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ショスタコーヴィチ|交響曲第5番「革命」解説とおすすめの名盤

2023年7月1日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

木管楽器が奏でる甲高いトリルの響きと力強いティンパニのリズム、それに続く金管楽器の重低音の響きは迫力満点です!

まずはドラマティックな雰囲気が印象的な第4楽章の冒頭部分をダイジェストで聴いてみましょう。

佐渡裕指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ご紹介した動画は2011年5月20日のベルリン・フィル定期演奏会での演奏です。

こちらの公演はブルーレイとして発売されています。

作曲の背景

「現代のモーツァルト」としてもてはやされた青年期

交響曲第5番 ニ短調 作品47はソビエトの作曲家、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1937年に作曲した交響曲です。

日本では「革命」の副題が付けられるケースが多いですが、作曲者が付けたものではありません。

ショスタコーヴィチは1906年生まれ、11歳の時にロシア革命を経験し、その後、激動のソ連時代を生き抜いた20世紀の旧ソ連を代表する作曲家として有名です。

サンクトペテルブルク音楽院
サンクトペテルブルク音楽院(PD)

1919年、ペトログラード音楽院(現サンクトペテルブルク音楽院)に入学したショスタコーヴィチは、作曲をリムスキー=コルサコフの愛弟子、マクシミリアン・シテインベルクに師事します。

1925年、音楽院の卒業制作として交響曲第1番を作曲したショスタコーヴィチは、翌1926年にはこの初演が聴衆の熱狂的な支持を得て、「現代のモーツァルト」と喧伝され、若き天才作曲家として鮮烈なデビューを飾ります。

ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
交響曲第1番発表当時のショスタコーヴィチ(1925年)-(PD)

「プラウダ批判」により一転して窮地に

音楽院卒業後、交響曲以外にもオペラ、バレエ音楽など様々なジャンルの音楽を精力的に作曲していたショスタコーヴィチは、1927年には第1回ショパン・コンクールにピアニストとしてもチャレンジしていますが、この時は体調不良も重なり惜しくも特別賞を受賞しています。

私生活の面では1932年にニーナ・ヴァルザルと結婚、1934年1月に初演されたオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」が成功を収め、西欧諸国の各都市で上演されるなど、作曲家としても順風満帆なように見えました。

しかし、そんなショスタコーヴィチに大きな転機が訪れます。

1936年1月28日、当時のソビエト連邦共産党の機関紙「プラウダ」紙上に、オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」に関して「音楽のかわりに荒唐無稽」と題された社説が掲載されたのです。

さらに2月6日にはバレエ「明るい小川」「バレエの偽善」と言う表題で、立て続けに厳しい批判にさらされることになります。

プラウダ
1941年7月3日のプラウダ-PD

当時のスターリン体制下のソ連においては「社会主義リアリズム」の名のもとに、あらゆる芸術がソビエト共産党の意に即した作品でなくてはならず、「内容において社会主義的、形式において民族主義的」のスローガンのもと、社会主義国家に役立つ音楽作りが求められた時代でした。

ところがショスタコーヴィチの作風は、それに反して交響曲第1番以来、どちらかといえば前衛的で、西洋モダニズムの影響を強く受けた作品が多く、特にこの時批判にさらされた「ムツェンスク郡のマクベス夫人」は、下男に無理矢理手ごめにされた裕福な家の夫人が、その下男と不倫に堕ち、ついには舅と夫を手にかけてしまうという、かなり背徳性の高いショッキングな内容のオペラです。

この「プラウダ批判」と呼ばれる社説では、『ムツェンスク郡のマクベス夫人』は「分かりにくく卑猥な音楽であり、社会主義リアリズムを欠くブルジョワ・形式主義的な音楽である」と糾弾され、以後20年以上にわたって事実上の上演禁止となったのです。

オペラ

迫りくる危機

折しもこの1936年は最高指導者ヨシフ・スターリン(1878-1953)による大粛清の嵐が吹き荒れていた頃で、政治家のみならず一般党員や民衆にまで大弾圧が行われ、大粛清の犠牲となった死者は今なおはっきりしないものの800万人とも1,000万人にのぼるとも言われています。

つまり「プラウダ」紙上で名指しで批判されるということは、現代日本における単なる新聞紙の社説で批判されるのとは次元が異なり、当時の体制下にあっては、即ショスタコーヴィチの芸術活動どころか生命に係わる問題でした。

ヨシフ・スターリン
ポツダム会談でのスターリン(1945)

現に独裁者スターリンの方針に反したとして多くの芸術家が自己批判を余儀なくされ、命を奪われた人々も多く、それはショスタコーヴィチに近しい人とて例外ではありませんでした。

