ヴィヴァルディ「四季」【解説と名盤】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!!
激しくかき鳴らされる弦楽器の調べ、それに続く劇的な独奏ヴァイオリンは夏の空にあらわれた雷鳴と、雹(ひょう)が穀物を打ち倒す様子を表現しています。
まずは第2番「夏」から第3楽章「夏の嵐」をダイジェストで聴いてみましょう。
ベルリン・バロック・ゾリステン
独奏ヴァイオリン:樫本大進
ベルリン・バロック・ゾリステンはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーで構成された古楽アンサンブルです。
独奏の樫本大進さんは2010年よりベルリン・フィルの第1コンサートマスターとして活躍されています。
ヴィヴァルディ「四季」の解説
「四季」はイタリアの作曲家、アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)が作曲したヴァイオリン協奏曲です。
1725年に発表された12曲からなるヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」作品8(伊:Il cimento dell’armonia e dell’inventione) の内、第1番から第4番までの4曲が「ヴィヴァルディの四季」として親しまれているものです。
ただしヴィヴァルディ自身はこの12曲からなる協奏曲集の中から4曲を「四季」として編纂した形跡はありません。
「春」「夏」「秋」「冬」の4曲の各楽章にはソネットと呼ばれる詩が付されていて、楽曲の雰囲気をあらわしています。
協奏曲第1番ホ長調 RV269「春」(La Primavera)
第1楽章:Allegro(00:05)
春がやってきた、小鳥は喜びさえずりながら祝っている。小川のせせらぎ、風が優しく撫でる。春を告げる雷が轟音を立て黒い雲が空を覆う、そして嵐は去り小鳥は素晴らしい声で歌う。
第2楽章:Largo(03:28)
牧草地に花は咲き乱れ、空に伸びた枝の茂った葉はガサガサ音を立てる。羊飼は眠り、忠実な猟犬はそばにいる。
第3楽章:Allegro(06:00)
陽気なバグパイプにニンフと羊飼いが明るい春の空の下で踊る。
※ニンフ=森に宿る精霊
協奏曲第2番ト短調 RV315「夏」(L’Estate)
第1楽章:Allegro non molto(10:10)
かんかんと照りつける太陽の絶え間ない暑さで人と羊の群れはぐったりしている。松の木も燃えそうに熱い。カッコウの声が聞こえる。そしてキジバトのさえずりが聞こえる。北風がそよ風を突然脇へ追い払う。やって来る嵐が怖くておののく。
第2楽章:Adagio(15:40)
稲妻と雷鳴の轟きで眠るどころではない、ブヨやハエが周りにすさまじくブンブン音を立てる。
第3楽章:Presto「夏の嵐」(17:53)
嗚呼、彼の心配は現実となってしまった。上空の雷鳴と雹(ひょう)が誇らしげに伸びている穀物を打ち倒した。
協奏曲第3番ヘ長調 RV293「秋」(L’Autunno)
第1楽章:Allegro「小作農のダンスと歌」(21:00)
小作農たちが収穫が無事に終わり大騒ぎ。ブドウ酒が惜しげなく注がれる。彼らは、ほっとして眠りに落ちる。
第2楽章:Adagio molto「よっぱらいの居眠り」(26:00)
大騒ぎは次第に弱まり、酒はすべての者を無意識のうちに眠りに誘う。
第3楽章:Allegro「狩り」(28:40)
夜明けに、狩猟者が狩猟の準備の為にホルンを携え、犬を従える。獲物は彼らが追跡している間逃げる。やがて傷つき獲物は犬と奮闘して息絶える。
協奏曲第4番ヘ短調 RV297「冬」(L’Inverno)
第1楽章:Allegro non molto(32:00)
寒さの中で身震いしている。足の冷たさを振り解くために歩き回る。辛さから歯が鳴る。
第2楽章:Largo(35:20)
外は大雨が降っている、中の暖炉で満足そうに休息。ゆっくりしたテンポで平和な時間が流れる。
第3楽章:Allegro(37:00)
私たちはゆっくりと用心深く、つまづいて倒れないようにして氷の上を歩く。しかし突然、滑って氷に叩きつけられた。氷が裂けて割れ、頑丈なドアから出ると外はシロッコと北風がビュービューと吹いていく。そんな冬であるが、もうすぐ楽しい春がやってくる。
※シロッコはアフリカから地中海を越えてイタリアに吹く南風
※ソネットの要約はウィキペディアからの引用です。
「四季 (ヴィヴァルディ)」『フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)』URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/四季_(ヴィヴァルディ)
ヴィヴァルディ「四季」youtube動画
ヴィヴァルディ:「和声と創意の試み」作品8より「四季」
アムステルダム・シンフォニエッタ
独奏ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン
ジャニーヌ・ヤンセンは1978年生まれのオランダ出身、現在は世界の主要オーケストラと共演を重ねる人気のヴァイオリニストです。
「Amazon Music Unlimited」ならご紹介したイ・ムジチ、ジャニーヌ・ヤンセンを始め、ムローヴァ、クレーメル、サラ・チャンなど多くのアーティストの「四季」が聴き比べできますよ!
ヴィヴァルディ「四季」の名盤
管理人おすすめの名盤はこちら!
ヴィヴァルディ
協奏曲集『四季』 op.8/1-4
第1番ホ長調 RV.269『春』
第2番ト短調 RV.315『夏』
第3番ヘ長調 RV.293『秋』
第4番ヘ短調 RV.297『冬』
ヴァイオリン協奏曲ホ長調 RV.271『恋人』
イ・ムジチ合奏団
独奏ヴァイオリン:フェリックス・アーヨ
レコード史上最も有名といっても過言ではないイ・ムジチの「四季」は、この作品を一躍有名にしたと言っても良いアルバムです。
独奏はこのアンサンブルが創設された時のメンバーで、初代のコンサートマスターでもあったフェリックス・アーヨが務めています。
「四季」は1959年とやや古い録音ですが、古さを感じさせない端正で柔らかく伸びやかな演奏が印象的です。
いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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