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レスピーギ「ローマの祭り」【解説と名盤】

2020年9月14日

作曲の背景

ローマの祭り」(伊:Feste Romane)はイタリアの作曲家、オットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1928年に書き上げた交響詩です。

1916年に「ローマの噴水」を、1924年に「ローマの松」を書き上げたレスピーギは「ローマ三部作」として知られるシリーズの最後の作品ローマの祭りの作曲に取り掛かります。

1923年、サンタ・チェチーリア国立アカデミアの院長に就任したレスピーギは多忙を極めながらも、この音楽院が所蔵する膨大な古楽資料などから様々なアイデアとインスピレーションを得たようです。

1928年に完成したこの「ローマの祭り」は古代から近代までのローマを舞台にした4つの祭りをテーマに作曲されています。

ローマを象徴する4つの祭りは時代を追って描かれます。

初演は翌1929年、イタリアの名指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ(1867-1957)の指揮、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団(現ニューヨーク・フィルハーモニック)の演奏によって行われました。

レスピーギ「ローマの祭り」の解説

第1曲 チルチェンセス(Circenses)

チルチェンセスは古代ローマ帝国の円形劇場(コロッセオ)で行われていた祭りです。

祭りとは言っても祝祭的なものではなく、暴君として有名な皇帝ネロがキリスト教を弾圧するために行ったもので、捕らえたキリスト教徒たちをコロッセオの中で猛獣によって喰い殺させると言う残酷なものです。

目の前で繰り広げられる凄惨なショーに激昂する狂気に満ちた大群衆の歓声、獲物を前に咆哮する猛獣たちの雄たけびがレスピーギの多彩な管弦楽法で描き出されます。

バンダと呼ばれる舞台外に配置された金管楽器群は古代のラッパ、ブッキーナが指定されていますが、現在ではトランペットで演奏されるのが一般的です。

中間部では死を前に祈るキリスト教徒たちの聖歌が聴こえてきます。

第2曲 五十年祭(Il giubileo)

中世ロマネスクが起源の五十年祭はその年にローマに巡礼したものには特別の赦しを与えるとしたカトリック教の聖年を記念した祭のことです。

1300年に始まったとされ、以後25年や50年の節目に現在まで続いています。

何度も繰り返される冒頭のモチーフが遠くから近づいてくる巡礼者たちの疲れた足取りのようです。

それはチルチェンセスで殉教したキリスト教徒たちの悲しみを背負っているようでもあり、印象的です。

疲れきったその足取りもローマが近づいてくると何かの力を得たかのように高揚し、歩みを速めます。

巡礼者たちはついにモンテ・マリオの丘の頂に辿り着き、そこからローマを一望すると、永遠の都、ローマを讃える歓喜の讃歌が沸き起こります。

最後はそれに答えるかのようにローマの教会から鐘の音が静かに鳴り響きます。

第3曲 十月祭(L’Ottobrata)

ローマの南東、アルバーニの丘陵地帯にある町、カステッリ・ロマーニは古代ローマ皇帝や貴族たちが別荘を建て、ワインの産地としても有名です。

この曲ではルネサンス時代にそこで行われた葡萄の収穫を祝う収穫祭、十月祭の様子を描いています。

ホルンが奏でる狩りの響きは時には近くで勇壮に、時にはミュート(弱音器)を付けて遠くから聴こえるように奏でられ、立体的な空間を作り上げています。

やがて夕日に包まれる十月祭にはマンドリンとヴァイオリンのソロによるロマンティックなセレナーデが聴こえてきます。

第4曲 主顕祭(La Befana)

終曲は近代ローマ、ナヴォーナ広場で行われる主顕祭の前夜祭の様子が描かれています。

主顕祭はその名の通り救い主であるイエス・キリストの顕現を記念する祝日です。

祭りの狂乱の喧騒、手回しオルガンの音、物売りの呼び声、酩酊した人達の歌声などが見事な管弦楽法で描かれています。

多彩な打楽器群、印象的な小クラリネット、輝かしい金管楽器群が色彩豊かに熱狂的なクライマックスへと導いていきます。

レスピーギ「ローマの祭り」youtube動画

レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」

第1曲 チルチェンセス【00:25】
第2曲 五十年祭【04:50】
第3曲 十月祭【10:50】
第4曲 主顕祭【18:35】

Massimo Zanetti指揮  京畿フィルハーモニー管弦楽団

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レスピーギ「ローマの祭り」の名盤

管理人おすすめの名盤はこちら!

レスピーギ
交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの松」
交響詩「ローマの祭り」

ジュゼッペ・シノーポリ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
録音:1991年4月、ニューヨーク

管理人のおすすめはこの作品の初演も行ったニューヨーク・フィルの演奏です。

指揮はイタリアの指揮者、ジュゼッペ・シノーポリ(1946-2001)。

この作品の個人的な印象は「熱狂」「狂乱」と言ったイメージですが、全体的には落ち着いて堂々としたテンポ設定の中にも凶暴に鳴り響く荒々しい金管楽器の咆哮や熱狂的な狂乱の中で迎える終曲が印象的な演奏です。

バンダを含む大規模な金管楽器や打楽器群によるダイナミックな演奏効果に注意が向きがちですが、それを鮮やかに彩る弦楽器や木管楽器のバランスも良く、素晴らしい演奏です。

いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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