ショスタコーヴィチの姉マリアは中央アジアへ追放され、物理学者だったその夫は逮捕されています。

妻ニーナの母親も強制収容所送りとなり、ショスタコーヴィチが頼りにしていた、かつて「赤軍の至宝」「赤いナポレオン」と呼ばれたミハイル・トゥハチェフスキー元帥まで粛清の標的になり、1937年5月26日に逮捕され、6月11日に処刑されています。

ミハイル・トゥハチェフスキー
トゥハチェフスキー(1936年)-(PD)

ショスタコーヴィチ自身もトゥハチェフスキーとの関係を疑われ、事情聴取を受けていますが、その取り調べ人まで逮捕されたおかげで間一髪のところで難を逃れています。

このようにショスタコーヴィチはこの当時、まさに絶体絶命の窮地に追い込まれていたわけです。

起死回生の交響曲第5番

1936年、ショスタコーヴィチは既に交響曲第4番が5月に完成、12月には初演が決まっていましたが、作風が当局の意向に沿わないことを恐れた関係者の忠告もあり、ショスタコーヴィチ自身がこの初演を撤回する形で事実上のお蔵入りとなっています。

マーラーの作品を参考にして作曲したと言われるこの交響曲第4番が初演されるのは、なんと25年後の1961年12月30日、スターリンが亡くなって8年後のことになります。

そんな危機的な状況にあったショスタコーヴィチが、1937年4月から7月にかけて作曲したのが今回ご紹介する交響曲第5番です。

その作風は伝統的な形式に基づくわかりやすい構成で書かれ、悲劇的で暗澹たる雰囲気の第1楽章に始まり、やや諧謔的でアイロニーな第2楽章、悲痛な面持ちの第3楽章を経て、最終的には勝利の凱歌を歌い上げるような第4楽章で劇的なクライマックスを迎えます。

エフゲニー・ムラヴィンスキー
ムラヴィンスキー(左)とプロコフィエフ(右)1947年(PD)

かくして1937年11月21日、ロシア革命20周年を記念する演奏会でエフゲニー・ムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団(現サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団)によって行われた初演は大成功に終わり、第3楽章を聴いた聴衆がすすり泣いていたとも、フィナーレの途中で興奮した観客が自然に立ち上がり、終わるや否や猛烈なスタンディングオベーションが起きたとも言われています。

この作品は体制側にも好意的に受け取られ、ソ連作家同盟議長を務めていた小説家のアレクセイ・トルストイからも「社会主義リアリズムのもっとも高尚な理想を示す好例」として絶賛され、ショスタコーヴィチはこれきっかけに名誉を回復していくことになります。

トルストイ
アレクセイ・トルストイ(PD)

この交響曲はこれまでプラウダ批判に対する名誉回復を図った作品と評価されることが多く、中には体制に迎合するために書かれた妥協の産物などと言う辛辣な批評もあるようですが、当時の状況にあっては、次の作品での名誉回復が、自身の生命を左右する重要な分岐点になるであろうことはショスタコーヴィチ自身が最も痛切に感じていたことであろうと思います。

隠されたメッセージ?

ショスタコーヴィチの死から4年後の1979年、音楽学者のソロモン・ヴォルコフ(1944-)が「ショスタコーヴィチの証言」と言う書籍を発表します。

ショスタコーヴィチ自身から取材した内容に基づき、ソ連国外でその死後に出版すると言う条件の下に許可を得たとされるこの回想録の中で、本作品の終楽章ことを「強制された歓喜」「鞭打たれ、喜べ、それがおまえたちの仕事だと命令されるのと同じだ」と表現し、初演を指揮したムラヴィンスキーさえもそうしたことを理解していないと辛辣に批判しています。

この「ショスタコーヴィチの証言」は、内容的にどの程度ショスタコーヴィチの実際の証言と真意を含んでいるか疑義を唱える声も多く、内容を鵜呑みにすることは出来ないかもしれませんが、作曲当時のショスタコーヴィチが置かれていた立場を考えると、作品の中に複雑な意味合いが含まれている可能性はかなり高いと思われます。

以後、様々な音楽学者や研究者たちが、この交響曲第5番に隠されたショスタコーヴィチの真意を読み解こうと様々な推論をしています。

各々の主張の中にはかなり断定的に述べている研究者も多く見られますが、作曲者のショスタコーヴィチ自身がこの作品に関して、あまり詳細に言及していない以上、あくまで推論として「そういう捉え方もある」くらいに聞いていた方がいいように個人的には感じています。

スターリン体制への痛烈な批判?

