フランク「Panis Angelicus(天使の糧)」歌詞、解説、無料楽譜とおすすめの名盤
目次
「Panis Angelicus(天使の糧)」解説
「Panis Angelicus(天使の糧)」はフランスで活躍した作曲家、オルガニストのセザール・フランク(César Franck/1822-1890)が1860年に作曲した「3声のミサ曲 イ長調 作品12 FWV61」の第5曲として、1872年に追加された楽曲です。
「3声のミサ曲 作品12」は「1.キリエ (Kyrie)」「2.グローリア (Gloria)」「3.クレド (Credo)」「4.サンクトゥス (Sanctus)」「5.パニス・アンジェリカス (Panis Angelicus)」「6.アニュス・デイ (Agnus Dei)」の6曲からなるミサのための作品です。
後に追加された「Panis Angelicus(天使の糧)」以外の5曲はオルガン、コントラバス、ハープの伴奏に、ソプラノ、テノール、バスの3声による歌唱が展開されますが、「Panis Angelicus(天使の糧)」はオルガン、チェロ、ハープの伴奏にテノールの独唱と言う編成の違いがあります。
また、テキストに関しても先の5曲はカトリック教会で伝統的に用いられる基本的な典礼文を用いていますが、「Panis Angelicus(天使の糧)」は中世イタリアの有名な神学者、トマス・アクィナス(1225?-1274)が書いた讃美歌の一節を用いています。
フランクは幼い頃からピアノの才能を開花させ、成人してからは作曲活動と共に教会のオルガン奏者としても活動をしています。
そのため作品の中には教会音楽やオルガンのための作品が多数あります。
この作品が書かれた時期には、パリにあるサント・クロチルド聖堂のオルガン奏者として奉職しており、フランクは生涯その勤めを果たしながら作曲活動を行うことになります。
タイトルの「Panis Angelicus(パニス・アンジェリクス)」は「天使の糧」「天使のパン」などと訳されますが、ここで言う「パン」とはキリスト教における「聖体」としての「パン」の意味です。
「3声のミサ曲 作品12」としてオリジナルの編成で演奏される機会は少ないかも知れませんが、「Panis Angelicus」として単独で様々なアレンジで演奏される機会の多い作品です。
短い楽曲ですが、とても美しく心が洗われる作品ですので、ぜひ聴いてみて下さい。
「Panis Angelicus(天使の糧)」歌詞と和訳
Panis angelicus
fit panis hominum;
Dat panis cœlicus
figuris terminum:
O res mirabilis!
Manducat Dominum
Pauper, servus et humilis.
天使のパンは人のパンとなった、
天のパンであって、
旧約の前表を全うした。ああ感嘆すべきことよ、
「Panis angelicus」聖路加国際病院礼拝堂聖歌隊HP
貧しいもの、しもべ、
および卑しい者が主を食しまつるとは。
「Panis Angelicus(天使の糧)」YouTube動画
セザール・フランク作曲:Panis Angelicus(天使の糧)
ソプラノ:ミルシア・ロウェルズ
アンドレ・リュウ指揮:ヨハン・シュトラウス・オーケストラ
ミルシア・ロウェルズ(1985-)はオーストラリアのソプラノ歌手、2007年からアンドレ・リュウ率いるヨハン・シュトラウス・オーケストラのスターソプラノとしてツアーに参加しています。
「ワルツ王」の異名を持つヴァイオリニストで指揮者のアンドレ・リュウは、「音楽は楽しむもの」という信念のもと、クラシック音楽を楽しく気軽に楽しめるようなステージ演出で、欧米を中心に爆発的な人気を誇っています。
こちらの動画は2013年にオランダのアムステルダムにあるヨハン・クライフ・アレナ(旧アムステルダム・アレナ)で行われたライブでの演奏です。
ヨハン・シュトラウス・オーケストラの面々に加え、膨大な人数の金管楽器群の温かい響きに包まれ、透明感溢れるミルシア・ロウェルズの素晴らしい歌声が心に響く演奏です。
アリーナを埋め尽くした聴衆の口ずさむ姿に、演奏者と聴衆が一体となった感動が、見ている方にも伝わる素敵な動画です。
「Panis Angelicus(天使の糧)」おすすめの名盤
クロエ・アグニュー(ケルティック・ウーマン)
歌唱:クロエ・アグニュー(Chloë Agnew)
クロエ・アグニュー(1989-)は、アイルランド出身の女性で構成される音楽グループ「ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)」で活躍した歌手です。
ケルティック・ウーマンは1991年に結成され、2005年3月にリリースされたファーストアルバム『ケルティック・ウーマン』が、ビルボード世界音楽チャート81週連続1位という記録を作り、旋風を巻き起こします。
