マーラー 交響曲第2番「復活」

2020年4月27日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

舞台上にずらりと並ぶ金管楽器群、ティンパニ2台に鐘を含む多数の打楽器群、ソプラノとアルトの独唱と合唱団、さらにはオルガンに加え舞台外に配置される金管楽器群・・・大規模なオーケストラで演奏される壮大でドラマティックなクライマックスは一度聴けば誰もが魅了されることでしょう。

まずは第5楽章をダイジェストで聴いてみましょう。

サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

この部分の歌詞の訳は次の通りです。

私が勝ち取った翼で
私は飛び去っていこう!
私は生きるために死のう!
よみがえる、そうだ、おまえはよみがえるだろう、
わが心よ、ただちに!
おまえが鼓動してきたものが
神のもとへとおまえを運んでいくだろう!

引用:ウィキペディア

マーラー 交響曲第2番 作曲の背景

交響曲 第2番 ハ短調「復活」はオーストリアの作曲家、グスタフ・マーラー(1860-1911)が1894年に書きあげた交響曲です。

「復活」の標題は第5楽章で歌われる賛歌のタイトルですが、マーラー自身がこの交響曲の標題として用いたものではありません。

1888年、マーラーは最初の交響曲となる交響曲第1番(発表当初は交響詩)を書きあげると早速新しい交響曲の作曲に取り掛かります。

同年中には交響曲第2番の第1楽章を完成させたマーラーですが、この新しい作品はその後しばらくそのままにされることになります。

1891年、ハンガリー王立歌劇場の音楽監督の職を辞し、ハンブルク市立劇場の指揮者に就任したマーラーは既に作曲していた交響曲第2番の第1楽章に「葬礼」のタイトルを付し、単独の交響詩として出版することを打診しますが、これは出版社の方から断られることになります。

1892年には歌曲集「子供の魔法の角笛」が作曲されますが、翌1893年にこれに加えられた「原光」が交響曲第2番の第4楽章に転用された他、この歌曲集からは後に作曲される交響曲第3番、交響曲第4番にも転用されていることから、これら3つの交響曲を総称して「角笛交響曲」などと呼ばれることもあります。

1893年、単一楽章の交響詩として発表することを諦めたマーラーはこれを交響曲として完成すべく、第2楽章から第4楽章を完成させます。

1894年、当時の高名な指揮者で、マーラーの良き理解者でありまた批判者でもあったハンス・フォン・ビューロー(1830-1894)の葬儀に参列した際、ドイツの詩人フリードリヒ・クロプシュット(1724-1803)の詩による賛歌「復活」が歌われるのを聴き、自作の終楽章に用いるインスピレーションを得ます。

知人に宛てた手紙にはその時のことが次のように書かれていたそうです。

あたかも稲妻のようにわたくしの身体を貫き、曲の全体の形がわたくしの前に、はっきりと明らかな姿で現れました。創作する者はかくのごとき『稲妻』を待つこと。まさしく『聖なる受胎』を待つことなのです。

引用:ウィキペディア

奇しくもそのビューローは1891年に第1楽章をマーラーから試演して聴かされた際に作品に対して厳しい批評を下しています。

そのことが一因となったかどうかは定かではありませんが、結果、単一楽章の作品としての発表を断念し、その死に際して得たインスピレーションがこの素晴らしい交響曲を完成させることに繋がったのは実に不思議な縁と言わざるを得ません。

マーラーは自作の歌詞を加筆した後、その年の暮れにはこの曲を完成させます。

翌1895年、マーラー自身の指揮でベルリンフィルにより行われた初演は大成功を収めることになります。

マーラー 交響曲第2番 解説

第1楽章 Allegro maestoso

第1楽章はマーラー自身の言によれば、英雄の葬送の音楽だとのことです。

私の第1交響曲での英雄を墓に横たえ、その生涯を曇りのない鏡で、いわば高められた位置から映すのである。同時に、この楽章は、大きな問題を表明している。すなわち、いかなる目的のために汝は生まれてきたかということである。……この解答を私は終楽章で与える。


(引用:ウィキペディア)

弦楽器の荒々しく激しい旋律が印象的です。金管楽器の堂々たる旋律は英雄の歩みなのでしょうか、それとも葬送の行進曲でしょうか。

マーラーは第1楽章の終わりに5分以上の休憩をおくように指示しています。

現在のコンサートホールではその限りではありませんが、これから紹介する動画ではここで声楽のソリストを登場させています。

第2楽章 Andante moderato(24:35)

英雄の過去を回想しています。第1楽章とは雰囲気が異なり、くつろいだ雰囲気で舞曲風の音楽が展開されます。

第3楽章 Scherzo(35:30)

ティンパニの一打で過去の回想から引き戻されたようにはじまり、歯切れの良いリズムに乗って快活な旋律が展開されます。

第4楽章 Urlicht (47:10)

