リムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」【解説と名盤】

2020年9月19日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

荒れ狂う海、波にのまれる船、ドラマティックに演奏されるのはシャリアール王のテーマです。

まずは第4曲「バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲」をダイジェストで聴いてみましょう!

ネーメ・ヤルヴィ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

指揮者のネーメ・ヤルヴィは1937年生まれ、旧ソ連エストニア出身の指揮者でNHK交響楽団の首席指揮者として日本でも活躍するパーヴォ・ヤルヴィの父親です。

動画はベルリン・フィルの夏の風物詩、2006年のヴァルトビューネの野外コンサートでの演奏です。

作曲の背景

交響組曲「シェヘラザード」作品35はロシアの作曲家、リムスキー=コルサコフ(1844-1908)が1888年に書き上げた管弦楽曲です。

「シェヘラザード」(シェエラザード)は「千夜一夜物語」または「アラビアンナイト」として知られるイスラムの説話集の中の登場人物で、毎夜、王に物語を語って聞かせる語り手でもあります。

ペルシャのシャリアール王は妻の不貞を知り激昂し、妻と相手たちの首をはね殺害します。以来、女性不信に陥ったシャリアール王は若い娘と一夜を過ごしては殺害すると言う暴虐を続けていました。

それを見かねた臣下の娘シェヘラザードは毎夜シャリアール王の傍で魅力的な面白い物語を聞かせます。

物語の続きを聞きたいシャリアール王はシェヘラザードを殺すことが出来ません。シェヘラザードの命をかけたその物語が千一夜を迎えた時、ついにシャリアール王は心を和らげ改心し、シェヘラザードを妃に迎えるのでした。

元々の物語は二百数十話しかなかったそうですが、後世にヨーロッパに紹介されると次々に物語が付け加えられついには千一話になったそうです。

その中には有名な「船乗りシンドバッド」「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」の物語も含まれます。

ロシア五人組(バラキエフ、キュイ、ムソルグスキー、ボロディン)と呼ばれる作曲家集団の中でも色彩感あふれる巧みな管弦楽法で知られるリムスキー=コルサコフがこの物語を題材にして作曲したのがこの交響組曲「シェヘラザード」です。

前年に「スペイン奇想曲」を作曲した44歳のリムスキー=コルサコフは円熟期を迎えており、この作品でもその手腕を遺憾なく発揮し豪華絢爛な絵巻物を描き出しています。

4つの曲にはそれぞれタイトルが付けられていますが、これはリムスキー=コルサコフの言などに基づき後に付けられたものです。

交響組曲「シェヘラザード」の解説

第1曲「海とシンドバッドの船」(00:35)

冒頭、勇壮な雰囲気で演奏されるのは暴君シャリアール王の主題で、続いて奏でられるハープの伴奏に乗った美しいヴァイオリンのソロが物語の語り手でもあるシェヘラザードの主題です。

冒頭のシャリアール王の主題がゆっくりとうねるように拡大していき、海とシンドバッドの乗った船を表現します。

大きくうねる海の情景は海軍士官として度々航海にも出たリムスキー=コルサコフの実体験に基づいているのかも知れません。

第2曲「カランダール王子の物語」(10:10)

美しいシェヘラザードの主題をヴァイオリンソロが奏でます。ファゴットが奏でるのは捕らわれ魔法をかけられた王女を助ける王子のテーマです。

音楽は不気味な金管楽器のファンファーレと共に暗転し、激しさを増していきます。

途中、静寂を取り戻した後のクラリネットとファゴットのソロが大変印象的です。

第3曲「若い王子と王女」(23:48)

ロマンティックで甘美な雰囲気に包まれた美しい曲です。ここでもクラリネット、フルートが音階を鮮やかに駆け巡る印象的な楽句を挿入します。

途中からは可愛い雰囲気の舞曲風の曲想に変わり、王子と王女が踊っているかのような印象を受けます。

再び美しい抒情的な旋律に包まれ、シェヘラザードのテーマがヴァイオリンソロで奏されドラマティックに展開した後、最後は優しく曲を終えます。

第4曲「バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲」(35:10)

緊張感のある王のテーマと少し悲劇的な雰囲気も醸し出すシェヘラザードのテーマが交互にあらわれます。

シェヘラザードを描写するヴァイオリンソロは全曲を通して重要な役割をしています。

荒れ狂う海、波にのまれる船、タイトルから想起されるイメージ通りの絵巻物がいよいよ完結します。

曲は圧倒的な盛り上がりを見せ、王のテーマを勇壮に奏でた後、シェヘラザードのテーマを残して静かに終曲します。

それは頑なだった心が穏やかに和らいだ王の寝顔に静かに語り掛ける、シェヘラザードの物語のようにも聴こえます。

交響組曲「シェヘラザード」のyoutube動画

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」作品35

大植英次指揮:ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団

アンコールに応えて打ち鳴らされる拍子木(クラベス?)と共に登場した大植英次さんが演奏したのは、指揮者、作曲家として活躍された外山雄三作曲の「管弦楽のためのラプソディ」

タキシードを脱ぎ去ると羽織を羽織った大植さんはノリノリで観衆の手拍子を誘います。

観衆は大喜びですがシェヘラザードの美しい余韻に包まれたホールに流れる、元気いっぱいの八木節に個人的にはクスリと笑ってしまいました。(失礼!)

こちらもぜひ聴いてみてください!

外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」より(53:24)

後で調べてみるとこの曲はこの日のコンサートのプログラムに入っていたようで、アンコールでは最後の部分が演奏されていますが、ワルシャワ・フィルの公式youtubeには本プログラムで演奏された全曲版の動画がアップされていましたのでご興味のある方はこちらをどうぞ!

外山雄三 管弦楽のためのラプソディ 大植英次指揮 ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団

大植英次さんは1956年生まれの指揮者です。1978年に渡米、小澤征爾、バーンスタインの元で学んだ後、欧米のオーケストラで活躍されました。

2003年からは朝比奈隆さんの後を継いで大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽監督に就任。2012年の退任後も世界を舞台に活躍を続けています。

交響組曲「シェヘラザード」の名盤

管理人おすすめの名盤はこちら!

リムスキー=コルサコフ
交響組曲『シェヘラザード』 op.35
スペイン奇想曲 op.34
シャルル・デュトワ指揮
モントリオール交響楽団
録音:1983年

『シェヘラザード』の名盤を検索するとゲルギエフ&キーロフ歌劇場管の盤に行き着くことが多いようですが、ゲルギエフの個性が強すぎて個人的にはあまり好きになれませんでした。

デュトワ&モントリオール響盤はテンポ設定も落ち着いていてオーソドックスなアプローチかも知れませんが、細部まで丁寧に聴こえてくる作品の繊細さと美しさを感じる1枚です。

ゲルギエフ&キーロフ歌劇場管の盤(2001)より20年近く前の録音ですが、録音状態もこちらの方がオケの響きがすっきりと聴こえ個人的には好みです。

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いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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