レスピーギ「ローマの噴水」【解説とyoutube動画】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
誇らしげに奏でられるホルンの音は海神トリトンが吹き鳴らすほら貝の音、それに応えるように奏でられる木管楽器と弦楽器の音は光にきらめく水しぶきです。
まずは第2曲「朝のトリトンの噴水」をダイジェストで聴いてみましょう。
Fouad Fakhouri指揮 Fayetteville Symphony Orchestra
作曲の背景
「ローマの噴水」(伊:Fontane di Roma)はイタリアの作曲家、オットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1916年に作曲した交響詩です。
20代の頃にロシア帝国劇場管弦楽団の首席ヴィオラ奏者としてペテルブルクに赴いたレスピーギはリムスキー=コルサコフ(1844-1908)から作曲技法を学びます。
その後故郷のボローニャに戻ったレスピーギは1913年になって、サンタチェチーリア国立アカデミア作曲科教授の職を得てローマに移住します。
そこで目にした歴史あるローマの景観はレスピーギのインスピレーションを大いに刺激したようで、この作品ではローマの4つの噴水を舞台にそれぞれ夜明けから黄昏までの時間を切り取った印象を巧みに描き出しています。
スコア(総譜)の冒頭には次のように記されているそうです。
ローマの四つの噴水で、その特徴が周囲の風物と最もよく調和している時刻、あるいは眺める人にとってその美しさが、最も印象深く出る時刻に注目して受けた感情と幻想に、表現を与えようとした。
引用:ウィキペディア
1917年に行われた初演の評価は芳しいものではなかったようですが、翌1918年に行われた名指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ(1867-1957)による再演が好評を博し、その後のローマ三部作と呼ばれる「ローマの松」(1924年)「ローマの祭り」(1928年)の作曲に繋がっていきます。
レスピーギ「ローマの噴水」の解説
第1曲 夜明けのジュリアの谷の噴水(00:24)
ジュリアの谷は「ローマの松」にも描かれるボルゲーゼ荘(ボルゲーゼ公園)近くにあり、いわゆる山あいの谷とは異なりちょっとした低地のようですが、どこの噴水を指しているのかは特定されていないようです。
曲はこのジュリアの谷の噴水の夜明けのシーンから始まります。
木管楽器が奏でる牧歌的な美しい調べに、朝もやに包まれる夜明け前の静寂を感じます。
第2曲 朝のトリトンの噴水(04:48)
トリトンの噴水はバルベリーニ広場にある噴水です。
1643年にイタリアの芸術家、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598-1680)によって造られました。
噴水の中央にそびえるトリトンは海神ポセイドンの息子で人間の上半身と魚の下半身を持つ姿をしています。
トリトンは高らかに吹き鳴らすほら貝で嵐に荒れ狂う海を鎮めたそうです。
高らかに吹き鳴らされるホルンの音はそんなトリトンのほら貝を表現していて、まばゆい朝日を浴びてトリトンと泉の精たちが踊り戯れます。
第3曲 真昼のトレヴィの泉(07:23)
第3曲は映画「ローマの休日」やコイン投げでも有名なトレヴィの泉を舞台にしています。
中央にそびえ立つのは海神ネプチューン(ポセイドン)、左は豊饒の女神ケレース、右は健康の女神サルースです。
泉としての歴史は古く、古代ローマ時代にまで遡りますが、ローマの建築家ニコラ・サルヴィの設計で現在の造形が完成したのは1762年のことです。
勇壮で壮大な雰囲気に包まれた旋律は女神たちを従えたポセイドンの凱旋です。
堂々としたポセイドンの凱旋の行進は目の前を通り過ぎ、やがて遠ざかっていきます。
第4曲 黄昏のメディチ荘の噴水(11:00)
メディチ荘はボルゲーゼ荘に隣接するフェルディナンド1世・デ・メディチ(1549-1609)が建築した建築物です。
この建築物はナポレオンが所有したことからフランスの国有資産となっており、在ローマ・フランス・アカデミーと言う組織が置かれています。
作曲家の登龍門として有名なフランスのローマ大賞の受賞者にはイタリア留学の機会が与えられ、このメディチ壮に滞在することが出来ました。
遠くから聴こえてくる晩鐘の響き、鳥のさえずりに木々のざわめき、黄昏のメディチ荘の噴水から見渡すローマの街にゆっくりと夜の帳(とばり)が下りてきます。
レスピーギ「ローマの噴水」のyoutube動画
レスピーギ 交響詩「ローマの噴水」
カルロ・リッツィ指揮 ガリシア交響楽団
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