ウィリアム・ゴメス「アヴェ・マリア」【歌詞と解説、名盤】
目次
ウィリアム・ゴメス「アヴェ・マリア」解説
「ウィリアム・ゴメスのアヴェ・マリア」として知られるこの作品は、ジブラルタルのギタリストで作曲家のウィリアム・ゴメス(William Gomez,1939-2000)が作曲した歌曲です。
ジブラルタルはイベリア半島、スペインの南に突き出た小さな半島にあり、イギリスの領土です。
地名としてよりはヨーロッパ大陸とアフリカ大陸を隔てるジブラルタル海峡と言う名前の方が有名かも知れませんね。
ウィリアム・ゴメスは幼い頃からギターを学び、スペインの高名なギタリスト、ナルシソ・イエペス(1927-1997)にも師事しました。
ゴメスはその才能を早くから開花させ、10代の頃からリサイタルを行うなど、演奏活動のキャリアをスタートさせました。
政治的な問題から1969年にスペインとの国境が封鎖されると、帰属するイギリス本土へも活躍の場を広げたゴメスは、後には故郷のジブラルタルで教育活動にも携わっています。
※この国境封鎖は1985年に完全解除されるまで16年も続くことになります。
ウィリアム・ゴメスの音楽はクラシックのジャンルに縛られることなく進化を続け、ジャズ・ギタリストとして有名なジョージ・ベンソン(1943 – )などとも共演しています。
ゴメスが率いたバンド「Vibrations」のメンバーが、丁度スペインとの国境封鎖が解除された当時のテレビ番組をyoutubeにアップしていますので少し見てみましょう。
Vibrations on Gibraltar TV 1985 – ‘Asturias’
「ウィリアム・ゴメスのアヴェ・マリア」はその最晩年の2000年に書かれた作品です。すでに癌に侵されていたウィリアム・ゴメスは、この作品の演奏が予定されていたジブラルタルのクリスマスコンサートの直前、12月2日に61歳でこの世を去ることになります。
ウィリアム・ゴメスが人生の最後に書いた「アヴェ・マリア」は美しく清らかで実に感動的な作品です。次にご紹介する動画でぜひお楽しみいただければと思います。
ウィリアム・ゴメス「アヴェ・マリア」歌詞
スペイン語による歌詞はカトリック教会で用いられる伝統的なアヴェ・マリアの祈祷文がベースになっているようです。
※次にご紹介する動画では一部がハミングで歌唱されています。
Ave, Ave Maria
Llena, llena eres de gracia
Bendita eres tu entre todas las mujeres
Y bendito es el fruto de tu vientre Jesus.
Ave, Ave Maria
Llena, llena eres de gracia
Bendita eres tu entre todas las mujeres
Y bendito es el fruto de tu vientre Jesus.
Santa,Santa Maria
Santa Maria, madre de Dios
Ruega por nosotros pecadores
Ahora y en la hora
De nuestra muerte, amén
Bendita eres tu entre todas las mujeres
Y bendito es el fruto de tu vientre Jesus
Santa,Santa Maria
Santa Maria, madre de Dios
Ruega por nosotros pecadores
Ahora y en la hora
De nuestra muerte , amén
Amen, Amen
ウィリアム・ゴメス「アヴェ・マリア」youtube動画
ウィリアム・ゴメス「アヴェ・マリア」
ソプラノ:Olga Zinovieva
ウィリアム・ゴメス「アヴェ・マリア」名盤
管理人おすすめの名盤はこちら!
エリーナ・ガランチャ「メディテーション」
【収録曲】
ウィリアム・ゴメス:アヴェ・マリア
マスカーニ:アヴェ・マリア
ビゼー:アニュス・デイ
カッチーニ:アヴェ・マリア
他、全14曲
エリーナ・ガランチャ(メゾ・ソプラノ)
ラトヴィア放送合唱団
シグヴァルズ・クラーヴァ(合唱指揮)
ザールブリュッケン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団
カレル・マーク・チチョン(指揮)
録音:2013年10月
※こちらのアルバムは「Amazon Music Unlimited」でもお楽しみいただけます!
アルバム「メディテーション」より
エリーナ・ガランチャ(1976-)は旧ソ連、ラトヴィア出身のメゾソプラノ歌手です。
エリーナ・ガランチャはこの「ウィリアム・ゴメスのアヴェ・マリア」を自身のコンサートなどで度々取り上げていますが、これにはこのアルバムでも指揮をしている彼女の夫、カレル・マーク・チチョンがウィリアム・ゴメスの故郷ジブラルタルで育ったこととも深く関係しているようです。
ウィリアム・ゴメスの弟のブログによれば、ゴメスとチチョンは親友で、2007年にウィーンで行われたクリスマス・コンサートでこの曲が演奏された際には招待されたとの記述が見られます。
Walk for William 2010(ゴメスの弟のブログ)
カレル・マーク・チチョンは1971年にロンドンに生まれ、ジブラルタルで育ちました。ロンドン王立音楽院で学んだ後、ジョゼッペ・シノーポリ、ヴァレリー・ゲルギエフのアシスタントを務めました。
このアルバムには「マスカーニのアヴェ・マリア」「カッチーニのアヴェ・マリア」なども収録されていて、いろいろな作曲家のアヴェ・マリアを聴き比べて楽しむことが出来ます。
エリーナ・ガランチャの豊かで美しい歌声が存分に楽しめるおすすめの1枚です。
まとめ
ウィリアム・ゴメス作曲の「アヴェ・マリア」いかがでしたでしょうか?
おそらく多くの方にとっては耳なじみのない名前だと思いますが、その美しい旋律には誰もがきっと魅了されることでしょう。
亡くなる直前に作曲されたために、この作品が現在世界の多くの人々に愛され、多くの人々を癒していることを知らないままに旅立ちました。
今頃きっと天国から微笑ましく見ていることでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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