リスト「スペイン狂詩曲」【解説と無料楽譜】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
カデンツァに続く付点のリズムが印象的な重々しい旋律は「スペインのフォリア」と題された舞曲のテーマです。
まずはダイジェストで聴いてみましょう。
ピアノ:フィリップ・ショイヒャー(Philipp Scheucher)
第15回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(2017)予選
リスト「スペイン狂詩曲」の解説
スペイン狂詩曲(Rhapsodie espagnole)S.254はハンガリー出身のピアニストで作曲家のフランツ・リスト(1811-1886)が作曲した独奏ピアノのための作品です。
1848年、ヴァイマルから宮廷楽長として招かれたリストはピアニストとしての活動を減らし、作曲活動に専念するようになります。
この作品はそのヴァイマルの宮廷楽長を辞任する前年の1858年に作曲されました。
これに遡ること13年前の1845年、34歳のリストは演奏旅行で訪れたスペインの印象を元に「スペインの歌による演奏会用大幻想曲」S.253を作曲しています。
今回ご紹介する「スペイン狂詩曲」にはこの作品と同じ旋律が用いられています。
こちらの作品も少しダイジェストで聴いてみましょう。
リスト:スペインの歌による演奏会用大幻想曲 S.253より
ピアノ:レスリー・ハワード
リストの作品には他にも「巡礼の年」などのように他の国の印象にインスピレーションを受けた作品がありますが、これはリストに限ったことではなく、他の作曲家たちも自分の訪れた異国の情緒などに触れ大いに創作意欲を刺激したようです。
近代化する前の日本にとって異国情緒の象徴が、朝鮮半島や中国大陸の文化であったように、リストの活躍した19世紀半ばのフランス、パリでは19世紀後半に万国博覧会などを通じてアジアなどの文化が流入する前の異国情緒の象徴はスペインやイタリアであったのかもしれませんね。
ちなみに同じタイトルで知られる管弦楽作品「スペイン狂詩曲」はラヴェルが作曲していますし、他にもシャブリエの狂詩曲「スペイン」、リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」、ラロの「スペイン交響曲」など「スペイン」をタイトルに含む作品は思いつくだけでも数多くあります。
聴き比べて楽しむのも面白いかも知れませんね。
楽曲は重厚でドラマティックな導入に続き華麗なテクニックを駆使したカデンツァが奏でられます。
この部分を聴いただけでもリストの作り出す世界に瞬く間に引き込まれるような気がします。
前半部分は「スペインのフォリア」と題されたゆっくりとした舞曲です。冒頭の曲想はリストの「ハンガリー狂詩曲第2番」を彷彿とさせますが、この旋律が色鮮やかな筆致で様々に変奏されていきます。
後半部分は「ホタ・アラゴネーサ」(スペインのアラゴン地方の熱狂的な舞曲)と題されたテンポの速い舞曲です。
ここでは明るい曲想の舞曲が展開されながら高揚していきますが、テンポが緩むと優雅で美しい表情も垣間見せます。
終盤は超絶技巧を織り交ぜながら熱狂的な盛り上がりを見せ、華麗に終曲します。
リスト「スペイン狂詩曲」のyoutube動画
リスト:スペイン狂詩曲 S.254
ピアノ:シャオユー・リュウ(Xiaoyu LIU)
ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクール(2017)
「Amazon Music Unlimited」ならピアノのための作品も聴き放題で楽しめます。まずは無料体験から!
リスト「スペイン狂詩曲」の無料楽譜
リンク先から無料楽譜をダウンロード出来ます。ご利用方法がわからない方は下記の記事を参考にしてください。
お役に立ちましたらクリックをお願いします。