ショスタコーヴィチがこの作品に隠したメッセージとしてよく言われるのが、この交響曲は決してトルストイが言うような「社会主義リアリズムのもっとも高尚な理想を示す好例」などではなく、実は暗にスターリン体制のソ連や社会主義リアリズムそのものを批判しているのではないかということです。

その根拠として挙げられるのが、有名なビゼーのオペラ『カルメン』、そしてショスタコーヴィチが初演を断念した交響曲第4番とこの第5番の間に作曲した歌曲『プーシキンの詞による4つのロマンス』との関連性です。

ショスタコーヴィチ|交響曲第5番

研究者たちによれば、交響曲第5番終楽章の冒頭部分に現れる金管楽器が奏でる力強い主題のモチーフとなる四つの音「ラ・レ・ミ・ファ」歌曲『プーシキンの詞による4つのロマンス 作品46』の第1曲「復活」の歌い出しの四つの音と同じで、その歌詞は下記の通りです。

未開人の画家が うつろな筆さばきで 天才の絵を塗りつぶし 
法則のない勝手な図形を その上にあてどもなく描いている。

だが 異質の塗料は年を経て 古いうろこのようにはがれ落ち
天才の創造物はわれわれの前に以前の美しさを取り戻す。

かくて苦しみぬいた私の魂から かずかずの迷いが消えてゆき
はじめの頃の清らかな日々の幻影が 心のうちに湧きあがる!

ショスタコーヴィチ歌曲集(全音楽譜出版社)
ショスタコーヴィチ:『プーシキンの詞による4つのロマンス 作品46』より第1曲「復活」

つまり研究者たちの考えによれば、交響曲第5番終楽章の主要主題のモチーフにこの歌曲の主題を引用し、その歌詞に真意を込めたと言うのです。

歌詞をご覧いただければおわかりのように内容はかなり意味深で、いろんな捉え方ができると思いますが、天才の絵を塗りつぶしたのはスターリンとも解釈できますし、年を経てやがてその真意が明らかになり、その本当の価値が示されるというような内容にも捉えることができます。

モチーフとなった冒頭の四つの音は印象が違い過ぎてわかりにくいかも知れませんが、楽曲の中盤に現れるピアノの伴奏型は、交響曲第5番終楽章のコーダの手前に現れるハープの音型と同じです。

上記の動画の(01:22)付近に現れるピアノ伴奏の音型とこちらの交響曲第5番終楽章の音型を聴き比べてみてください。

※下記の動画は該当箇所から再生されるように設定しています。

ショスタコーヴィチ|交響曲第5番「革命」
セミヨン・ビシュコフ指揮:ケルンWDR交響楽団

さらにこの「ラ・レ・ミ・ファ」の音型はクライマックスとなる終結部では長調にした「ラ・レ・ミ・ファの形で現れ、まるで勝利の凱歌のように高らかに演奏されます。

そして、このモチーフそのものがビゼーのオペラ『カルメン』で歌われる有名な「ハバネラ」からの引用であると指摘しているのです。

ショスタコーヴィチ|交響曲第5番

これは第1幕でカルメンがハバネラのリズムに乗って奔放な恋心を歌う有名なシーンですが、このカルメンのソロに合いの手を入れるように合唱が歌う「ラ・レ・ミ・ファの旋律に付けられた歌詞は『Prends garde à toi!』、日本語に訳すると『気をつけろ!』という意味です。

※下記の動画は該当箇所から再生されるように設定しています。

メトロポリタン・オペラ
カルメン:エリーナ・ガランチャ

一聴すると苦難を乗り越えて社会主義革命の勝利の凱歌を讃えたようなこの終結部分は実は『気をつけろ!』つまり『これは真実ではない!』とショスタコーヴィチが訴えているというのです。

それを裏付けるようにこのffで書かれた「ラ・レ・ミ・ファを打ち消すようにfffで書かれた「ラ」の音が実に252回もかき鳴らされ、この勝利の凱歌を否定していると言うのです。

ショスタコーヴィチ自身、この「ラ」の音の意味を問われ「それは私だ!」と答えたと言われています。

そんな部分に着目しながらこの終結部分を聴いてみましょう。

※下記の動画は該当箇所から再生されるように設定しています。

ショスタコーヴィチ|交響曲第5番「革命」
セミヨン・ビシュコフ指揮:ケルンWDR交響楽団

かつての愛人への未練の讃歌?

これとは別にこの作品には、かつてショスタコーヴィチが家庭を壊すほどの恋に堕ちた不倫相手への想いが込められているという説もあります。

ショスタコーヴィチが結婚したのは1932年、妻のニーナ・ヴァルザルとは彼女が大学生だった1927年に、病気休養先で出会っています。

しかし結婚から2年経った1934年、ショスタコーヴィチは国際音楽祭で通訳をしていた8歳下の大学生、エレーナ・コンスタンチノフスカヤと恋に堕ち、不倫関係になります。

愛

ショスタコーヴィチはこのエレーナに数十通もの手紙を送っていて、彼女は後にこれを公開しています。

二人の関係は間もなく妻ニーナの知るところとなり、離婚話も持ち上がったようですが、翌1935年の秋にニーナの妊娠が発覚するとエレーナとは徐々に疎遠になります。

一部の研究者の主張によれば、第1楽章の第2主題も、先ほどの第4楽章の主要主題と同じく『カルメン』の「ハバネラ」に出てくる「L’amour・・l’amour・・」と愛を歌っている箇所を引用しているというのです。

