シューマン「ピアノ協奏曲」【解説とyoutube動画】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
鍵盤の上を波打つように華麗に駆け巡る独奏ピアノはオーケストラと絡み合いながらドラマティックに展開していきます。
まずは第3楽章をダイジェストで聴いてみましょう!
サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:内田光子
内田光子さんはイギリスを拠点に世界的に活躍されるピアニストで、ベルリンフィルのソリストとしても度々登場されています。
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作曲の背景
今回ご紹介するのはドイツの作曲家、ロベルト・シューマンが1845年に書き上げたピアノ協奏曲です。
この曲は1841年に書かれた「ピアノと管弦楽のための幻想曲」が元になっていて、ピアニストでもあった妻クララの助言もあってこれを改訂してピアノ協奏曲として完成させました。
元となった「ピアノと管弦楽のための幻想曲」は第1楽章に相当しています。
シューマンはそれまでにも何度かピアノ協奏曲の作曲を試みていますが、いずれも未完に終わっていて、結局この作品が唯一の完成されたピアノ協奏曲となりました。
翌1846年の初演の際は妻のクララ・シューマンがソリストを務めています。
シューマン「ピアノ協奏曲」解説
第1楽章 Allegro affettuoso
冒頭オーケストラの力強い響きに続き、ピアノが叩きつけるようにドラマティックな和音を奏でます。
オーボエからピアノに引き継がれる第1主題は深い哀愁を帯びていて、わずか数分でシューマンの紡ぎ出す音楽の世界に引き込まれていきます。
中間部ではテンポを落とし幻想的な雰囲気を醸し出します。クラリネットの穏やかで心安らぐ調べにピアノが美しく絡んでいきます。
曲は一転して激しさを取り戻し再び第1主題をオーボエとピアノがメランコリックに歌い上げます。
曲はドラマティックに高揚した後、最後はピアノのカデンツァをはさんで華やかに終わります。
affettuoso(アフェトゥオーソ)は音楽用語で「愛情を込めて」と言うような意味です。
第2楽章 Intermezzo; Andante grazioso(15:40)
Intermezzoは間奏曲のこと。ピアノの奏でる短い音の断片は何かをつぶやいているかのようです。
オーケストラはピアノがつぶやきを続ける中、息の長い穏やかなフレーズを演奏します。
grazioso(グラツィオーソ)は「優美に」「優雅に」と言うような意味です。
第3楽章 Allegro vivace(20:56)
第2楽章から切れ目なく演奏されます。冒頭のダイジェスト動画でもご紹介したようにピアノは波打つように鍵盤の上を行き来します。
煌めくようなピアノの音一つ一つがオーケストラの旋律と絶妙に絡み合いながらクライマックスへと登り詰めていきます。
ロマン派を代表する素晴らしいピアノ協奏曲です。ぜひ聴いてみてください!
シューマン「ピアノ協奏曲」youtube動画
シューマン ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
パーヴォ・ヤルヴィ指揮 hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
ピアノ:カティア・ブニアティシヴィリ
カティア・ブニアティシヴィリさんはジョージア(グルジア)出身で1987年生まれのピアニストです。
ヤルヴィ&ブニアティシヴィリのコンビはNHK交響楽団の演奏会でもこの作品を取り上げていて、その時の演奏の様子がNHKで放送されています。
番組内のインタビューで「この協奏曲ではシューマンの恋心が感じられる。これは恋の音楽よ。」と語っていたのが印象的でした。
ソリストとして世界の著名なオーケストラとも共演の機会が多く、これからの活躍が期待される奏者です。
アンコールに応えて彼女が演奏したのはフランツ・リストの「愛の夢 第3番」(33:10)。
情熱的な印象の強いブニアティシヴィリですが、アンコールでは抑制された冒頭部分とロマンティックに高揚する部分のコントラストが素晴らしい演奏を披露されています。
※感想は管理人の個人的な印象ですのでご容赦ください。
最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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