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ショパン「華麗なる大円舞曲」【解説と無料楽譜】

作曲の背景

ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」変ホ長調 作品18(Grande valse brillante)はポーランドの作曲家、フレデリック・ショパン(1810-1849)が1833年に作曲したピアノのためのワルツです。

1830年、新たな活躍の場を求めて故郷ポーランドのワルシャワを後にしたショパンは、まずウィーンへ向かいます。

当時のウィーンではヨーゼフ・ランナー(1801-1843)とヨハン・シュトラウス1世(1804-1849)によるウインナ・ワルツが一大ムーヴメントとして世を席巻していて、この動きはウィーンのみならず、ヨーロッパの各地へ広まっていました。

この2人の作曲家はやがてワルツ合戦と呼ばれる激しい競争をするようになり、さらにウインナ・ワルツの人気を高めていきます。

1831年9月、ショパンはウィーンを後にし、パリへと向かいますが、そんなウインナ・ワルツ全盛の時代にあって、ショパンがピアノのために作曲したこの作品は自ずとランナーやシュトラウスのウインナ・ワルツを意識せざるを得なかったことでしょう。

ショパンは生前に出版された第1番から第8番までの8曲、遺作として出版された第9番から第14番までの6曲、その後発見された若い頃の作品も含めると一般的には全19曲のワルツを作曲したとされていますが、これらの作品の他にもワルツを作曲した形跡が残されており、今後新たに発見される可能性もあります。

その中でもショパンにとって初めて出版されたワルツ作品となる本作はウインナ・ワルツの影響を色濃く残しており、、第6番「小犬のワルツ」などと共にショパンの作曲したワルツの中でも最も有名なワルツの1つとして知られています。

作品はショパンがピアノを教えていたローラ・ホースウォード嬢に献呈され、翌1834年に出版されています。

ショパン「華麗なる大円舞曲」解説

冒頭、華やかなファンファーレ風の4小節の序奏に続く第1主題は、上昇していく最初の4小節と下降していく後の4小節がそれぞれ呼応しているようで、とても上品で優美です。(譜例①)

譜例①:冒頭部分

「leggiermente」(軽く優美に)と指示された続く第2主題では同じ音が軽快に連打され、さらに生き生きとした雰囲気を醸し出します。(譜例②)

譜例②:演奏動画(00:23)

これらが反復された後に現れる中間部では転調し、いかにもショパンらしい柔らかく抒情的な美しい旋律が奏でられます。(譜例③)

譜例③:演奏動画(00:57)

この中間部ではこの旋律が反復される中にいくつかの異なる主題が挿入されていきますが、その中には短い装飾音符を伴った短調の旋律もあり、作品にまた異なるニュアンスの彩りを添えています。(譜例④)

譜例⑤:演奏動画(01:54)

楽曲は再びファンファーレ風のブリッジを挿み、冒頭の第1、第2主題を奏でます。

その後、一瞬の静寂を挿むと(03:45)、ウインナ・ワルツ特有のリズムを刻み、それまでの主題の断片を織り交ぜながらコーダへと進みます。

最後は徐々にテンポを上げ、華やかに終曲します。

ショパン「華麗なる大円舞曲」youtube動画

ショパン:ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」変ホ長調 作品18

ピアノ:ラン・ラン

ラン・ランは1982年生まれ、中国出身のピアニストで現在は世界を舞台に活躍されています。

ラン・ランの演奏動画はこちらの記事でもご紹介しています。ぜひご覧ください。

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