ヴァイオリンが静かに奏でるこの第2主題は、序奏主題から発展したようにも聴こえますが、再現部の男女が愛を語りあっているかのようにフルートとホルンが対話する部分では、より類似性が強く感じられるので少し聴き比べてみましょう。

※下記の動画は該当箇所から再生されるように設定しています。

メトロポリタン・オペラ
カルメン:エリーナ・ガランチャ
ショスタコーヴィチ|交響曲第5番「革命」
セミヨン・ビシュコフ指揮:ケルンWDR交響楽団

さらに終楽章の終結部で252回も繰り返される「ラ」の音は、ロシア語の音名では「ля=リャ」となり、不倫相手のエレーナの愛称「リャーリャ」の名前を叫んでいると言うのです。

1936年5月には長女も誕生し、自身の身に危険の及ぶ中、別れた不倫相手への愛の讃歌を高らかに歌っていたと思うと狂気すら感じますが、この説に関しては個人的にはかなり懐疑的に思っています。

この説に関する記述の中で、不倫相手のエレーナが、ショスタコーヴィチが「プラウダ批判」に晒された1936年、密告が原因で投獄され、釈放された後にスペインに出国して、ロマン・カルメンなる映画監督と結婚したという記述が散見されます。

ロマン・カルメン
Soviet war camera-man and film director Roman Lazarevich Karmen, 1975
Leo Medvedev/Лев Леонидович Медведев – Leo Medvedev’s Archive/CC BY-SA 4.0

ここでまた『カルメン』との関連付けが行われる訳ですが、このロマン・カルメンという映画監督はかなり有名な人物で、ロシア版のウィキペディアを見ると、確かにこの時期、スペイン内戦のドキュメンタリー映画を撮るためにスペインにいたようですが、彼には三回の結婚歴があり、相手の名前や素性に関する記述もあるのですが、エレーナ・コンスタンチノフスカヤと結婚していたという形跡がないため、この部分については判然としません。ロマン・カルメン(ロシア版ウィキペディア)

ウィキペディアに書かれている情報が間違っているのか、この情報が間違っているのか、はたまた別のカルメンなる人物と結婚したのか?筆者の調べた範囲では、残念ながらこの部分の主張に関する裏付けは取れませんでした。

筆者の個人的な意見ですが、確かに第1楽章、第4楽章の主題のモチーフと『カルメン』に出てくる旋律の類似性に関しては、単なる偶然ではないような感じがし、何らかの隠されたメッセージが込められていても不思議ではないように思いますが、かつての愛人への想いが込められていると言うのは、流石に想像が飛躍し過ぎているような気がします。

もちろん真実はショスタコーヴィチ本人のみぞ知るところであり、あれこれとイマジネーションを膨らませながら音楽を楽しむのもクラシック音楽の醍醐味のように思います。皆さんにはどのように聴こえますか?

ショスタコーヴィチ|交響曲第5番「革命」解説

第1楽章:Moderato – Allegro non troppo

冒頭、弦楽器が奏でる劇的で悲壮な序奏が聴くものに強烈な印象を与えます。

低弦が奏でる旋律をヴァイオリンがなぞるような悲劇的なカノン風の序奏に続き、薄暗い雲が立ち込めるかのような不気味で不安な雰囲気の第1主題をヴァイオリンが奏でます。

カノン風の序奏主題が何度も形を変えて現れながら、新しい主題が奏でられていきます。

「タンタタ、タンタタ」というリズムに乗ってヴァイオリンが浮遊するように奏でる第2主題は、「作曲の背景」で触れたように『カルメン』の「ハバネラ」に出てくる「L’amour・・l’amour・・」の部分を引用しているという説もありますが、序奏主題から変化したもののようにも聴こえます。(演奏動画 04:01)

ピアノが力強く低音を刻むとホルンが行軍するかのように低い旋律を奏で、これにトランペットがカノン風に呼応し展開部へと入ります。(演奏動画 06:44)

この辺りから曲に激しさが加わり、行進曲風の旋律をはさみながら激烈に展開していきます。

序奏主題のカノンを弦楽器が嵐のような激しさで奏で、その裏では地の底から聴こえてくるような低音金管楽器が二重カノンを奏でます。

やがてクライマックスに達すると、ユニゾンで第1主題を劇的に奏でそのまま再現部へと突入します。(演奏動画 10:16)

その後、フルートとホルンが第2主題を対話するかのように再現する部分では、最初の主題提示部よりも『カルメン』との類似性がやや強く感じられますが、真意の程はわかりません。(演奏動画 11:30)

