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ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」【解説とyoutube動画】

2020年9月20日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

オーケストラが奏でるボヘミアの民族舞曲風の旋律が高揚すると独奏チェロが雄弁に語り出します。

その響きは豊かで力強く、そして時に切なくいろんな表情をみせてくれます。

まずは第3楽章をダイジェストで聴いてみましょう!

アラン・ギルバート指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
チェロ:スティーヴン・イッサーリス

作曲の背景

今回ご紹介するのはチェコの作曲家、アントニン・ドヴォルザークが作曲したチェロ協奏曲です。

作曲されたのは1894年から1895年にかけてのことで、同郷のチェロ奏者、ハヌシュ・ヴィハーンから依頼を受けたことがきっかけです。

初演にあたっては依頼者のヴィハーンからソロパートが難しすぎるなどと修正を求められ、妥協を許さないドヴォルザークは激怒し、結局は別の奏者に委ねると言うアクシデントもありました。

ドヴォルザークはこの曲の中に自作の歌曲「ひとりにさせて」の旋律を引用しています。

ドヴォルザーク 「4つの歌」より 第1曲「ひとりにさせて」
チェロ アリサ・ワイラースタイン
※原曲はピアノ伴奏による歌曲です。

ドヴォルザークがアメリカでこの曲を作曲中に、妻アンナの姉であるヨゼフィーナが重病だと言う知らせを聞くことになります。

ヨゼフィーナはドヴォルザークがまだ音楽教師をしていた20代の頃のピアノの教え子で恋に落ちた相手です。

この恋は実ることはなく、結局ドヴォルザークはその妹アンナと結婚することになります。

歌曲「ひとりにさせて」はそのヨゼフィーナのお気に入りの曲だったのです。
ドヴォルザークは若き日の淡い想いから着想を得た作品を他にも遺しています。

1895年の4月にドヴォルザークは家族と共にプラハへと帰国しますが、残念ながらその1か月後にヨゼフィーナは帰らぬ人となります。

彼女の死後、ドヴォルザークは第3楽章の終結部に60小節もの部分を書き足し「ひとりにさせて」の旋律を埋め込みました。

この曲の依頼者ヴィハーンがドヴォルザークのピアノ伴奏で試し弾きを行ったのは既にヨゼフィーヌがこの世を去った後の1895年8月のこと。

そんな想いで書いたこの曲を演奏者の都合で修正することはドヴォルザークにはどうしても許せなかったのかも知れませんね。

ドヴォルザークが心に秘めた切ない思いが、この曲を情緒豊かで人の心を揺さぶる名曲にしているような気がしてなりません。

ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」解説

第1楽章
クラリネットが一人口ずさむかのように奏でる少し悲し気な旋律、それが弦楽器に受け渡されるとオーケストラがドラマティックに壮大な序奏を奏でます。

ホルンが対照的な穏やかでおおらかな旋律を歌うと表情は一変しますが、独奏チェロが再び最初の主題を力強く朗々と奏で始めます。

チェロのドラマティックで力強い表情とどこか郷愁を感じさせるような豊かな旋律が印象的な楽章です。

第2楽章(16:17)
木管楽器によるのどかな旋律が奏でられた後、独奏チェロが静かに語り出します。

その語り口は人生の年輪を重ねた老人が静かに語っているようでもあり、時に若かりし日の情熱を語っているようにも聴こえます。

独奏チェロと木管楽器が交互に織り成す調べはとても抒情的で美しいものです。

途中にオーケストラの強奏を挟んだ後、独奏チェロが歌曲「ひとりにさせて」から採った旋律を歌い出します。(19:19)

第3楽章(28:27)
冒頭のダイジェストでもご紹介した終楽章は独奏チェロの民族舞曲風の旋律が活き活きと楽章全体を支配します。

終結部では第1楽章の主題が回想され「ひとりにさせて」の旋律も現れます。

人の声に最も近いと言われる楽器、チェロの魅力を稀代のメロディメーカー、ドヴォルザークが余すところなく引き出した魅力あふれる作品です。

是非聴いてみてください。

ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」youtube動画

ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」

ナタリー・シュトゥッツマン指揮:サンパウロ州交響楽団
チェロ:アントニオ・メネセス

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最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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