シューマン「子供の情景」【解説とyoutube動画】
目次
トロイメライ
目を閉じて心静かにピアノが紡ぎだす美しい音に耳を傾けていると、まるで幸せな夢を見ているかのような気分になります。
まずは有名な第7曲「トロイメライ」を聴いてみましょう!
シューマン:『子供の情景』より第7曲「トロイメライ」
ピアノ:ラン・ラン
作曲の背景
子供の情景(独:Kinderszenen)作品15はドイツの作曲家、ロベルト・シューマン(1810-1856)が1838年に書き上げたピアノのための作品です。
作品は13曲から成り、各曲には標題が付けられています。
20代のはじめに指の故障からピアニストの道を断念し、作曲家としての道を歩み始めたシューマンは、やがてピアノの師でもあったフリードリヒ・ヴィークの娘、クララ・ヴィーク(後のクララ・シューマン)と恋に落ちます。
しかし、この恋愛はクララの父、ヴィークの猛反対に遭い最終的には訴訟沙汰にまで発展することになります。
この作品が書かれた1838年頃はまさに二人を引き離そうとするヴィークの妨害と誹謗中傷に耐えながらもクララとの愛を貫いたそんな時期です。
この頃にシューマンがクララに宛てた手紙の中には「あなたは時々子供みたいだと君は言ったね。僕はその言葉の余韻の中でこの曲を作曲したんだ。」との内容が書かれているそうです。
二人が父親の反対を押し切り訴訟を起こした末に、駆け落ち同然で結婚するのは2年後の1840年のことでした。
シューマン「子供の情景」の解説
第1曲 見知らぬ国と人々について (Von fremden Ländern und Menschen)【00:08】
純粋な子供が描く見知らぬ国への憧憬はこんな雰囲気なのでしょうか。
第2曲 不思議なお話 (Kuriose Geschichte)【01:35】
不思議なお話に興味を抱く子供たちのワクワクした感じが伝わってくるようです。
第3曲 鬼ごっこ (Hasche-Mann)【02:44】
標題通り子供たちが元気に走り回る様子が頭に浮かびます。
第4曲 おねだり (Bittendes Kind)【03:11】
この子供のおねだりは「駄々をこねる」と言う感じではなく、少し甘えるような感じでしょうか?
第5曲 満足 (Glückes genug)【04:01】
直訳としては「幸せいっぱい」となるのかも知れませんが、子供の情景としては「満足」の意訳の方がしっくりくるような気がします。
子供はいったい何に満足したのでしょう?鬼ごっこをしてたくさん遊んで?それともおねだりをして素敵なプレゼントをもらったのかな?
第6曲 大事件(Wichtige Begebenheit)【05:08】
小さな子供にとっては些細なことも大事件!毎日が大事件の連続です。
曲調からすると悲しい事件ではなさそう?良かったね!
第7曲 トロイメライ (Träumerei)【06:03】
もっとも有名なこの「トロイメライ」は「夢」「夢想」と言った意味です。
穢れを知らない子供たちが夢見るのはどんな情景なのでしょうね?
第8曲 炉ばたで(Am Kamin)【08:34】
西欧の家の居間には暖炉がよく似合いますね?その炉ばたで子供たちが今日あったことを楽しそうに語ってくれているような、そんな雰囲気を感じます。
第9曲 木馬の騎士(Ritter vom Steckenpferd)【09:36】
軽やかにスキップしているのは木馬の騎士でしょうか?そもそも木馬の騎士って?
子供が遊ぶおもちゃでしょうか?それとも夢の中で騎士になった子供自身が木馬を駆っているのでしょうか?
第10曲 むきになって(Fast zu ernst)【10:13】
標題は「むきになって」となっていますが、曲想は癇癪を起しているような雰囲気ではないですね。
ちょっとすねて何かをしている感じでしょうか?
第11曲 怖がらせ(Fürchtenmachen)【12:00】
怖いけど聞いてみたい、聞いてみたいけど怖い話って子供は誰もが興味を示しますよね?
急に現れる少し驚かせるような曲想もシューマンの手にかかればとても優しい雰囲気になりますね。
第12曲 眠りに入る子供(Kind im Einschlummern)【13:36】
遊び疲れて眠りにつく子供の寝顔には誰もが癒しを感じます。
優しく穏やかで情感豊かな旋律に癒されます。
第13曲 詩人は語る(Der Dichter spricht)【15:12】
詩人とはシューマン自身のことです。詩人=シューマンが見つめる子供の情景は、現実の情景ではなく、大人の事情やしがらみを気にすることのない純粋無垢な幼い頃の自分と愛するクララの2人を夢想しているようにも私には思えます。
シューマン「子供の情景」のyoutube動画
シューマン 子供の情景 作品15
ピアノ:アンナ・ヴィニツカヤ
アンナ・ヴィニツカヤは1983年生まれ、ロシア出身のピアニストです。
2007年エリザベート王妃国際音楽コンクール第1位をはじめ数々の国際コンクールで入賞された経歴を持つピアニストです。
いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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