最後はヴァイオリンが静かに第1主題を奏でる中、チェレスタが幻想的に半音階を上昇し、消え入るように第1楽章の幕を下ろします。

Introducing: The Celeste
トロント交響楽団

第2楽章:Allegretto

第2楽章はやや軽妙な舞曲風のスケルツォ、低弦が奏でる序奏に続き木管楽器がどこかおどけたような旋律を奏でます。

ピッコロやE♭管クラリネットの響きにとても特徴があり、付点音符で奏でられる旋律は滑稽で、続いて登場するホルンのファンファーレ風の主題とのコンラストが鮮やかです。(演奏動画 15:42)

中間部のトリオで現れるヴァイオリンのソロは、まるで千鳥足で酔っぱらいながら行き交う人をからかっているようでとてもユニークです。(演奏動画 16:32)

第2楽章は三部形式で書かれ、冒頭の主題が繰り返され、トリオ主題の断片をオーボエが奏でた後、力強く断章するように終わります。

第3楽章:Largo

再び暗く悲しい雰囲気が曲を支配します。それはまるで弦楽器が奏でる葬送の音楽のようで、哀しみや死と言う言葉を連想させます。

通常、弦楽五部と呼ばれ五つのパートに分けられた弦楽器パートを八つの声部に分け、三つの主題を中心に音楽が展開され、金管楽器が登場することはありません。

瞑想するかのような弦楽器による主題が奏でられた後、ハープの分散和音に導かれて漂うように奏でられフルートの旋律は彷徨う死者の魂のように感じられます。(演奏動画 22:46)

弦楽器による悲哀に満ちた旋律は徐々に高揚し、やがて静かに深く沈んでいくと、風に乗って聴こえてくるかのようなオーボエの旋律が奏でられます。(演奏動画 25:32)

曲はこれらの主題が絡み合いながら再び高揚し、弦楽器のトレモロを伴いながら、低弦楽器が先ほどのオーボエの旋律を何かを吐き出すように激しく奏で、この部分をピークに徐々に減衰し、最後は消え入るように終わります。

第3楽章の弦楽器による主題はロシア正教会で行われる一種の祈り「パニヒダ」をモチーフにしているとも言われ、鎮魂の意味を込められているとも言われています。

当時のソ連当局関係者をはじめ、この曲を好意的に受け取った人たちは、それを社会主義革命の犠牲になった人たちへの鎮魂歌と捉えたわけですが、その真意が議論されるようになると、そうではなくスターリンによる犠牲者たちへの鎮魂歌だったのではないかと推測する人も現れたのです。

Панихида в Родительскую субботу | Валаамский монастырь | Год 2021

第4楽章:Allegro non troppo

木管楽器が奏でる独特の甲高いトリルの響きと力強いティンパニのリズムに続き、重低音の金管楽器群が主題を堂々と奏でます。

この冒頭主題のモチーフとなった「ラ・レ・ミ・ファ」とビゼーのオペラ『カルメン』で歌われる有名な「ハバネラ」、及びショスタコーヴィチの『プーシキンの詞による4つのロマンス 作品46』の関連性については「作曲の背景」で詳しく触れていますのであわせてお読みください。

冒頭の第1主題が形を変えて何度も登場しながらテンポもテンションも上げていくと、混沌とした中からトランペットが切り裂くように第2主題を奏でます。(演奏動画 36:57)

曲はさらにテンポを上げて激しさも増し、第1主題を金管楽器が猛々しくかき鳴らした後、ようやくテンポを落とします。

ホルンが朗々と第2主題を奏で、弦楽器の押し寄せる波のような旋律へと引き継ぎます。(演奏動画 38:13)

弦楽器が同一音型を反復し、混沌とした音の塊の中から何かが生まれるように、低弦が副主題を奏で、ハープに引き継ぎます。

クラリネットとファゴットが静かに第1主題を奏で、徐々にクライマックスへと向かいます。(演奏動画 42:00)

曲は八分音符をかき鳴らす弦楽器群と、悲痛な叫びをあげるような金管楽器が共に高揚しながらコーダへと突入します。

最後は長調に転じて「ラ・レ・ミ・ファ♯」のモチーフを高らかに歌う金管楽器群と、それを打ち消すようにかき鳴らされる「ラ」の繰り返しと共に劇的に終曲します。

ボリシェヴィキ
『ボリシェヴィキ』 ボリス・クストーディエフ(PD)

ショスタコーヴィチ|交響曲第5番「革命」YouTube動画

ショスタコーヴィチ交響曲第5番 ニ短調 作品47「革命」
第1楽章:Moderato – Allegro non troppo(0:00)
第2楽章:Allegretto(14:52)
第3楽章:Largo(20:04)
第4楽章:Allegro non troppo(34:38)

セミヨン・ビシュコフ指揮:ケルンWDR交響楽団

piccoloのツボ!ここを聴いて!

