レスピーギ「シバの女王ベルキス」

2020年7月1日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

力強く勇壮な金管楽器のファンファーレにバンダと呼ばれる別動隊が加わり、さらに華やかな雰囲気の中、狂乱の宴は大団円を迎えます。

まずは終曲「狂宴の踊り」を聴いてみましょう。

アンドレア・バッティストーニ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団

作曲の背景

シバの女王ベルキス(伊:Belkis, Regina di Saba)はイタリアの作曲家、オットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1931年に書き上げたバレエのための音楽です。

「ローマ三部作」で知られるレスピーギがその晩年に作曲した作品ですが、原曲は大編成のオーケストラと合唱、独唱、バンダと呼ばれる別動隊のアンサンブルによって壮大な音楽が展開されます。

台本は旧約聖書に登場する古代イスラエルの王「ソロモン」とソロモンのもとを訪れた「シバの女王ベルキス」の物語をベースとした作品です。

この作品では「シバの女王」の名は「ベルキス(Belkis)」となっていますが、伝承によって異なりニカウレー、マケダ など様々です。

ピエロ・デラ・フランチェスカ(1412-1492)作
『聖十字架伝説』に描かれるソロモンとシバの女王の会見

前回の記事でご紹介したヘンデル「シバの女王の到着」の中でもこの物語について触れていますのであわせてお読みいただければと思います。

1934年にはこの全7幕のバレエ音楽から抜粋した4曲から成る組曲版が編纂されました。

現在、バレエ作品として上演されることは極めて稀だと思いますし、組曲版の演奏や録音の機会も多くはありませんが、日本では1990年代に吹奏楽用に編曲された版が吹奏楽コンクールで取り上げられる機会が多かったことから、吹奏楽編曲版での演奏や録音の機会の多い作品として知られています。

ダイジェスト動画でご紹介した東京フィルハーモニー交響楽団の公式youtubeチャンネルの中で指揮者のアンドレア・バッティストーニがこの作品について語っていますので、こちらもぜひご覧ください。

レスピーギ「シバの女王ベルキス」解説

1.ソロモンの夢(Il sogno di Salomone)

冒頭、幻想的な雰囲気の中、フルートとクラリネットが奏でるアラビア風の旋律が印象的です。

冒頭部分のフルートとクラリネット

これはバレエの第2幕「ソロモン王の寝室」の場面で、まどろむソロモン王の様子が描かれています。

コーラングレからフルートへと引き継がれていく旋律は異国情緒に溢れています。

この旋律が終わりを告げると繰り返される四分音符の連打に導かれ、堂々とした旋律が現れます。第2幕「ソロモン王の入場」の音楽です。

この入場の行列が遠ざかるかのように消えてゆくと、チェロによる美しいソロが聴こえてきます。(04:45)

この美しい旋律はオーケストラからオーボエへと引き継がれた後、終曲でも現れる行進曲風の旋律が幻想的に奏でられ静かに第1曲を終えます。

2.戦いの踊り(Danza guerresca)
※この「戦いの踊り」は本来は第3曲ですが、演奏効果等の観点から第2曲と入れ替えて演奏されることも多く、次にご紹介する動画でもこの順で演奏されている為、ここでは第2曲として解説しています。

勇壮なティンパニの響きに導かれ金管楽器が荒々しく咆哮し、祝宴の中で戦士たちが勇ましく踊ります。

原始的なリズムの太鼓に導かれた小クラリネットのソロが、エキゾチックなダンスを踊っているようで印象的です。(08:57)

E♭管クラリネットで演奏されることが一般的だと思いますが、
参考楽譜はD管クラリネット用の楽譜です。

この後、疾走感溢れる16分音符に乗って熱狂的な音楽が駆け抜けていきます。バレエ第5幕の「戦いの野蛮な踊り」です。

高揚する音楽はそのボルテージが最高潮に達したところで突然終わりを告げます。

3.夜明けのベルキスの踊り(La danza di Belkis all’aurora)

Tamburo Arabo(ダラブッカ)と呼ばれるアラビアの太鼓のリズムに導かれフルートがエキゾチックな旋律を奏でます。

バレエ第3幕の夜明けのベルキスの様子を描いた場面ですが、フルートのソロに続くチェレスタの音色が夢見心地のベルキスを表現しているようで印象的です。

コーラングレのソロに導かれシバの女王ベルキスが妖艶な舞を踊りだします。

この舞の音楽はドラマティックに高揚した後、少し滑稽にも思えるリズムの繰り返されるの中、木管楽器のソロ等によりさらに幻想的に展開していきます。

個人的な感想ですがイタリアの作曲家、レスピーギの作品の中にふとフランス風の響きを感じる部分でもあります。

最後は再び夢の世界に戻るかのように幻想的に終わります。

4.狂宴の踊り(Danza orgiastica)

バレエ原曲の第7幕にあたるフィナーレで、ソロモン王とベルキスの結婚を祝う「狂宴の踊り」です。

狂乱の宴の最中に舞台裏から聴こえてくるトランペットのソロが教会で聴く讃美歌のようで印象的です。(21:16)

原曲はテノールによる歌詞を伴わない母音によって歌われるヴォカリーズで、参考楽譜はヴォカリーズのものです。

この後、再び繰り広げられる狂乱の宴は第1曲の最後に現れた行進曲風の旋律を再現しながら力強く華やかに終曲します。

レスピーギ「シバの女王ベルキス」youtube動画

レスピーギ:バレエ組曲「シバの女王ベルキス」
1.ソロモンの夢(0:00)
2.戦いの踊り(8:20)
3.夜明けのベルキスの踊り(11:40)
4.狂宴の踊り(19:30)

サッシャ・ゲッツェル指揮 Borusan Istanbul Philharmonic Orchestra
BBC PROMS 2014より

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参考資料:東京フィルハーモニー交響楽団「第94回東京オペラシティ定期シリーズ」楽曲解説(野本由紀夫)