モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」歌詞、解説、無料楽譜とおすすめの名盤
目次
モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」解説
アヴェ・ヴェルム・コルプス(Ave verum corpus) ニ長調 K.618はオーストリアの作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)がその最晩年の1791年に作曲した合唱曲です。
元はカトリックで用いられる讃美歌で、モーツァルトの他に、フォーレなどの著名な作曲家もこのテキストに曲を付けています。
モーツァルトの妻コンスタンツェは1789年に脚の病気にかかり、医師の勧めによって、それ以後毎年夏になるとウィーンを離れて、温泉保養地として有名なバーデンで療養生活を送っていました。
この作品はその時にいろいろと気遣ってくれた合唱指揮者アントン・シュトルのために作曲したものです。
曲は混声四部合唱とヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス、オルガンのために書かれ、モーツァルトは元のテキストの一部を変更しています。
演奏時間にして3分ほどの短い曲ですが、静謐で大変美しい曲です。澄み切った調べは厳かな雰囲気の中で神への感謝を示しているような感動的な作品です。
ちなみにこの曲は1862年にフランツ・リスト(1811 – 1886)がピアノ用に編曲しています。
さらにこのリストの編曲版を元に、1887年にはチャイコフスキー(1840 – 1893)が、モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』初演100周年を記念して書かれた組曲第4番『モーツァルティアーナ』の第3曲『祈り』としてオーケストレーションしています。
このようにこの作品は後世の作曲家たちにも大きな影響を与えた、モーツァルト最晩年の名作として知られています。
モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」歌詞・和訳
Ave verum corpus natum de Maria Virgine
引用:アヴェ・ヴェルム・コルプス(ウィキペディア)
めでたし、乙女マリアより生まれ給いしまことのお体よ
Vere passum immolatum in cruce pro homine.
人々のため犠牲となりて十字架上でまことの苦しみを受け
Cujus latus perforatum un da fluxit et sanguine,
貫かれたその脇腹から血と水を流し給いし方よ
Esto nobis praegustatum in mortis examine.
我らの臨終の試練をあらかじめ知らせ給え。
モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の楽譜
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス ニ長調 K.618(IMSLP)
「IMSLP」はパブリックドメインになった楽譜や、作品を無償で共有することを希望する作曲家の楽譜などを収録する国際楽譜ライブラリープロジェクトです。
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「Arrangements and Transcriptions」のタブをクリックすれば、弦楽合奏やフルート、ヴァイオリンなど様々な楽器のためにアレンジされた楽譜もダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
ご利用方法がわからない方は下記の記事を参考にしてください。
こちらはオリジナルの編成(混声四部合唱・弦楽器・オルガン)の販売用楽譜とポケットスコアです。
モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」YouTube動画
ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団
モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」おすすめの名盤
バーンスタイン指揮:バイエルン放送交響楽団・合唱団
【収録曲】
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
①アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618
②エクスルターテ・ユビラーテ K.165(158a)
③大ミサ曲 ハ短調 K.427(417a)
アーリーン・オジェー(ソプラノ)
フレデリカ・フォン・シュターデ(メッゾ・ソプラノ③)
フランク・ロパード(テノール③)
コルネリウス・ハウプトマン(バス③)
バイエルン放送合唱団
バイエルン放送交響楽団
指揮:レナード・バーンスタイン
録音:1990年4月 ヴァルトザッセン
こちらは1990年4月にドイツのバイロイト近郊の教会で行われたコンサートのライヴ盤です。
この1990年はバーンスタインの最晩年にあたり、前年の1989年のクリスマスには、直前に起きたベルリンの壁崩壊を受けて、ベルリンで各国の混成オーケストラを指揮して伝説の第9公演を実現しています。
既に肺癌に侵されていたバーンスタインと名門バイエルン放送交響楽団・同合唱団による「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は、聖堂に静かに響き渡る静謐で美しい演奏が印象的で、自然と涙が流れて来そうな素晴らしい演奏です。
「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ももちろん素晴らしいですが、メインプロの「大ミサ曲ハ短調」がまた素晴らしい感動的な名演で、ぜひ聴いて欲しいおすすめの名盤です。
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モーツァルトが最晩年に作曲した、わずか46小節のこの作品は、シンプルな構造ながら転調するたびに様々な表情を見せ、人の心を惹きつけてなりません。
厳粛な雰囲気を漂わせながらも癒しを感じるその旋律は、モーツァルトの天才的なメロディーメーカーとしての才能を遺憾なく発揮した傑作といえるでしょう。
ストレスの多い現代社会、心がざわつく時に部屋の明かりを暗くして聴きたいおすすめの1曲です。
最後までお読みいただきありがとうございました!こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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