このコーナーでは今回ご紹介した作品の中から「是非ここを聴いて欲しい!」と言う管理人piccoloの独断と偏見によるツボをご紹介しています。

「全曲聴くのは長すぎて・・・」と感じられるクラシック初心者の方はぜひここだけでも聴いてみて下さい。

今回は第4楽章のクライマックス、コーダの部分に注目して聴いてみたいと思います。

20世紀後半、レコードを中心とした録音メディアの急速な普及に伴って、クラシックの演奏もそれまでに比べるとかなり平準化、均一化が進んだように思います。

クラシック音楽は楽譜を元に作曲家の書いた意図を読み取り演奏する再現芸術と呼ばれていますが、いくら高名な音楽家といえ、耳から入り慣れ親しんだ演奏に、まったく影響されないわけにはいかないでしょう。

そんな中でこのショスタコーヴィチの交響曲第5番は、作曲の背景で触れたように、様々な作品解釈があることから、多くのクラシックの名曲の中でも、かなり演奏に個性の出やすい曲になっているような気がします。

作品に込められたメッセージと共に、さらに演奏が多様になっている原因の一つに、このコーダの部分のテンポ指示の問題があります。

1939年の印刷楽譜の初版譜には「♩=188」という非常に速いテンポの速度表示が表示されていて、1947年の版では「初版の印刷譜の速度指定は校正ミスである」として「♪=184」に書き換えられています。

その後、西側諸国で流通した楽譜は、どちらを底本とするかによって異なりますが、初版の「♩=188」に従っているものが多いようです。

これはほぼ倍ほど違うテンポとなり、解釈の違いによって大きな演奏上の特徴となって現れることになります。

ムラヴィンスキーが初演の際に用いた手書き譜には「♩=88」と書き込まれていたという研究結果を発表する専門家もいて、このテンポは『♪=184』に近いテンポとなり、この議論をさらに複雑にさせます。

筆者は音楽の専門教育を受けたことのないアマチュアの愛好家ですが、この部分で八分音符をベースにしたメトロノーム記号を書き入れるのはかなり違和感があり、かといって「♩=188」では速すぎる上に、そもそも機械式メトロノームに188という数字がないことから考えても、「♩=88」の誤植という可能性が高いのではないかと思っています。

ちなみに実際の演奏に耳を傾けてみると、快速なテンポで有名なバーンスタイン&ニューヨーク・フィル(1979年版)の演奏が「♩=188」にかなり近いテンポで演奏されています。

※こちらの動画は該当部分から再生するように設定しています。

バーンスタイン指揮:ニューヨーク・フィルハーモニック(1979)

このバーンスタインは、スターリンの死後、1959年にニューヨーク・フィルとモスクワを訪問していて、9月11日に行われたコンサートでこの交響曲第5番が演奏された際には、ショスタコーヴィチも足を運び、演奏後のツーショット写真がその後発売されたレコードのジャケットに使われています。

レコードそのものはアメリカに帰国後に収録されたものですが、この録音ではさらに快速なテンポで、「♩=224」を超えるまさに爆速で演奏されています。

※こちらの動画は該当部分から再生するように設定しています。

バーンスタイン指揮:ニューヨーク・フィルハーモニック(1959)

初演を担当したムラヴィンスキーは13度もこの曲を録音していて、録音年代によってテンポは違いますが、こちらの演奏では概ね「♩=104~108」くらいのテンポで演奏しています。

※こちらの動画は該当部分から再生するように設定しています。

ムラヴィンスキー指揮:レニングラード・フィルハーモニー交響楽団

ショスタコーヴィチはムラヴィンスキーとレニングラード・フィルの初演のリハーサルにも立ち会っているため、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの演奏も、バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの演奏も実際に耳にしていたわけですが、演奏されたコーダのテンポをどう思って聴いていたのかは判然としませんし、もしかするとそんなにこだわりを持っていなかったのかも知れません。

ショスタコーヴィチがバーンスタインの演奏を称賛したというような記述も一部に見られますが、米ソの緊張緩和を図るために親善の意味で開催された演奏会にケチをつけるはずもないでしょう。

こうしたテンポの問題に加えて、作曲の背景で触れたようにここで高らかに奏でられる「ラ・レ・ミ・ファ♯」のモチーフは社会主義革命を達成した歓喜の讃歌なのか、それとも「気をつけろ!」「騙されるな!」と叫ぶショスタコーヴィチの魂の叫びなのか?

そしてそれを打ち消すように252回もかき鳴らされる「ラ」の音は真実の声を知って欲しいとばかりに「俺だ!」と叫んでいるのか、よもやのかつての愛人の名前を叫んでいるのか?

音楽家ならずとも、聴く者のイマジネーションを膨らませて仕方のない、とても奥深い作品となっています。

皆さんにはこの音楽がどんな風に感じるのか、最後にもう一度、このクライマックスの部分を聴いてみましょう!

