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サン=サーンス「動物の謝肉祭」【解説とyoutube動画】

2020年9月19日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

華やかな序奏に続く可愛いピッコロの旋律。それに続きピアノが華麗に鍵盤の上を駆け巡ります。

ピッコロの奏でた旋律を弦楽器とピアノが奏すると華やかにクライマックスを迎えます。

ピアノを演奏するのはひと昔前に日本でも話題になり、CM等にも出演したラベック姉妹。フルートのエマニュエル・パユ氏がピッコロを演奏する姿も珍しいかも知れませんね。

動画はベルリン・フィルの夏の風物詩、ヴァルトビューネの野外コンサートでの演奏です。

サイモン・ラトル指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:カティア・ラベック&マリエル・ラベック

作曲の背景

「動物の謝肉祭」はフランスの作曲家、カミーユ・サン=サーンスが1886年に作曲した組曲です。

サン=サーンスは親しい友人たちで開催された謝肉祭期間中の私的な音楽会のためにこの作品を作曲していて、編成もこの催しに参加したメンバーを想定して書かれています。

プライベートな催しでの演奏のために書かれた作品である上に曲の中に他の作曲家の作品をパロディ的に引用していることもあり、サン=サーンス自身はこの作品を世に発表するつもりはなかったようです。

作曲者の意向に従いサン=サーンスの存命中は出版、公開演奏されることはなく、初めて公開演奏されたのはサン=サーンスがなくなった翌年1922年のことでした。
※完全なオリジナル曲で最も有名な第13曲「白鳥」のみ生前に出版、公開演奏されています。

その有名な「白鳥」を聴いてみましょう!

サン=サーンス「白鳥」

チェロ:ヨーヨー・マ
ピアノ:キャサリン・ストット

公開初演がオーケストラ版であったためにオーケストラ作品として演奏される場合もありますが、オリジナルは先ほどご紹介したようにプライベートな音楽仲間のために書かれた室内楽作品です。

オリジナルの編成は2台のピアノ、ヴァイオリン2、ビオラ、チェロ、コントラバス、フルート(ピッコロ)、クラリネット、シロフォン(木琴)、グラスハーモニカですが、グラスハーモニカで演奏さることは珍しくグロッケンシュピール(鉄琴)などで代用されることが多いようです。

グラスハーモニカはグラスの縁を濡れた指でこすって音を鳴らすグラス・ハープを工夫して1761年に発明された楽器で今日ではあまり見る機会はありません。演奏している動画を見つけましたのでご紹介しておきますね。

チャイコフスキー:バレエ組曲『くるみ割り人形』より「こんぺい糖の精の踊り」

グラスハーモニカ:William Zeitler

直径の異なる複数のグラス(ガラス)を大きさの順に並べて中心の棒を回転させながら濡れた指でこすりながら演奏しているようです。

グラス(ガラス)が共鳴してとても不思議で神秘的な音を奏でていますね。

確かに雰囲気が似ている楽器としてはチェレスタかグロッケンシュピール(鉄琴)が思い浮かびます。

上の動画でご紹介した「こんぺい糖の精の踊り」も作曲当初はこのグラスハーモニカを想定して書かれたようですが、結局、初演に際してはチェレスタが使用されています。

サン=サーンス「動物の謝肉祭」解説

第1曲「序奏と獅子王の行進曲」
百獣の王ライオンの勇壮な行進曲です。

第2曲「雌鶏と雄鶏」(00:34)
ピアノが描写しているのは鶏の鳴き声でしょうか。鶏と言えば秩序なく走り回っているようなイメージがありますが、この曲を聴くと群れをなして行進しているかのようなイメージを抱くのは私だけでしょうか。

第3曲「らば」(02:22)
私の勝手なイメージではゆったりと歩いているような動物のイメージですが、曲は逆にせわしく走り回っているような曲調です。

第4曲「亀」(03:56)
弦楽器が静かにゆったりと演奏するのはオッフェンバックの「天国と地獄」からの一節。

第5曲「象」(06:35)
コントラバスがのそのそと歩く象の行進を表現します。ここでもベルリオーズの「ファウストの劫罰」とメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の一節が引用がされています。

第6曲「カンガルー」(08:17)
カンガルーがぴょんぴょんと跳ねては立ち止まるような雰囲気の曲ですね。

第7曲「水族館」(09:24)
水面のきらめきのような幻想的な雰囲気が個人的に好きな1曲です。オリジナルでは先ほどご紹介したグラスハーモニカが指定されていますが、こちらの動画ではグロッケンシュピール(鉄琴)が用いられています。

第8曲「耳の長い登場人物」(12:04)
ここではタイトルに特定の動物名が入っていませんが、ヴァイオリンの演奏する甲高いいななきはロバの鳴き声とされています。ロバには「のろま、まぬけ」と言った意味合いがあり、仲間内で演奏する一種のお遊びとして書かれたこの曲はサン=サーンスに批判的だった評論家への皮肉であったと言われています。
仲間内では演奏しながら目を合わせてクスッと笑いあっていたのかもしれませんね。

第9曲「森の奥のカッコウ」(12:50)
静かで幻想的な森の奥からクラリネットが奏でるカッコウの鳴き声がこだましてきます。私には雨上がりの朝もやの中の光景のようにも聴こえます。

第10曲「大きな鳥籠」(15:34)
曲調は一転しフルートが目まぐるしく大きな鳥かごの中を飛び回ります。フルートは大変技巧的でテクニックを要しますが、最初の仲間内の音楽会でフルートを担当したのは当時の高名なフルート奏者、ポール・タファネルでした。

第11曲「ピアニスト」(17:04)
2台のピアノが音階の練習をしているかのようにピアノを奏でます。初版の楽譜には「初心者の下手な演奏を真似するように」と注記されていますが、これは出版社によるものです。
こちらの動画でもあえて下手にパロディを交えて演奏しています。機械的で退屈なピアノ練習生の日常を皮肉っているようにも言われています。

第12曲「化石」(19:38)
冒頭から様々な動物がクローズアップされてきますが、前曲は人間であるピアニストが登場、ここではついに「化石」が登場し、終盤にきての脱線具合がとてもユニークです。
シロフォン(木琴)の打ち鳴らす響きは化石の骨で演奏しているかのようで面白いですね。ここでも自作品の他に複数のフランス民謡などが引用されています。

第13曲「白鳥」(21:21)
先ほどもご紹介した本作品の中で最も有名な1曲。ピアノ伴奏に乗ってチェロが優雅で美しい旋律を奏でます。

第14曲「終曲」(25:23)
冒頭のダイジェスト動画でご紹介したフィナーレ。ここまで登場した複数の旋律を織り交ぜながら華やかに終結します。

サン=サーンス「動物の謝肉祭」youtube動画

サン=サーンス「動物の謝肉祭」

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