モーツァルト「交響曲第35番《ハフナー》」

まずはダイジェストで聴いてみよう!

力強く華やかな冒頭の主題は柔らかな旋律を挿み、再び現れるとさらに華やかに展開していきます。

まずは第1楽章、冒頭部分をダイジェストで聴いてみましょう。

クラウディオ・アバド指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヨーロッパ・コンサート1991:プラハ、スメタナ・ホール

作曲の背景

交響曲第35番 ニ長調 K. 385「ハフナー」はオーストリアの作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1783年に作曲した交響曲です。

1781年3月、ミュンヘンに滞在していたモーツァルトはザルツブルク大司教コロラドの命でウィーンへ赴きますが、そこで大司教コロラドと衝突し、6月にはザルツブルク宮廷オルガニストの職を解雇されます。

そのままウィーンに留まることを決めたモーツァルトは下宿先のウェーバー家の娘、コンスタンツェ・ウェーバー(1762-1842)と恋仲になります。

彼女はかつてモーツァルトが恋をしたアロイジア・ウェーバーの妹で、作曲家、カール・マリア・フォン・ウェーバーの従姉にあたる人物です。

この恋愛は姉アロイジアの時と同じく父レオポルト・モーツァルト(1719-1787)の猛反対にあいますが、1782年8月、モーツァルトは反対を押し切ってコンスタンツェと結婚します。

この結婚の前月1782年7月、モーツァルトは親交のあったザルツブルクの元市長ハフナー家のジークムント2世が貴族に列せられる祝いの席で演奏するためのセレナーデの作曲を父レオポルトから依頼されます。

結婚を目前に控え、さらには同月に初演を控えていたオペラ「後宮からの誘拐」の準備で多忙を極めていたモーツァルトですが、父への手紙の中で多忙を愚痴りながらも、月末にはこのセレナーデの一部を書き送っています。

1783年3月に開催される演奏会のためにこのセレナーデを交響曲に編曲することを思いついたモーツァルトは、父へこのセレナーデの楽譜を送り返してくれるように依頼しますが、父レオポルトはどうした理由からか、なかなかこの求めに応じてくれませんでした。

再々の催促の上、ようやく父から送り返してもらったこのセレナーデの一部を削除し、編曲したのが今回ご紹介する交響曲第35番 ニ長調 K. 385で、愛称の「ハフナー」はこうした作曲の経緯に由来するものです。

この作品の元となったオリジナルのセレナーデは楽譜が遺されておらず、実験的な試みを除けば今日演奏されることはありませんが、モーツァルトは遡ること6年前の1776年にもハフナー家の娘の婚礼に際しセレナードを作曲していて、こちらは「ハフナー・セレナード」(セレナード第7番 ニ長調 K.250)の愛称で親しまれています。

1783年3月の初演には皇帝ヨーゼフ2世も臨席し、演奏会の最初と最後を飾った「ハフナー・シンフォニー」は大好評を博したようで、モーツァルトは喜びの手紙を父に書き送っています。

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モーツァルト「交響曲第35番《ハフナー》」解説

第1楽章:Allegro con spirito

冒頭、力強く2オクターブの跳躍をみせる壮麗なテーマが、この曲が元々祝祭的な場で演奏されるために書かれた曲だと改めて感じさせます。

跳躍した四分音符はフレーズの終わりを意識して比較的しっかりと演奏される場合も多いですが、次にご紹介する動画では特に弱拍を意識して処理しているように感じられます。(譜例①)
※参考譜はピアノ・スコアです。

譜例①:第1楽章冒頭部分

途中、何度か短調の薄暗い陰を見せますが、そのたびに冒頭の力強い主題とリズムが現れ、勢いを増していきます。

推進力と祝祭的な雰囲気を強く感じさせる楽章です。

第2楽章:Andante

いかにもモーツァルトらしい優美で流麗なアンダンテです。

第3楽章:Menuetto

明るく力強い主部に柔らかな旋律のトリオが挿まれた楽章です。

第4楽章:Presto

ざわめくような弱奏で始まりますが、9小節目で強奏になると力強さと疾走感を増し、一気に駆け抜けていきます。(譜例②)

譜例②:第4楽章冒頭部分

どこか「フィガロの結婚」序曲を思い起こさせる雰囲気がありますね。

モーツァルト「交響曲第35番《ハフナー》」youtube動画

モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 K. 385「ハフナー」
第1楽章(00:15)
第2楽章(06:00)
第3楽章(10:25)
第4楽章(13:00)

ナタリー・シュトゥッツマン指揮:スウェーデン室内管弦楽団

ナタリー・シュトゥッツマン(1965-)はフランス出身のコントラルト歌手です。2009年には「オルフェオ55」と言う室内オーケストラを創設し、指揮活動も行っています。

次の記事ではナタリー・シュトゥッツマンの歌唱動画をご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

モーツァルト「交響曲第35番《ハフナー》」名盤

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モーツァルト:後期6大交響曲(2CD)

CD-1
・交響曲第35番ニ長調 K.385『ハフナー』
・交響曲第36番ハ長調 K.425『リンツ』
・交響曲第38番ニ長調 K.504『プラハ』

CD-2
・交響曲第39番変ホ長調 K.543
・交響曲第40番ト短調 K.550
・交響曲第41番ハ長調 K.551『ジュピター』

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 カール・ベーム(指揮)
 録音:1959-66年(ステレオ)

ベルリン・フィル特有の壮麗で重厚なオーケストラの響きは近年のモーツァルトの録音作品に比べるとややベートーヴェン的に感じる向きもあるかもしれませんが、晩年のウィーン・フィルとの録音に比べると颯爽として歯切れのよい演奏が印象的なアルバムです。

最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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