ブラームス「交響曲第4番」【解説と名盤】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
弦楽器が奏でるどこか切なく悲し気な旋律、木管楽器がその旋律を美しく彩るように絡み合っていきます。
まずは第1楽章をダイジェストで聴いてみましょう。
サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
作曲の背景
交響曲 第4番 ホ短調 作品98はドイツの作曲家、ヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1885年に書き上げた最後の交響曲です。
1883年に交響曲第3番を書き上げたブラームスは翌1884年から次の交響曲の作曲に取り掛かります。
50歳代に差し掛かったブラームスは既に楽壇の重鎮として確たる名声と地位を築き、ウィーンを本拠地としながらも夏には気候の良い避暑地で作曲に精を出す生活を送っていました。
1885年10月、親しい友人たちを招きブラームス自身のピアノ連弾で試演がされましたが、そこでの作品への評価は賛否両論があったようです。
同じ月に行われた初演では好評を博したものの、批評家たちの意見は試演の際と同様に意見が分かれました。
ネガティブな批評の理由としては、作曲手法が古臭く懐古的と言うのが主であったようです。
当時19世紀後半の西欧楽壇は後期ロマン派と呼ばれ、ワーグナー(1813-1883)が新しい作曲様式を取り入れた壮大な楽劇を次々と発表し大きなムーヴメントを巻き起こしたり、オーケストラで使われる楽器の改良で、より大規模でドラマティックな交響詩や管弦楽曲が作曲されたりしました。
またドヴォルザーク(1841-1904)、スメタナ(1824-1884)、ムソルグスキー(1839-1881)などの国民楽派と呼ばれる民族音楽と密接に関連した音楽も一世を風靡しました。
そのように新しく多様なスタイルが流行していく中で、ベートーヴェンに深く傾倒し、保守的と見られていたブラームスの新作交響曲はスタイル的にも古臭いと感じられたのかも知れませんね。
しかし、その作品の真価は聴く人によっては評価され、リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が書いた手紙の中には「間違いなく巨人のような作品です。とてつもない楽想、そして創造力。形式の扱いや長編としての構造は、まさに天才的」(引用:ウィキペディア)と書き残されています。
現在ではブラームスの交響曲の中でも傑作との呼び声が高い作品ですが、初演当時は様々な批評にさらされていたのですね。
ブラームス「交響曲第4番」の解説
第1楽章 Allegro non troppo(00:20)
冒頭、弦楽器が奏でるもの悲しい憂いに満ちた旋律が印象的です。
中間部では金管楽器のファンファーレに導かれて勇壮な側面も垣間見せます。
しかし再び哀切な表情が支配し、最後は劇的に終結します。
第2楽章 Andante moderato(13:00)
ホルンから木管楽器に受け渡される旋律はフリギア旋法と呼ばれるバロック以前の教会で用いられた書法に基づいて書かれています。
何度も繰り返される冒頭の旋律が穏やかで温かく、素朴な旋律の中にも美しさを感じる楽章です。
第3楽章 Allegro giocoso(24:40)
giocoso(陽気に、おどけて)と指示された通り、一転して明るく生き生きとした音楽が展開されます。
中間部ではテンポを緩め牧歌的な旋律をホルンが奏でますが、それもほんのひと時で再び活気を取り戻し一段と高揚し曲を終えます。
第4楽章 Allegro energico e passionato(31:00)
重厚な響きで奏でられる8小節の和音がこの楽章の主要な主題となっています。
ブラームスはここでもバッハの頃に全盛を迎えたバロック期に流行した変奏曲の形式であるシャコンヌの様式を取り入れています。
曲想は厳格でやや悲劇的な雰囲気に包まれており、劇的なフィナーレを飾ります。
ブラームス「交響曲第4番」のyoutube動画
ブラームス 交響曲 第4番 ホ短調 作品98
アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮 hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
ブラームス「交響曲第4番」の名盤
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ブラームス:交響曲第4番ホ短調 op.98
カルロス・クライバー指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1980年3月
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
レコーディングが少なく、キャンセル魔としても知られ、指揮するというだけで世間でニュースになるほどカリスマ的存在であった当時50歳のクライバーがウィーン・フィルハーモニーを指揮した名盤です。
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