ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」

2020年3月30日

まずはダイジェストで!

目まぐるしく移り変わる複雑で強烈なリズム、不協和音に満ちた荒々しいオーケストラの響きは獣の叫びのようでもあり、原始の宗教儀式で行われる激しいダンスのようにも感じます。

まずは第2部「生贄」から終曲「生贄の踊り」をダイジェストで聴いてみましょう!

サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

作曲の背景

「春の祭典」はロシアの作曲家、イーゴリ・ストラヴィンスキーが1913年に完成させたバレエ音楽です。

プロデューサーとして高名であったセルゲイ・ディアギレフが率いるバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)のために書かれた作品で、ストラヴィンスキーは他にも「火の鳥」「ペトルーシュカ」と言う大作をこのバレエ団のために書いています。

作品はストラヴィンスキーが見た「輪になって座る長老たちが太陽の神への生贄として1人の処女が死ぬまで踊るのを見守る異教の儀式」と言うイメージに着想を得たという風になっていますが、バレエの草案は舞台美術も担当したニコライ・レーリッヒによるもので、シナリオも含め作品の完成には彼の貢献も大きかったことは間違いないようです。
(ストラヴィンスキー自身は否定的な見解のようです。)

1913年にパリのシャンゼリゼ劇場で行われた初演は、従来のバレエとは大きく異なるあまりにも斬新で革新的な音楽と振り付けの舞台芸術に怒号が飛び交い賛否両論の聴衆で大混乱に陥ったのは有名なお話です。

楽曲解説

第1部 「大地礼賛
第1部では異教徒たちが足を踏み鳴らしながら春の訪れを礼賛し踊る様子が描かれています。

1.序奏
高音域のファゴットが告げる不思議な旋律に小クラリネット、バスクラリネット、アルトフルートなど様々な木管楽器が絡みだします。
その様子はまさにカオス、混沌と言った雰囲気で私には鬱蒼とした原始の森林のイメージが浮かんできます。

冒頭のファゴットの旋律が再び現れると弦楽器がピチカット(指で弾く奏法)で舞踏的なリズムを奏で始めます。

2.春のきざしー乙女達の踊りー(4:05)
弦楽器が奏でるおどろおどろしく強烈なリズムが刻まれる中、金管楽器が咆哮し、木管楽器も叫び声をあげます。

激しいリズムと対照的なホルンのおおらかな旋律とフルートの呼応が原始の森に春の訪れを告げているかのようです。
この旋律はアルトフルートやピッコロにも現れ音楽は高揚していきます。

3.誘拐の儀式(7:13)
金管楽器が激しく雄たけびをあげると音楽は激しい不協和音と強烈なリズムを伴いながら混沌の度合いがさらに増していきます。

4.春の輪舞(8:30)
しばしの静寂が訪れると小クラリネットとバスクラリネットの奏する旋律に続き、弦楽器が重々しいリズムを刻みだします。

突然激しく叫び出すオーケストラと咆哮する金管楽器、音楽は激しい動きを伴いながら攻撃的になりますが、やがてフルートのトリルと共に再び静寂を取り戻します。

5.敵の部族の儀式(12:04)
6.賢者の行列(13:55)
ホルンの力強い旋律が静寂を破ると激しいティンパニの響きとともに土俗的な雰囲気を醸し出しながら高揚していきます。

激しい打楽器を伴いながら音楽が高揚しきると突然、水を打ったように静まります。

7.賢者(14:40)
とても短い部分でしばしの静寂が続くと弦楽器が気味の悪い不協和音を静かに響かせます。

8.大地の踊り(15:00)
静寂を打ち破る激しい雷鳴のように狂い叫ぶオーケストラは速度を増しながらクライマックスを迎え、突然の終止で第1部を終えます。

第2部 「生贄」
第2部では太陽神イアリロへの生贄として選ばれた一人の乙女が長老たちの前で息絶えるまで踊った末に神に捧げられる様子が描かれています。

1.序奏(16:30)
木管楽器による不気味な響き、漆黒に包まれた夜の森を不安にさいなまれながら彷徨い歩いているような感覚に陥ります。

2.乙女たちの神秘的な集い(21:10)
弦楽器の神秘的な調べに続きアルトフルートが静かに歌います。
この作品では普通のフルートより音域の少し低いアルトフルートがあちらこちらで活躍します。

3.選ばれし生贄への賛美(24:00)
4.祖先の召還(25:45)
金管楽器の雄たけびが激しくなると太鼓の連打をはさみオーケストラは激しさを増し複雑なリズムをかき鳴らします。

5.祖先の儀式(26:28)
イングリッシュ・ホルンとアルトフルートフルートが織り成す呪文のような音楽に続き、弱音器をつけたバストランペットが静かに旋律を奏でます。

突然金管楽器により強奏された後、再び元の旋律に戻りバスクラリネットが突然何かをつぶやくようにして終わります。

6.生贄の踊り(30:05)
冒頭のダイジェスト動画でも紹介したクライマックスです。

弦楽器の次々と変わる複雑なリズム、激しく雄たけびをあげる金管楽器、木管楽器も狂ったように悲鳴をあげています。

音楽は混沌の度合いを深めながらクライマックスを迎え熱狂の内に終止します。

クラシック初心者の方には少し難解に感じられる作品かも知れませんが、こういう刺激のある作品もたまには良いのではないでしょうか?

毎年、この時期に新緑の香りを嗅ぐとこの曲が頭をよぎるのは私だけでしょうか?

全曲版を聴いてみよう!

サイモン・ラトル指揮 ロンドン交響楽団

バレエ版も見てみよう!

バレエ作品に興味のある方のために、バレエ版の動画も掲載してみます。

演出によって大きな違いがあるのでいろんな演出をみてみると良いかもしれませんね?

ヘンリク・シェーファー指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
ライプツィヒバレエ団 ソリスト:木村規予香

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