チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」

まずはダイジェストで!

「嘆き」「慟哭」と言った印象の強い悲嘆に暮れた旋律が徐々に高まり、やがて激しく高揚します。

まずは第4楽章をダイジェストで聴いてみましょう!

マンフレート・ホーネック指揮 ピッツバーグ交響楽団

作曲の背景

交響曲第6番「悲愴」はロシアの作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーが1893年に書き上げた最後の交響曲です。

副題の「悲愴」は従来、弟のモデストの提案によるものとされてきましたが、その後の研究により今日ではチャイコフスキー自身が付けたものだと考えられています。

自筆の総譜の表紙に書かれたロシア語の副題「патетическая」(パテティーチェスカヤ)=「熱情」「強い感情」、自筆譜の冒頭に書かれ出版社とのやりとりの中にもみられるフランス語の「Pathétique」(パテティーク)=「悲愴」「悲壮」は若干言語によるニュアンスの相違があり、日本語訳の「悲愴」が相応しいのかどうか疑問を呈されることもあるようです。

そもそも日本語の「悲壮」ではない「悲愴」も日常あまり使わない言葉ですが「悲しく痛ましいこと」を指し、この交響曲の醸し出す雰囲気と相まって「チャイコフスキーの悲愴」としてすっかり定着しています。

チャイコフスキーは1893年10月に行われた本作品の初演の9日後に急逝しています。

あまりの突然の出来事に一時は自殺説も囁かれましたが、死因はコレラとみられています。

そうした噂もありこの作品の副題に死との関連性を持たせようとする向きもありますが、この作品に自身の死に対するメッセージ性はなく単なるイメージととらえた方が良さそうです。

ただ当時の聴衆にしてみれば激情と言っても良いようなオーケストラの旋律、「悲愴」と言う副題、チャイコフスキーの急死、自殺の噂・・・これらのことから遺作とわかった上でタイトルに込められた想いがあったのではないかと言う憶測があっても何ら不思議なことではないような気がします。

どんな想像をしながらチャイコフスキーの描いた世界に入り込むのかは聴く人次第なのかもわかりませんね。

楽曲解説

第1楽章 Adagio – Allegro non troppo

導入からファゴットによる陰鬱な旋律が奏でられ、これからの悲劇を予感させるような暗い雰囲気に包まれます。

この旋律から発展した第1主題はやがてテンポを速め激しさを増していきます。

やがて弦楽器によって郷愁を誘うような美しい第2主題が奏されます。この第2主題がドラマティックに昇華し静かに消え去ると突然激しい嵐が訪れたかのようにオーケストラが雄たけびを上げます。

まるで何かと戦っているような激しい音楽が展開されますが、戦っている相手は人や獣の類ではなく人生そのものであるかのような感じがします。

嵐が過ぎ去り美しい朝がやってきたように第2主題が再びドラマティックに演奏された後、金管楽器が静かに讃美歌風の旋律を奏で第1楽章を終えます。

第2楽章 Allegro con grazia(21:00)

とても優雅で流麗なワルツですが一般的なワルツが3拍子であるのに対し、この作品では5拍子で書かれています。

クラシックに馴染みのない方は5拍子と言われてもピンと来ないかもしれませんが、「1、2、3、4、5」ではなく「1、2、1、2、3」と拍子を取りながら聴いてみると雰囲気が掴めるかも知れませんね。

管理人の個人的な感想ですがこの楽章を聴くとチャイコフスキーの「弦楽セレナード」第2楽章のワルツが頭をよぎります。

美しく優雅な調べが流れますがその下で延々と同じリズムを繰り返すティンパニと低音楽器が何かを予兆します。

第3楽章 Allegro molto vivace(29:00)

弦楽器が忙しく駆け回る中、躍動的な行進曲風の旋律の断片が現れます。2つの動きが交差しながらまるでパズルが徐々に出来上がるようにして、やがてオーケストラ全体で力強く勇壮に行進曲を奏でます。

第4楽章 Finale. Adagio lamentoso – Andante(38:20)

第2楽章の美しい優美さや第3楽章の躍動的で勇壮な雰囲気が夢か幻であったかのように、一転して冒頭から陰鬱な空気が支配します。

その調べは「嘆き」「悲しみ」「慟哭」と言うべきか、いや、やはり「悲愴」の二文字が最も適していると言わざるを得ないでしょう。

ファゴットが音階をどこまでも下へ下へとゆっくり降りていく様は、地下深い暗闇へと歩みを進めていくようにも感じられ、必然的に死を予感せずにはいられません。

弦楽器が奏でる慟哭の旋律は激しく燃え上がった後、やがて息も絶え絶えになり、ドラの静かな響きの中で金管楽器が讃美歌風の旋律を奏でます。

ドラの音は命の火を灯し続けてきた最後の鼓動の響きなのでしょうか、弦楽器が葬送の音楽ともとれる終結部を奏で消え入るように終曲します。

全曲版を聴いてみよう!

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」ロ短調 作品74

リオネル・ブランギエ指揮 hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)

お役に立ちましたらクリックをお願いします。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村


音楽(クラシック)ランキング