【2025年版】IMSLPの使い方完全ガイド|無料クラシック楽譜の探し方・ダウンロード方法
IMSLPはクラシック音楽の楽譜を無料でダウンロード・閲覧できるオンライン図書館です。
著作権が切れた作品や、作曲家自身が無償提供を希望する作品など、80万点を超える楽譜が無料で利用できます。
この記事では、IMSLPでの楽譜の探し方や閲覧・ダウンロード方法など使い方全般を、初心者の方にもわかりやすく解説しています。
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目次
「IMSLP」とは?

「IMSLP」は、International Music Score Library Project (国際楽譜ライブラリープロジェクト) の略で、著作権の切れた楽譜を中心に仮想図書館を作ろうというプロジェクトです。
別名「ペトルッチ楽譜ライブラリー」とも呼ばれ、パブリックドメインの楽譜や録音を無料で閲覧・ダウンロードできます。
IMSLPのメインページによれば、この記事を書いている段階で、
- 作曲家:26,870人
- 作品:245,719曲
- 楽譜:815,651冊
- 演奏者:2,061人
- 録音:90,400本
の作品を公開しています。
ちなみに日本の著作権法には次のように保護期間が規定されています。
著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。
引用:著作権法第51条2項
日本は従来、著作権者の死後50年の保護期間を採用していましたが、2018年12月30日から70年に延長されました。
IMSLPは、著作権の保護期間が国によって異なることを考慮して、複数の基準でパブリックドメインと判断された楽譜を公開しています。
詳しくは「IMSLP」内の関連ページをご参照ください。

編曲者や楽譜校訂者の著作権が絡んでくる場合があります。死後70年経過した作曲家の作品でも著作権欄に警告表示のあるものは気を付けましょう!
「IMSLP」の使い方
それでは早速「IMSLP」の使い方を解説していきたいと思いますが、ここではパソコンが苦手な方でもわかりやすいように、画像を交えながら順に説明していきたいと思います。
IMSLP:作曲者一覧から楽譜を探す方法
楽譜検索は作曲家名、タイトルなどを直接入力する方法もありますが、作曲者一覧から検索する方法がわかりやすいと思うので、まずはこの方法で説明したいと思います。
①下のリンクをクリックして「IMSLP」のメインページを開いてみましょう。
『IMSLP』公式サイトはこちら
②メインページ左上「Scores」タブの中の「作曲者から」をクリックしてみましょう。

作曲家の名前がアルファベット順に並んでいます。
今回は例としてベートーヴェンの「エリーゼのために」の楽譜をダウンロードしてみましょう。
③作曲家のカテゴリーの中からベートーヴェン(Beethoven)が該当する「Bay」をクリック。

※クリックしても一見、何も変わらないようですが、下にスクロールすると該当の作曲家がアルファベット順に表示されています。
④「Beethoven,Ludwig van」をクリック。

↓↓↓

下へスクロールするとIMSLPにアーカイブされているベートーヴェンの作品一覧が表示されます。
↓↓↓

⑤「Für Elise,WoO 59」をクリック。

すると楽譜のダウンロード画面が表示されます。ここでは異なる版のものが複数表示されているので、出版社情報などを参考に良さそうなものを選んでダウンロードしましょう。
⑥「Complete Score」をクリック


⑦「ダウンロードを再開するにはこちらをクリックしてください。」をクリック。

これでダウンロードは完了です。PDFファイルとして表示されていますので、右上のアイコンから「印刷」「名前を付けて保存」などしてご利用ください。

楽譜の「Scores」タブの右横「Arrangements and transcriptions」タブをクリックすれば様々な編曲版も公開されています。

IMSLP:その他の方法で楽譜を探す
IMSLPメインページの検索窓に作品タイトルを直接入力することでも楽譜を探すことができます。
例えば検索窓に直接「エリーゼのために」と入力すると次のような検索結果が表示されます。

↓↓↓

このように「Google」の検索結果画面が表示されますので、該当の箇所をクリックすればダウンロード画面が表示されます。

作品のタイトルがはっきりとわかっていれば、ダイレクトに入力して検索する方が早いかも知れませんね。
楽器編成でも検索ができます。
例えば検索ボックスに「flute piano」と入力して検索すると、