※こちらの動画は該当部分から再生するように設定しています。

セミヨン・ビシュコフ指揮:ケルンWDR交響楽団

ショスタコーヴィチ|交響曲第5番「革命」おすすめの名盤

ゲルギエフ指揮:キーロフ歌劇場管弦楽団


【収録曲】
ショスタコーヴィチ
交響曲第5番 ニ短調 OP.47『革命』
交響曲第9番 変ホ長調 OP.70

ワレリー・ゲルギエフ指揮
キーロフ歌劇場管弦楽団
(マリインスキー劇場管弦楽団)

録音:2002年

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マリインスキー劇場管弦楽団はサンクトペテルブルクにあるマリインスキー劇場付属のオーケストラで、ロシアで最も古いオーケストラとして知られています。

1992年に現在の名称に改称していますが、旧称のキーロフ歌劇場管弦楽団の名称で販売されている商品もあり、こちらの商品もCDでは「キーロフ歌劇場管弦楽団」、Amazonmusicでは「マリインスキー劇場管弦楽団」と表記揺れが見られますが同一録音です。

今回ご紹介するのは2002年6月に録音されたものですが、ゲルギエフは同じコンビで10年後の2012年6月にこの曲を再録音しています。

演奏解釈は10年の間にかなり変わり、特にテンポの面では通常、年齢を重ねると共に落ち着く傾向が強いのに対し、ゲルギエフは第2楽章を除く全ての楽章で、新録音の方がテンポが上がり、ムラヴィンスキーのテンポ設定に近くなっているのがユニークです。

少し煽るような雰囲気の強い新録音に対して、今回は堂々とした雰囲気が強い旧録音をご紹介しています。

旧ソ連のオーケストラといえば独特のオーケストラサウンドが特徴ですが、この頃のマリインスキー劇場管弦楽団は、既に西欧のオーケストラと比べても遜色ない機能性を備えながらも、ドラマティックで緊張感のある音楽が展開され、クラシック初心者の方にもおすすめのアルバムになっています。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番より第4楽章
ゲルギエフ指揮:キーロフ歌劇場管弦楽団

アンドリス・ネルソンス指揮:ボストン交響楽団


【収録曲】
ショスタコーヴィチ
交響曲第5番ニ短調 op.47『革命』
交響曲第9番変ホ長調 op.70
劇付随音楽『ハムレット』 op.32
交響曲第8番ハ短調 op.65

アンドリス・ネルソンス指揮
ボストン交響楽団
録音時期:2015年,2016年

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こちらはネルソンスが音楽監督を務めるボストン交響楽団とのショスタコーヴィチ交響曲全曲録音シリーズ第2弾となる録音です。

1978年、当時まだソビエト連邦だったラトヴィアに生まれたアンドリス・ネルソンスは、ソビエトの音楽的伝統のもとで教育された、最後の指揮者の一人でもあります。

2015年10月にボストンのシンフォニー・ホールで行われた演奏会のライブ収録ですが、細部まで丁寧でクリアなサウンドが楽しめるおすすめのアルバムです。

強奏部分はとても引き締まった筋肉質な響きで、それとは対照的に弱奏部分では消え入るような美しさが印象的です。

この曲の演奏にありがちな仰々しさのない、ややシャープな演奏が魅力のように感じます。

このアルバムは第59回グラミー賞クラシック部門「ベスト・オーケストラル・パフォーマンス部門」を受賞した名盤で、終曲後の観衆の熱狂した喝采も収録したライブ感溢れる演奏となっています。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番より第4楽章
アンドリス・ネルソンス指揮:ボストン交響楽団

ムラヴィンスキー指揮:レニングラード・フィル(1973年東京ライヴ) 


【収録曲】
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 op.47『革命』

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1973年5月26日
東京文化会館大ホールでのNHKによる実況録音

この曲の初演を担当したムラヴィンスキーレニングラード・フィルのコンビは、今、聴くことのできるものだけでも実に13度に渡ってこの曲を録音していて、特に70年代以降に録音されたものはいずれも名盤の呼び声の高いものばかりです。

代表的なものに1978年のウィーン・ライヴ盤、1982年のモスクワでのライヴ盤、1984年のレニングラード・フィルハーモニーでのライヴ盤などが挙げられますが、今回ご紹介する1973年の東京ライヴ盤はその中でも最も録音状態の良いことでも知られる名盤です。

このショスタコーヴィチの交響曲第5番の名盤レビューに、このムラヴィンスキーとレニングラード・フィルのコンビのいずれかの盤をおすすめしない人はいないほどの名コンビの演奏ですが、この旧ソ連時代のオケの響きはとても個性的で特徴があります。

特に管楽器の演奏スタイルは現代の西欧のオケでは味わえない独特の響きがあり、それがこの曲の雰囲気と相まって、良く言えば独特の深い味わい、悪く言えばアクの強いクセが感じられるように思います。