Urlicht(原光)と言うタイトルが付けられていますが、これはマーラーの歌曲集「子供の不思議な角笛」の第7曲「原光」に基づいています。

歌詞の大意は「神から生まれた私は、再び神のもとへと行く。神は私にひとつの光を与えてくれ、 永遠の喜びの生命にまで照らしてくれるだろう。」と言ったもので、アルトによる独唱で歌われます。

「よみがえるために死ぬ」と言う終楽章のテーマにもつながっています。

第5楽章 Im Tempo des Scherzos(52:25)

オーケストラの激しい咆哮で始まります。舞台裏から聴こえてくるホルンの音は天上の調べのようでもあります。
終楽章のテーマは生とは何か?死とは何か?と言う永遠の問いかけに対する答えであり、このテーマはマーラー自身の生涯をかけた自問自答であるかのようにも思います。

荒野に次のような声が響いてくる。あらゆる人生の終末はきた。……最後の審判の日が近づいている。大地は震え、墓は開き、死者が立ち上がり、行進は永久に進んでゆく。この地上の権力者もつまらぬ者も-王も乞食も-進んでゆく。偉大なる声が響いてくる。啓示のトランペットが叫ぶ。そして恐ろしい静寂のまっただ中で、地上の生活の最後のおののく姿を示すかのように、夜鶯を遠くの方で聴く。柔らかに、聖者たちと天上の者たちの合唱が次のように歌う。「復活せよ。復活せよ。汝許されるであろう。」そして、神の栄光が現れる。不思議な柔和な光がわれわれの心の奥底に透徹してくる。……すべてが黙し、幸福である。そして、見よ。そこにはなんの裁判もなく、罪ある人も正しい人も、権力も卑屈もなく、罰も報いもない。……愛の万能の感情がわれわれを至福なものへと浄化する。

(引用:ウィキペディア)

曲はやがて冒頭で紹介したクライマックスへと続きます。

「よみがえるために死ぬのだ!」
「最後の鼓動がお前を神のもとへ運ぶだろう!」

何度聴いても本当に感動的な作品です。

長大な作品の多いマーラーですが、この曲も1時間半に及ぶ大作です。

クラシック初心者の方はまず終楽章あたりから聴かれてみると良いかも知れませんね?

マーラー 交響曲第2番 youtube動画

マーラー 交響曲 第2番 ハ短調「復活」

マリス・ヤンソンス指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ソプラノ:Ricarda Merbeth
メゾ・ソプラノ:Bernarda Fink
合唱:Netherlands Radio Choir

マーラー 交響曲第2番 名盤

管理人おすすめの名盤はこちら!

クラウディオ・アバド指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団
ソプラノ:エテーリ・グヴァザーヴァ
メゾ・ソプラノ:アンナ・ラーション
合唱:オルフェオン・ドノスティアラ

ルツェルン祝祭管弦楽団はスイスのルツェルンで開催される音楽祭のために編成されるオーケストラです。

2002年のシーズンを最後にベルリン・フィルを退任したアバドは翌2003年にルツェルン祝祭管弦楽団の芸術監督に就任します。

これを機にオーケストラのメンバーは一新され、アバド自身が設立したマーラー室内管弦楽団のメンバーを中心に、ベルリン・フィルで長年名演奏の数々を共にしてきた主要メンバーの他、著名な奏者たちが参加しています。

ご紹介する盤は2003年のルツェルン音楽祭でのライヴ映像で、2000年に病に倒れ、一時は活動も危ぶまれたアバドと生まれ変わった新生ルツェルン祝祭管弦楽団のまさしく「復活」の演奏です。

コンサートマスターには元ベルリン・フィルのコーリャ・ブラッハー、管楽器トップにもフルートのエマニュエル・パユ、オーボエのアルブレヒト・マイヤー、ホルンのシュテファン・ドールなどアバドならではの豪華なメンバーです。

オーボエの2番奏者にはマーラー室内管弦楽団の首席奏者、吉井 瑞穂、そしてクラリネットのトップには1980年代にベルリン・フィル入団を巡りカラヤンとベルリン・フィルの対立騒動にまで発展した名クラリネット奏者、ザビーネ・マイヤーの姿も見えます。

結局入団を断念したマイヤーが40年の時を経て、ベルリン・フィルのトッププレイヤーたちと共に音楽を奏でているのは当時のニュースを見た方には感慨深いものがあるのではないでしょうか。

アバド入魂のタクトの下、豪華なオーケストラだけでなく、2人のソリストと合唱も素晴らしく、アンナ・ラーションの伸びやかな歌声がより一層美しさを際立たせています。

こちらの映像はレーベルの公式youtubeチャンネルで公開されていますので、まずはそちらをご覧になって見ると良いと思います。

マーラー 交響曲第2番 クラウディオ・アバド指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団

いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください

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