ヘンデル「シバの女王の到着」【解説とyoutube動画】
目次
ヘンデル「シバの女王の到着」解説
「シバの女王の到着(入城)」はイギリスで活躍した作曲家、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685-1759)が1748年に作曲したオラトリオ「ソロモン」HWV67の第3幕で演奏されるシンフォニアです。
オラトリオとは宗教的な題材をもとに、独唱、合唱、管弦楽から構成される楽曲のことです。
オペラと似ている部分もありますが、舞台装置や衣装、演技がないと言う点では明確に異なります。
ヘンデルはドイツ出身ですが、1712年以来ロンドンに移住し、イタリア・オペラの作曲家として大きな成功を収めます。
しかし、その後イタリア・オペラが衰退すると、ヘンデルはやがて英語でのオラトリオの作曲に創作の軸を移していきます。
1741年頃からはイタリア・オペラを作曲するのを止め、オラトリオの作曲に専念していきます。
ヘンデルは1750年代の前半には視力を失い作曲活動が出来なくなったため、晩年と言ってもよい時期の作品です。
「ソロモン」とは旧約聖書に登場する古代イスラエルの王で、神から「何でも望むものを与えよう」と言われたソロモンは知恵を求め、知恵者の象徴となりました。
オラトリオの第2幕では2人の遊女がそれぞれ自分の子供であると主張する赤ん坊について、ソロモンの知恵が試されます。
ソロモンは剣で赤子を切り分けて、それぞれに与えると言って剣を抜きますが、片方の女がそれなら相手に渡す方がいいと泣き崩れます。
その姿を見たソロモンは泣き崩れた女を真の母親だと裁定します。
このお話し、大岡越前の大岡裁きのお話しによく似ていますが、その関連性を指摘する説もあるようです。
第3幕ではソロモンの知恵を試そうと考えたシバの女王が難問を持ってソロモンの元を訪れます。
シバとは旧約聖書に登場する王国で、ソロモンが治めるイスラエル王国の南に位置していたと言われ、その場所は南アラビアだったともエチオピア近辺だったとも言われています。
シバの女王はソロモンに数々の質問を浴びせますが、ソロモンはその全てに答え、シバの女王を感嘆させます。
今回ご紹介する「シバの女王の到着」はこの第3幕の冒頭で演奏されるシンフォニアです。
シンフォニアとはバロック期のオペラやオラトリオの中で歌唱を伴わない器楽による合奏曲です。
単独で演奏されることの多いこの「シバの女王の到着」は2012年のロンドン・オリンピックの開会式でも用いられました。
2本のオーボエと弦楽合奏、通奏低音による典雅な雰囲気の楽曲は、曲名は知らずとも一度は耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?
短い作品ですのでぜひ聴いてみてください。
ヘンデル「シバの女王の到着」youtube動画
ヘンデル:オラトリオ「ソロモン」HWV67より「シバの女王の到着」
エンシェント室内管弦楽団(The Academy of Ancient Music)
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