り疲れた魔王たちを眠りに誘う火の鳥が歌う子守唄です。ファゴットの奏でる独特の雰囲気を持つ子守唄が印象的です。

そしてその子守唄を装飾するように奏でられる弦楽器の旋律の繊細な響きの美しさが心に残ります。

7.終曲(19:18)

ホルンがゆったりと奏でる優しさに満ち溢れた旋律は弦楽器からオーケストラ全体へと引き継がれ高揚していきます。

この旋律もロシア民謡から取られています。

最後はドラマティックに輝かしく終曲します。

バレエ組曲「火の鳥」youtube動画

ストラヴィンスキー バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

ミッコ・フランク指揮 フランス放送フィルハーモニー管弦楽団

いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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