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サティ「グノシエンヌ」【解説と名盤、無料楽譜】

2020年9月14日

サティ「グノシエンヌ第1番」

朦朧とした意識の中で夢か幻を見ているようなピアノの響きの中で、まるで自分が異次元の空間を浮遊しているような不思議な感覚に陥ります。

まずは全6曲の中から第1番を聴いてみましょう。

サティ:グノシエンヌ 第1番

ピアノ:アリス=紗良・オット
アルバム「Nightfall(ナイトフォール)」収録曲

アリス=紗良・オットさんの演奏はこちらの記事でもご紹介しています。ぜひこちらもお聴きください!

作曲の背景

グノシエンヌ(Gnossiennesはフランスの作曲家、エリック・サティ(1866-1925)が作曲した6曲からなるピアノ曲です。

第1番から第3番までの3曲は「3つのグノシエンヌ」として1890年に作曲されました。

サティが生前に発表したのはこの「3つのグノシエンヌ」の3曲のみで、没後に発見、出版された第4番から第6番に関してはサティ自身の題名付けがなされておらず、作曲時期と曲の雰囲気からこのグノシエンヌに組み込まれたようです。

ちなみに作曲時期はそれぞれ第4番(1891年)、第5番(1889年)、第6番(1897年)となっています。

出版社の商業的な意図もあったのかも知れませんね?

題名は古代ギリシャ、クレタ島にあった古都の名前からとられたと言われていますが異説もあるようです。

1886年に「退屈すぎる」と言う驚きの理由でパリ音楽院を退学したサティは翌1887年からパリのモンマルトルにある芸術家や文化人のたまり場としても有名なキャバレー「ル・シャ・ノワール(黒猫)」でピアノ弾きとして生計を立てながら作曲活動を行うことになります。

1889年に開催されたパリ万博では西欧以外の音楽にも触れ大きなインスピレーションを得たと言われています。

「3つのグノシエンヌ」は1890年、サティが24歳の時の作品ですが、独特の雰囲気を持つこの作品に触れると、音楽院が退屈と感じた意味がわかるような気もします。

サティ「グノシエンヌ」の解説

第5番を除く5曲には通常ある拍子記号も小節線もなく、第1番から第3番の楽譜には何かを暗示するような書き込みがされています。

通常は発想記号(例:animato=生き生きと)が記されていますが、もっと抽象的でサティが得たインスピレーションを記したような、曲想と同じく実に不思議な雰囲気を漂わせています。

拍子記号も小節線もないと言ってもすべての曲は左手で繰り返される同じリズムに乗って演奏されます。

第1番や第3番は映画やテレビ番組のBGMとしても使われることが多いので聴いたことがある方も多いかと思います。

第1番から第3番は楽曲解説に代えてそれらの書き込みの一部とその演奏箇所をご紹介したいと思います。

日本語訳については翻訳サイト等を利用しての意訳ですので、サティの意図したニュアンスとは必ずしも一致しないことをご了承ください。

第1番 Lent (00:00)

questionnez・・質問(01:55)
du bout de la pensée・・思考の先から(02:44)
postulez envous-même・・自分を頼りに(03:41)

第2番 (04:51)

ne sortez pas・・外出しないで(05:11)
plus intimement・・もっと親密に(05:51)
avec une légère intimité・・わずかな親密さで(06:25)

第3番 Lent (07:13)

munissez-vous de clairvoyance・・先見の明を持って(07:52)
seul, pendant un instant・・ひとりで、しばらくの間(08:08)
de manière à obtenir un creux ・・空洞になるように(08:38)
ouvrez la tête・・頭を開いて(09:31)

第4番 Lent (10:36)

3つのグノシエンヌ(第1番から第3番)が浮遊するような同じリズムの上に旋律が奏でられるのに対し、この第4番からは明らかに作風が異なり、ここでは左手のアルペジオ(分散和音)に乗って旋律が奏でられます。

第5番 Modere (13:05)

6曲の中では最も早い1889年、パリ万博の開催された年に書かれています。

他の曲に感じられるような浮遊感はなく、私には穏やかで明るい表情も感じられるような気がします。

第6番 (15:37)

楽譜の冒頭には「Avec conviction et avec une tristesse rigoureuse・・信念と厳しい悲しみとともに」とあります。

6曲の中では一番最後の1897年に書かれており、調性感のはっきりしない不思議な空間を作り上げています。

サティ「グノシエンヌ」のyoutube動画

サティ:グノシエンヌ

ピアノ:ラインベルト・デ・レーウ

サティ「グノシエンヌ」の名盤

管理人おすすめの名盤はこちら!

サティ・ピアノ作品集
①3つのジムノペディ
②おまえが欲しい
③4つのしまりのない前奏曲(犬のための)
④あやなす前奏曲
⑤4番目の夜想曲
⑥古い金貨と古い鎧
⑦ひからびた胎児
⑧6つのグノシエンヌ
⑨官僚的なソナチネ
⑩ピカデリー
ピアノ:パスカル・ロジェ
録音:1983年 ロンドン

1951年生まれフランス出身のピアニスト、パスカル・ロジェによるサティのピアノ作品集です。

フランス近代の作曲家の作品を得意とするパスカル・ロジェならではの淡い色彩感が魅力です。

「グノシエンヌ」の他に代表作「3つのジムノペディ」をはじめ、サティのピアノ作品を存分に楽しめる1枚になっています。

サティ「グノシエンヌ」の無料楽譜

サティ「グノシエンヌ」無料楽譜(IMSLP)

上記のタイトルをクリックして、リンク先から無料楽譜をダウンロード出来ます。ご利用方法がわからない方は下記の記事を参考にしてください。

いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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