ショパン「ノクターン第20番」【解説と名盤、無料楽譜】
目次
ショパン「ノクターン第20番」解説
ノクターン(夜想曲)第20番 嬰ハ短調はポーランドの作曲家、フレデリック・ショパン(1810-1849)が1830年に作曲したピアノ曲です。
この年20歳を迎えるショパンはこの前年にウィーンでピアニストとしてデビューしていて、自作のピアノ協奏曲第1番、第2番もこの頃に相次いで初演しています。
そして1830年の11月には新たな活躍の場を求めて祖国ポーランドを旅立っています。
そして、それはショパンが密かに恋心を寄せていたワルシャワ音楽院の声楽科に通う、コンスタンツヤ・グワトコフスカとの別離の時でもありました。
この作品のとても美しく感傷的な旋律はそんなショパンの切ない恋心を映し出しているのかと想像を膨らませてしまうのは私だけでしょうか。
ショパンは生涯に21曲のノクターンを作曲していますが、第19番から第21番の3曲はショパンの生前には未出版であったいわゆる遺作です。
この「ノクターン第20番」はショパンの姉ルドヴィカに送られた作品で、彼女が編纂したショパンの未発表作品の目録の中で「ノクターン風のレント(Lento w rodzaju Nokturna)」と記したことから、21曲のノクターンのひとつとして数えられていますが、ショパン自身が「ノクターン」のタイトルを付けたものではありません。
このショパンの姉ルドヴィカに送られた楽譜を筆写したものが元となり、ショパンの没後1875年になってようやく出版されました。
楽譜に記された速度表示の「Lento con gran espressione」がそのままタイトルとして使われることもあります。
楽曲は4小節の序奏の後、左手が奏でるアルペジオ(分散和音)に乗って、とても繊細で美しい詩情溢れる旋律が右手で奏でられます。(譜例①)
中間部ではショパンの「ピアノ協奏曲第2番」の第3楽章(緑囲部分)、第1楽章(赤囲部分)及び歌曲「乙女の願い」作品74-1(青囲部分)の一節がそれぞれ引用されています。(譜例②)
曲は冒頭の部分に戻ると寄せては返す波のような美しい装飾音符を繰り返しながら静かに終曲します。
この作品は2002年公開の映画「戦場のピアニスト」の中でも印象的に取り上げられ、クラシックファン以外にも多くの人の心を惹きつけました。
「戦場のピアニスト」予告編
短い作品ですが、とても美しく詩情溢れる作品です。ぜひ聴いてみてください。
「ノクターン」の解説はこちらの記事でも触れています。あわせてお読みください。
ショパン「ノクターン第20番」無料楽譜
リンク先から無料楽譜をダウンロード出来ます。ご利用方法がわからない方は下記の記事を参考にしてください。
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ショパン「ノクターン第20番」youtube動画
ショパン:ノクターン(夜想曲)第20番 嬰ハ短調
ピアノ:アリス=紗良・オット
アリス=紗良・オットは1988年生まれ、ドイツ・ミュンヘン出身のピアノ奏者です。
ドイツ人の父親と日本人の母親を持つ彼女は数々の国際コンクールでの優勝を経て、世界の主要なオーケストラとも共演を重ねる人気のピアニストです。
アリス=紗良・オットさんの演奏動画はこちらの記事でもご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
ショパン:ノクターン(夜想曲)第20番 嬰ハ短調
ピアノ:ヤン・リシエツキ (Jan Lisiecki)
※この演奏はこちらのCDに収録されています。
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 他 ~ショパン:ピアノと管弦楽のための作品集
ショパン「ノクターン第20番」名盤
管理人おすすめの名盤はこちら!
ショパン:夜想曲全集
ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス
録音:1995年、1996年
マリア・ジョアン・ピリスは1944年、ポルトガル生まれのピアニストです。
日本では過去にNHK教育テレビの「スーパーピアノレッスン」の講師を務めたことでも知られています。
奥深いロマンティシズムに富んだ美しいピアノが印象的なこのアルバムは1996年のレコード・アカデミー賞器楽曲部門を受賞しています。
いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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