プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」【解説とyoutube動画】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
重たい足を引きずりながら踊っているかのような特徴のある付点のリズム、テレビドラマ「のだめカンタービレ」の挿入曲やソフトバンクのCM曲としても有名な「騎士たちの踊り(モンタギュー家とキャピュレット家より)」をダイジェストで聴いてみましょう!
クラウディオ・アバド指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
作曲の背景
「ロメオとジュリエット」はシェイクスピアの悲劇「ロメオとジュリエット」に基づいて、旧ソ連の作曲家セルゲイ・プロコフィエフが作曲したバレエのための音楽。
1935年にバレエ台本に基づく52曲を完成させたものの、肝心のバレエの方は劇場との契約が白紙になり、この年に予定通り上演されることはありませんでした。
そこでプロコフィエフは音楽だけでも発表するべく演奏会用の組曲に編曲し、第1組曲を翌1936年に第2組曲を1937年にバレエの初演に先行して発表しました。
結局、バレエの方は1938年になってようやく初演にこぎつけることになりました。
最終的にプロコフィエフはバレエ音楽を元に3つの演奏会用組曲と1つのピアノ用組曲を作りましたが、実際のコンサートでは物語の時系列に合わせて抜粋して演奏されることも多いようです。
※本作品は多くの録音が出ていますが演奏曲目は抜粋内容によってかなりバラエティに富んでいるので、CD等ご購入の際はご注意ください。
プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」解説
今日、ご紹介するのは最も演奏機会の多い第2組曲ですが、次の動画は第6曲「アンティル諸島から来た娘たちの踊り」がカットされた版で演奏されています。
1.モンタギュー家とキャピュレット家
冒頭の強烈な不協和音の咆哮は対立する両家を現わしているかのようです。(ロメオはモンタギュー家の息子。ジュリエットはキャピュレット家の娘)
この部分はバレエ音楽の「大公の宣言」でそれに続くダイジェストでも紹介した有名な舞曲の部分は「騎士たちの踊り」です。(1:54)
金管楽器による「決闘」の旋律が威圧的に演奏された後、雰囲気は一変しフルートによる「ジュリエットの踊り」が奏でられます。(3:54)
2.少女ジュリエット(5:44)
ジュリエットの活発で無邪気な様子が感じ取れるような曲調です。
現代の私たちの感覚では2人の主人公に青年期の男女を想像しがちですが、シェイクスピアの原作の設定ではジュリエットは13歳の少女です。
曲想が変わるとフルートにより恋への憧れと不安が奏でられます。(7:05)
この部分は大変美しく印象的ですね。
3.僧ローレンス(9:45)
ローレンスは二人の結婚を助けようとする修道士です。ファゴットによる旋律は慈愛にあふれるローレンスが穏やかに歩いているかのようです。
4.踊り(12:00)
謝肉祭で踊る5組の男女を描いています。軽快で少しコミカルな雰囲気ですが、独特の音の運びと響きにプロコフィエフらしさを感じます。
5.別れの前のロメオとジュリエット(14:08)
キャピュレット夫人の甥、ティボルトを殺害してしまったロメオは街から追放の刑を言い渡されます。
一夜を共にしたジュリエットと別れの朝を迎えた情景を描写しています。
金管楽器による大きなうねりのような旋律はロメオの出発の決意を現しています。(18:06)
6.ジュリエットの墓の前のロメオ(21:49)
ローレンスの策によって仮死の毒を飲むことになったジュリエット、しかしその策はロメオに上手く伝わらずジュリエットが本当に死んだと思ったロメオは、彼女の墓の前で毒薬を飲んで自ら死を選びます。
絶望と死を連想させるような悲痛な響きはロメオの慟哭なのでしょうか。
音楽はクライマックスを迎え最後は自死を選んだロメオの脳裏にジュリエットの幻影が浮かびます。
第2組曲はここで終わりですが、物語は仮死から目覚めたジュリエットも短剣で自らの胸を突いて息絶えると言う悲しい結末を迎えます。
プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」youtube動画
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ユーリ・テミルカーノフ指揮:ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
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