先ほどと同様に「Google」の検索結果欄を経由して

フルートとピアノのための作品が表示されます。

また、メインページの左上にある「Scores」タブで「曲種や楽器編成から」を選べば、

曲種や楽器編成、楽器の種類などで検索できます。


ご自身のスタイルにあった検索方法をいろいろと試してみるといいでしょう!
IMSLPで楽譜を検索する時のコツ
IMSLPで楽譜を検索する時に、①原語タイトル②作品番号③整理番号を事前に調べておくと便利です。
※ウィキペディアで検索すればひと通り表示されます。
バッハ、ハイドン、モーツァルトなどの作曲家は非常に多くの作品を遺しているため、目当ての作品がすぐに見つからないケースがあります。
そのため、作品固有の番号を調べておくと簡単に目的の作品を探すことができます。
作品番号は作曲順もしくは出版順に付けられた番号で「Op.12」「作品12」のように表示されています。

作曲家あるいは作品によっては付けられていない場合もあります。
整理番号は音楽学者などによって付けられた学術的な整理番号(作品目録番号)です。
多くの作品を遺しているバロックや古典の作曲家の作品を検索する際は特に便利です。
参考までに代表的な整理番号を挙げておきます。
今回の参考例にあげたベートーヴェンの「エリーゼのために」には「WoO 59」の番号が付けられていますが、これはベートーヴェンの初期の作品などに付けられ「作品番号なし」を意味しています。
作曲家の整理番号についてはウィキペディアを参照してください。
IMSLP:利用上の注意点
利用上の注意点と言っても著作権に関しての注意点はIMSLPの関連ページをご覧いただくとして、ここでは音楽愛好家として個人的に感じた注意点を挙げたいと思います。
楽譜の信頼性

IMSLPにアーカイブされている楽譜は、一部の例外を除き著作権の切れた古い楽譜が中心です。
その後の研究等によって校訂された最新の楽譜と比べると楽譜の信頼度という点では保証されていません。
IMSLPの楽譜の中には、著名な出版社の楽譜もありますが、アマチュア愛好家を含む個人が作成した楽譜も含まれています。
ただ、こうしたことは私自身アマチュア愛好家として多くの楽譜を購入してきましたが、高価な最新の版を購入したとしてもよく経験することです(笑)
ご自身で楽器を演奏して楽しんだり、楽譜を見ながら音楽を聴いて楽しむ分には何ら問題ないと思いますが、特に先生についてレッスンをされている方は少し気を付けた方がよいかもしれません。
先生:「次回からはドビュッシーの『月の光』やってみましょうか?」
生徒:「あっ!私、その楽譜持っています!」
なんてIMSLPでダウンロードした楽譜でレッスンに臨むのは好ましくないかもしれません。
合奏仲間などグループで共有する時の注意点

ただし使い方の例でもご紹介したように、IMSLPには1つの楽曲でも複数の版がアーカイブされています。
楽譜の版を統一して共有しないとアーティキュレーションや強弱記号など微妙なニュアンスが異なっている場合があります。
練習記号や小節数の記入箇所が違う場合もあるので、持ち寄った楽譜の版が違うと、
Aさん:「練習記号のⒺから合わせてみましょうか?」
Bさん:「Ⓔ?…Ⓔってどこですか?」
Aさん:「えっと…136小節目ですね。」
Bさん:「ここが130小節なので、131…132…」
と一生懸命に指を折って小節数を数えないといけないなどということがよく起きます。

IMSLPで楽譜を共有して、各自がダウンロードする場合は、どの版を使うか決めておくことが大事です!
まとめ
クラシック音楽業界のためにも、楽譜を購入して使用することはとても大事なことだと思います。
ただ、楽譜を購入してから「失敗したなぁ」と後悔することもよくあります。
IMSLPを利用すれば、楽譜を購入する前に確認することができますし、絶版・廃版などにより入手困難な楽譜をダウンロードできる可能性もあります。
みなさんもご自身のスタイルに応じてIMSLPを上手く活用して、クラシック音楽をより楽しんでいただければ幸いです。
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