ヨハン・シュトラウス2世「美しき青きドナウ」【解説とyoutube動画】
目次
作曲の背景
美しき青きドナウ 作品314はオーストリアの作曲家でワルツ王と称されたヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)が作曲したウインナ・ワルツです。
父のヨハン・シュトラウス1世、弟のヨーゼフにエドゥアルトなど有名な音楽一家の家系ですが、少し後にドイツで生まれたリヒャルト・シュトラウスとは血縁関係はありません。
ウインナ・ワルツは19世紀のウィーンで流行ったワルツで、そのステップは前の小節の3拍目から1拍目で長めに滑り出し、2拍目にかけて回転し、3拍目は軽く両足を揃えると言うものです。
そのため3拍が均等な長さを持たずに、2拍目を少し早めにずらすように演奏される特徴があります。
ワルツ王の称号を持つシュトラウス2世は生涯に数多くの有名なワルツを残していますが、本作品はその中でも最も有名な曲の一つです。
曲は元々ウィーン男声合唱協会の依頼に基づいて作られた合唱曲で、まず最初に無伴奏の合唱曲が作られ、その次にピアノ伴奏が、そして1867年の初演に際してオーケストラ伴奏が作られることになりました。
元々付けられていた歌詞は合唱協会の関係者のヨーゼフ・ヴァイルと言う人の作で、歌詞の内容はプロイセンとの戦いに敗れたばかりのオーストリアの人々を励ますような「悲しんでも苦しんでも仕方がないから愉快にやろう!」と言った感じの歌詞でした。
しかし、ウィーンが敗戦から立ち直ってくるとこの歌詞の内容は時代と合わなくなり、この歌詞ではわずかな回数しか演奏されることはありませんでした。
初演は好評だったものの大成功と言うまでのものでもなかったようです。
そこでシュトラウスはオーケストラのみの版に改訂し演奏することにします。
これが後にパリやロンドンでの公演で大成功し、高い評価を受けるとその評判がウィーンにも及びやがて世界各国で演奏されるようになったそうです。
その楽譜の売れ行きたるや記録的なものだったそうです。
後年、1890年になって現在歌い継がれている歌詞に改訂され、「オーストリア第2の国歌」と言われるほど人々に親しまれ愛される曲となります。
ヨハン・シュトラウス2世「美しき青きドナウ」解説
曲は5つの小ワルツに序奏とコーダが付いたものとなっています。
序奏では朝もやに輝くドナウ川のさざなみのようなヴァイオリンのトレモロ(同じ音を連続して小刻みに演奏)の上で第1ワルツのメロディがゆるやかに流れます。
第1ワルツ(1:40)
序奏の旋律からこの曲の中でも最も有名な第1ワルツがスタートします。
第2ワルツ(2:37)
フルートとヴァイオリンの流れるようなメロディは清らかなドナウ川の清流を思い起こさせます。
(実際にウィーンで見るドナウ川は清流のイメージとは程遠いと言う話も聞きますが・・・音楽を楽しむうえでは不必要な情報ですね。)
第3ワルツ(3:24)
休符と装飾音符がリズムにアクセントを加え、より舞踏的な雰囲気を醸し出します。
第4ワルツ(4:10)
ワルツの優雅で流麗な旋律が展開されます。後半は躍動感を増し、曲を盛り上げます。
第5ワルツ(5:27)
柔らかい曲想の前半部分、力強さを増した後半部分で曲をクライマックスに導きます。
コーダ(終結部)ではこれまでのワルツの主な旋律が現れた後、第1ワルツの旋律に戻ります。
最後はテンポを上げて華やかに終わります。
シュトラウスと親交のあったブラームスは、シュトラウスの娘からのサインの頼みに応じ、扇子にこの作品の冒頭の数小節を書いたのち「残念ながら、ヨハネス・ブラームスの作品にあらず」と一筆添えたそうです。
ヨハン・シュトラウス2世「美しき青きドナウ」youtube動画
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ズービン・メータ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
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