日本では2006年に行われたトリノオリンピックのフィギュアスケートで、金メダルを受賞した荒川静香さんが、エキシビションでケルティック・ウーマンが録音した「ユー・レイズ・ミー・アップ」を使用したことでも名前を知られることになります。
メンバーは結成後、入れ替わりが多く、クロエ・アグニューは2004年にケルティック・ウーマンに参加、2013年に一時的に脱退、2020年1月に再加入しましたが、2022年8月に再び脱退されています。
ご紹介した動画はアイルランドのスレイン城で行われたケルティック・ウーマンのライブでの歌唱で、透明感あふれる清らかな歌声はまさしく「天使の歌声」と呼ぶのにふさわしく心に沁みます。
ご紹介した動画はこちらのDVDに収録されています。
【New Journey Live At Slane Castle Ireland】
ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)
このDVDでは「Panis Angelicus(天使の糧)」の他に、先ほど触れた「ユー・レイズ・ミー・アップ」、トヨタ・エスティマハイブリッドのCM曲として使われた「ビヨンド・ザ・シー」など全25曲を、スレイン城をバックにした幻想的なステージで楽しむことができます。
CDはこちらのクリスマスソングを集めたアルバムに収録されています。
【クリスマス・セレブレーション】
ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)
こちらのアルバムは「Panis Angelicus(天使の糧)」の他に「Oh Holy Night」「White Christmas」「Silent Night」など定番のクリスマスソング全15曲をケルティック・ウーマンの澄みきった歌声で楽しめる、クリスマスにぴったりのアルバムです。
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テノール:アンドレア・ボチェッリ
アンドレア・ボチェッリ(1958-)はイタリア出身のテノール歌手です。
盲目のハンディを乗り越えて、三大テノールの一人として一世を風靡したルチアーノ・パヴァロッティに見い出された世界的に活躍するテノール歌手です。
アルバムの全世界での売上枚数は9000万枚を超える驚異的なもので、ご紹介した動画は、ボチェッリの公式チャンネルのものですが、この記事を書いている時点でチャンネル登録者数が570万人を超えていると言う、クラシックのアーティストとしては異例の人気を誇るテノール歌手です。
動画は1999年3月にローマにあるサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会で行われたライブを収録したもので、こちらのDVDに収録されています。
【セイクリッド・アリアズ~アヴェ・マリア】
テノール:アンドレア・ボチェッリ
チョン・ミョンフン指揮
サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団
サンタ・チェチーリア国立アカデミー合唱団
アルクム少年合唱団
このDVDでは「Panis Angelicus(天使の糧)」の他に、「カッチーニ、グノー、シューベルトのアヴェ・マリア」「オンブラ・マイ・フ」など心癒される曲を中心に、美しい教会でのコンサートが楽しめます。
映像には美しいローマの街並みやトスカーナのぶどう畑、ボチェッリの日常の光景などが散りばめられ、クラシック初心者の方にも気軽に楽しんでいただける内容となっています。
また収録内容は一部異なりますが同じタイトルのCDも発売されています。
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チェチーリア・バルトリ
メゾ・ソプラノ:チェチーリア・バルトリ
チェチーリア・バルトリ(1966-)はイタリア出身のメゾ・ソプラノ歌手です。
若い時から名声を得たバルトリは、モーツァルトとロッシーニのオペラの役には特に定評があり、現代を代表するメゾ・ソプラノとして世界的に有名です。
このアルバム『ため息~ベスト・オブ・バルトリ』は、彼女がこれまで録音してきたアルバムの中から、バロック・アリア、ベル・カント・アリア、宗教曲など幅広いジャンルの印象的なレパートリーをピックアップしたベスト盤となっています。
クラシック初心者の方には耳馴染みのない曲が含まれているかも知れませんが、「これからちょっとオペラを聴いてみようかな?」と思われている方にはぴったりのアルバムとなっています。
『Panis Angelicus(天使の糧)』では天上の音楽のような神々しい声を響かせているバルトリが、様々な作品で魅せる幅広い表現の歌唱にも注目してお楽しみください。
【ため息~ベスト・オブ・バルトリ】