ビブラートを多用するホルンソロ、音を割りまくって咆哮する低音金管楽器群、クライマックスでのトランペットは喉をかきむしりながら絶叫しているかのような響きが大変印象的です。

加えて残響の少ない生々しく荒々しい響きはまさに剥き出しといった感じで、現代の録音にはない張り詰めた緊張感を味わえます。

熱狂的な賛辞を送る方が多い録音ですが、ベルリン・フィルやウィーン・フィルに代表される西欧のオケの近年の録音を中心に聴かれている方には、その独特の響きから少し奇異に感じることがあるかも知れません。

クラシック初心者の方は敬遠しても良いかも知れませんが、もう一歩奥深いクラシックの世界に足を踏み入れたい方にはぜひ一度チャレンジしていただきたいおすすめのアルバムです。

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ショスタコーヴィチ|交響曲第5番

「ビシュコフ&ベルリン・フィル」「エリアフ・インバル&フランクフルト放送響」「ハイティンク&コンセルトヘボウ管」「モーシェ・アツモン&シュトゥットガルト放送響」「ルドルフ・バルシャイ&ケルンWDR交響楽団」「ウルバンスキ&NDRエルプフィル」「ヤンソンス&オスロ・フィル」「ヴァシリー・ペトレンコ&ロイヤル・リヴァプール・フィル」「ロストロポーヴィチ&ロンドン響」「マキシム・ショスタコーヴィチ&ロンドン響」「ジャナンドレア・ノセダ&ロンドン響」「小林研一郎&ロンドン・フィル」「アシュケナージ&ロイヤル・フィル」「テミルカーノフ&サンクトペテルブルグ・フィル」「ユーリ・シモノフ&モスクワ・フィル」「ゲルギエフ&キーロフ歌劇場管」「ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル」「スヴェトラーノフ & ロシア国立響」「フェドセーエフ & モスクワ放送響」「バーンスタイン&ニューヨーク・フィル」「サヴァリッシュ&フィラデルフィア管」「マイケル・ティルソン・トーマス&サンフランシスコ響」「アンドリス・ネルソンス&ボストン響」「ロストロポーヴィチ&ワシントン・ナショナル響」「マンフレッド・ホーネック&ピッツバーグ響」「マゼール&クリーヴランド管」「デュトワ&モントリオール響」「スクロヴァチェフスキ&読売日響」「アレクサンドル・ラザレフ&日本フィル」「エリアフ・インバル&東京都響」「ジョナサン・ノット&東京交響楽団」「小林研一郎&名古屋フィル」他

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赤文字で表記しているのはおすすめの名盤のコーナーで紹介した録音です。

「ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル」の演奏もありますが、私の探した限り1973年の東京ライヴ盤は見当たりませんでした。

それ以外の録音では「ビシュコフ&ベルリン・フィル」もおすすめです。ムーティの代役としてベルリン・フィルに登場してこの曲で衝撃のデビューを飾った翌年に録音されたもので、ベルリン・フィルの機能性を十分に活かした安心して聴けるアルバムです。

「ハイティンク&コンセルトヘボウ管」も名盤の評価の高い録音で、落ち着いたテンポで力強く堂々とした雰囲気が印象的な演奏です。

「バーンスタイン&ニューヨーク・フィル」の演奏はモスクワを訪問した直後に録音された爆速の1959年の録音と1979年の演奏の両方が楽しめるのでぜひ聴き比べてみてください。

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まとめ

交響曲第5番はショスタコーヴィチの代表作として知られ、日本では昭和の頃より「革命」の副題で親しまれてきました。

関西にお住いの中高年の方の中には刑事ドラマ『部長刑事』のオープニングテーマとして記憶されている方もいるのではないでしょうか。

一聴すると苦悩を乗り越えて歓喜へと繋がるようなベートーヴェンの5番を思わせる曲の構成は、初演以来、多くの人に社会主義革命への礼賛のように受け取られてきましたが、その後の様々な研究により、そこには別の違った真意がメッセージとして込められているのではないかという見方が大勢を占めるようになってきました。

真実はショスタコーヴィチのみぞ知るところですが、こうした後世の人々の考察が正しければ、日本で流布している「革命」などという副題は、ショスタコーヴィチにとっては片腹痛いものでしかないのかも知れません。

しかし、まだ中高生の多感な頃に「革命」のタイトルでこの曲を聴いた筆者のような昭和世代のクラシックファンにとっては、そうは言われても、やはりこの「革命」のタイトルがしっくりくるような気がしてなりません。

今回は作曲の背景についてあれこれと書きましたが、こうした様々な憶測を抜きにして純粋にショスタコーヴィチの世界に没入するも良し、いろんな説を踏まえてあれこれと妄想しながら聴くも良し、楽しみ方は千差万別で良いように思います。

ぜひ皆さんなりの楽しみ方で気軽にお楽しみいただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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