マスネ「タイスの瞑想曲」【解説と無料楽譜】
目次
「タイスの瞑想曲」解説
タイスの瞑想曲はフランスの作曲家、ジュール・マスネ(1842-1912)が作曲した歌劇「タイス」の第2幕、第1場と第2場の間で演奏される間奏曲です。
フランスの詩人、小説家のアナトール・フランス(1844-1924)の小説「舞姫タイス」を原作とした歌劇「タイス」は1894年に初演された後、1898年に改訂されています。
物語の舞台は4世紀のエジプト、娼婦のタイスと修道僧アタナエルが繰り広げる愛の物語です。
この瞑想曲は愛と美の女神ヴィーナスを信奉する娼婦のタイスがキリスト教の修道僧アタナエルに、娼婦をやめキリスト教に改宗することを説得される場面で瞑想する際に流れる間奏曲です。
物語のあらすじは次の項で簡単にご紹介します。
原曲はコーラスを伴う管弦楽作品ですが、ピアノ伴奏のヴァイオリンをはじめ様々な楽器用に編曲されアンコールピースなど単独で演奏されることの多い作品です。
5分前後の短い作品ですので今回はオリジナルの編成の演奏動画といくつかの独奏楽器による編曲版の演奏動画をご紹介したいと思います。
歌劇「タイス」のあらすじ
修道僧のアタナエルは、人を堕落させるほど美しい魅力を持つ娼婦のタイスを何とかキリスト教へ改宗させ、神の道へ導きたいと考えます。
愛と美の女神ヴィーナスを信奉するタイスは「愛こそが全て!愛こそが真実!」と聞く耳を持ちません。
そうは言いつつも、華やかに見えてもどこか虚しい日常や、いずれは老いて失われていく自身の美しさに内心不安が募っていきます。
そんなタイスにアタナエルは「永遠の幸福へ導こう!キリストの花嫁となって永遠に生きるのだ!」と諭します。
永遠という言葉に心が揺らいだタイスは、長い瞑想の末に神に仕えるためアタナエルについて行く決心をします。
※ここで演奏されるのがタイスの瞑想曲です。タイスの揺れ動く心情が美しいヴァイオリン独奏によって見事に描写されます。
神に仕えると決めたタイスは家も持ち物も全てを灰にして俗世に別れを告げ、アナタエルと共に砂漠の向こうにある修道院を目指します。
修道院にタイスを託し別れを告げるアタナエルでしたが、タイスのことが頭から離れません。
ある日アタナエルは美しく妖艶な姿のタイスが夢に現れ、タイスの死を予兆します。
驚いたアタナエルは、タイスを託した修道院へと急ぎます。
ようやく辿り着いてタイスに再会しますが、彼女は憔悴しきって身体を起こす事さえ出来ません。
贖罪のために3ヶ月もの間、眠らずに祈り続けたからです。
アタナエルを見て弱々しく微笑むタイスに 「私は君に嘘をついた!愛だけが真実だ!天国なんてないんだ!タイス、君を愛している!」と告げます。
すでに死の床にあるタイスはキリスト教の教えの通り、美しい薔薇が咲く天国で、たくさんの花束を抱えた天使たちが自分を迎え入れてくれることを思い描きながら天国へ旅立ちます。
娼婦であったタイスが信仰を貫き通したとき、信仰の道を歩んできた修道僧のアタナエルが俗世の感情に支配されると言うシニカルとも言える結末を迎えます。
娼婦に心奪われた修道僧が最後は信仰をも否定すると言うような内容は当時としてはかなりセンセーショナルだったのではないでしょうか?
「タイスの瞑想曲」youtube動画
マスネ:タイスの瞑想曲
Markus Stenz指揮 オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:Niek Baar
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
ヴァイオリン:David Chan
「タイスの瞑想曲」編曲版動画
マスネ:タイスの瞑想曲(ヴァイオリン版)
ヴァイオリン:Rusanda Panfili
ピアノ:Donka Angatscheva
マスネ:タイスの瞑想曲(フルート版)
フルート:Katherine Bryan
ピアノ:Scott Mitchell
マスネ:タイスの瞑想曲(ピアノ版)
ピアノ:Andrew von Oeyen
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ご利用方法がわからない方は下記の記事を参考にしてください。
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