メゾ・ソプラノ:チェチーリア・バルトリ
収録曲:「Panis Angelicus(天使の糧)」他、全13曲
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フランク「Panis Angelicus(天使の糧)」無料楽譜(IMSLP)
上記のタイトルをクリックして、リンク先から無料楽譜をダウンロード出来ます。ご利用方法がわからない方は下記の記事を参考にしてください。
「楽譜」⇒「Arrangements and transcriptions」タブをクリックすれば、ソプラノ、テノールといった声楽をはじめ、様々な楽器や伴奏にアレンジされた楽譜が見つかるはずです。
短くも心に残る印象的な曲なので、発表の機会があればアマチュア愛好家の皆さんもぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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※下記の検索結果は本記事の投稿日現在、「Amazon Music Unlimited」で「Panis Angelicus」「天使の糧」「天使のパン」などのキーワードで検索した例です。すべての録音を表示しているわけではありませんのでご了承ください。
女声:「ジェシー・ノーマン(ソプラノ)」「キリ・テ・カナワ(ソプラノ)」「ルネ・フレミング(ソプラノ)」「パトリツィア・ヤネチコヴァ(ソプラノ)」「エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)」「幸田浩子(ソプラノ)」「チェチーリア・バルトリ(メゾ・ソプラノ)」「アーフェ・ヘイニス(メゾ・ソプラノ)」「キャサリン・ジェンキンス(メゾ・ソプラノ)」「アンナ・ラーション(メゾ・ソプラノ)」「クロエ・アグニュー(ケルティック・ウーマン)」「ナナ・ムスクーリ」「シセル」「ジャッキー・エヴァンコ」「ジュエル」「高垣彩陽」他
男声:「プラシド・ドミンゴ(テノール)」「ホセ・カレーラス(テノール)」「ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)」「アンドレア・ボチェッリ(テノール)」「ファン・ディエゴ・フローレス(テノール)」「ヴィットリオ・グリゴーロ(テノール)」「ラモン・バルガス(テノール)」「ベニャミーノ・ジーリ(テノール」「ジョン・健・ヌッツォ(テノール)」「岡本知高(ソプラニスタ)」「藤木大地(カウンターテナー)」「アレッド・ジョーンズ」「イル・ディーヴォ(ヴォーカル・グループ)」「フォルテ・ディ・クアトロ(ヴォーカル・グループ)」「クワイヤーボーイズ(ヴォーカル・グループ)」「ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団」「ジョシュ・グローバン」「ポール・ポッツ」他
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赤文字で表記しているのは「おすすめの名盤」のコーナーでご紹介したアーティストです。
女声では澄み切った歌声が印象的なソプラノのキリ・テ・カナワ、豊かな歌声が魅力のジェシー・ノーマン、パトリツィア・ヤネチコヴァは癖のない若くフレッシュな歌声を楽しめます。
オペラ歌手以外では透明感に溢れ、それでいてしっとりした表現が素晴らしいノルウェーの国民的歌手シセル、ジャッキー・エヴァンコはやや発音に癖があるような気もしますが、当時わずか10歳のまさに天使の歌声が楽しめます。
男声ではドミンゴ、カレーラス、パヴァロッティの三大テノールを聴き比べるのも楽しいですね。
現役テノールでは伸びやかな高音が魅力的なファン・ディエゴ・フローレス、オペラ歌手以外では、かつてボーイソプラノとして活躍したアレッド・ジョーンズ、わずか17才でアンドレア・ボチェッリの代役を務めたジョシュ・グローバンなどもおすすめです。
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まとめ
フランク作曲の「Panis Angelicus(天使の糧)」いかがでしたでしょうか?
心がザワザワと落ち着かない時、心休まる音楽に癒されたい時、そんな時に聴いてみたい美しい作品です。
とても短い作品ですので、いろんなアーティストの歌唱を聴き比べてみるのも面白いかも知れませんね。
ぜひ貴方のお気に入りを見つけてみて下さい!
最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
アンドレア・ボチェッリの歌唱動画はこちらでもご紹介しています。
クラシック界の異端児、エリック・サティが作曲したシャンソンの名曲!
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