シューベルト「アヴェ・マリア」【歌詞と解説】

2020年9月16日

シューベルト「アヴェ・マリア」の解説

「シューベルトのアヴェ・マリア」として知られる「エレンの歌 第3番 作品52-6 D.839」はオーストリアの作曲家、フランツ・シューベルト(1797-1828)が1825年に作曲した歌曲です。

この作品はスコットランドの詩人で小説家のウォルター・スコット(1771-1832)の叙事詩「湖上の美人」をドイツ語に訳した詩に曲を付けた歌曲集「湖上の美人」の第6曲で、3作からなる「エレンの歌」の第3番にあたります。

この叙事詩「湖上の美人」は遡ること6年前の1819年に同時代のイタリアの作曲家ロッシーニ(1792-1868)によって歌劇にも仕立て上げられています。

簡単なあらすじを次の項で紹介しますが、本来の歌詞は物語の中で父の無事を聖母マリアに嘆願するような内容となっています。

これが後に歌いだしの「アヴェ・マリア」がカトリックの伝統的なラテン語の祈祷文の冒頭句と一致していることもあり、祈祷文をそのままシューベルトの旋律に載せて歌われるようになりました。

つまりシューベルトのオリジナルはドイツ語に訳されたウォルター・スコットの詩で、後世の慣例でカトリックで用いられるラテン語の祈祷文がそのまま歌詞として用いられるようになったと言うことです。

こうした経緯からこの「アヴェ・マリア」は宗教音楽として理解されることが多いようです。

とは言えその清浄な美しさに包まれた曲想は宗教音楽であると言われても何ら違和感のないようにも思います。

「湖上の美人」のあらすじ

舞台は16世紀、スコットランド王から反逆罪で追放された伯爵ダグラスの娘エレンは狩りの途中で道に迷った若き国王と出会います。

正体を明かさずにお礼として自分の指輪をエレンに渡してその場を後にする若き国王。

その後エレンの父は反乱軍のリーダーとして国王と戦いますが、結局は敗れてエレンの恋人マルコムと共に捕えられます。

そこでエレンが聖母マリアに父の無事を祈り歌ったのが、このアヴェ・マリアです。 

困ったことがあればお城に来て指輪を見せるようにとの言葉を頼りにエレンはお城に向かいます。

そしてあの時道に迷っていた青年こそが父たちを捕らえた国王だと知るのでした。

エレンに心惹かれる国王でしたが、結局は約束通りに父と恋人マルコムを釈放して二人はめでたく結ばれるのでした。

「アヴェ・マリア」歌詞

ここではウォルター・スコットの詩の和訳ではなく、聴く機会の多いカトリックの祈祷文を用いた歌詞とその日本語訳をご紹介したいと思います。

日本語訳に関してはカトリック中央協議会のHPに掲載してある「アヴェ・マリアの祈り」を参考にしています。

歌詞中に度々登場するラテン語の「Ave(アヴェ)」は日本語の「おめでとう」「こんにちは」にあたり、カトリック教会でもかつては「めでたし」と和訳されていたようです。

尚、シューベルトが元々曲を付けたウォルター・スコットの詩のドイツ語訳と和訳については下記のリンク先に詳しく掲載されていましたので関心のある方はそちらを参考にしてください。
「アヴェ・マリア(エレンの歌第3番)歌詞」(芸能の雑学・豆知識)

Ave Maria, gratia plena
アヴェ、マリア 恵みに満ちた方

Maria, gratia plena
マリア 恵みに満ちた方

Maria, gratia plena
マリア 恵みに満ちた方

Ave, Ave Dominus
主は

Dominus tecum
主はあなたとともにおられます

benedicta tu in mulieribus
あなたは女のうちで祝福され

et benedictus
祝福され


et benedictus fructus ventris
ご胎内の御子

ventris tui Jesus
イエスも祝福されています

Ave Maria
アヴェ、マリア

♪♪♪

Ave Maria
アヴェ、マリア

Sancta Maria
聖マリア

Maria mater Dei
神の母

Maria mater Dei
神の母

ora pro nobis peccatoribus
わたしたち罪びとのために

nunc, et in hora mortis nostrae
今も死を迎える時もお祈りください

nunc, et in hora mortis
今も死を迎える時もお祈りください

nunc, et in hora mortis nostrae
今も死を迎える時もお祈りください

et in hora mortis nostrae
死を迎える時もお祈りください

Ave Maria
アヴェ、マリア

次にご紹介する動画ではオリジナルのドイツ語の歌詞とカトリックの祈祷文を用いたものの両方をご紹介したいと思います。

シューベルト「アヴェ・マリア」のyoutube動画

最初にご紹介するのはプラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスと共に「三大テノール」として一世を風靡した20世紀を代表するイタリアのオペラ歌手、ルチアーノ・パヴァロッティです。

「神に祝福された声」と評された豊かで美しい声に魅了されます。

歌詞はラテン語のカトリック祈祷文を用いたものです。

シューベルト:アヴェ・マリア

ズービン・メータ指揮 ロサンジェルス・フィルハーモニック
テノール:ルチアーノ・パヴァロッティ

次にご紹介するのは華やかで親しみやすいステージで世界的な人気を誇るアンドレ・リュウ率いるヨハン・シュトラウス・オーケストラの演奏です。

ソプラノのMirusia Louwerseさんは1985年、オーストラリア生まれのソプラノ歌手です。

観客の頬を伝う涙が感動的なステージです。この演奏も歌詞はラテン語のカトリック祈祷文を用いたものです。

シューベルト:アヴェ・マリア

アンドレ・リュウ指揮 ヨハン・シュトラウスオーケストラ
ソプラノ:Mirusia Louwerse

最後にご紹介する動画ではシューベルトが元々作曲した時の歌詞、ウォルター・スコットの詩をアダム・シュトルクがドイツ語に訳したものが使われています。

※こちらの動画は埋め込みが出来ません。下記のタイトルをクリックしていただき、リンク先のyou tubeでご覧ください。

シューベルト アヴェ・マリア(エレンの歌 第3番 作品52-6 D.839)

マルク・ピオレ指揮 ミュンヘン放送管弦楽団
ソプラノ:Annette Dasch

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