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ベートーヴェン|交響曲第3番「英雄」【解説とyoutube動画】

2021年2月10日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

開幕を告げるかのような力強い和音が2度響き渡ると、弦楽器の刻むリズムに乗って流麗な調べが展開されていきます。

まずは第1楽章の冒頭部分をダイジェストで聴いてみましょう!

ベルナルド・ハイティンク指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

作曲の背景

交響曲第3番「英雄」はベートーヴェンが1804年に書き上げた交響曲です。

タイトルの「英雄」は書き上げたスコア(総譜)の表紙に書かれていた「ボナパルトと題して」と言うタイトルをペンで書き消した後に「シンフォニア・エロイカ、ある英雄の思い出のために」と書き加えられたことに由来しています。
※ボナパルト=ナポレオン・ボナパルト

ナポレオンは1789年のフランス革命後の混乱したフランスに彗星のごとく現れ、その卓越した軍事指導力でまたたく間にフランス国内の支持を集め、1799年に軍事クーデターを起こし新政府を樹立した上、ついに1804年には皇帝の地位に就くことになります。

「民衆の英雄」であったナポレオンへ作品の献呈を考えていたベートーヴェンでしたが、曲が完成する頃にはそのナポレオンも皇帝の地位に就くのを見て「新しい独裁者」として捉えていたのでしょうか。

最終的にこの作品がナポレオンに献呈されることはなく、スコアに書かれた「ある英雄」がナポレオンを指しているのか、あるいは他の人物を指しているのかにも諸説があるようです。

いずれにしてもこの交響曲そのものが「英雄」の生涯を描いたストーリー性を持つ作品ではありませんが、それまでの交響曲とは一線を画するような壮大で堂々とした雰囲気が多くの人々に「英雄」のタイトルで親しまれた理由であるようにも思います。

ベートーヴェン|交響曲第3番「英雄」解説

第1楽章
「雄大」「壮大」そんな言葉がふさわしい雰囲気が全体を支配する楽章です。

ホルンの雄弁な語り口調が印象的で、ドラマティックな音楽の展開にすっかり魅了されてしまいます。

第2楽章(16:00)
第2楽章はそれまでの交響曲では異例の「葬送行進曲」。悲嘆にくれる旋律がヴァイオリンからオーボエに受け継がれます。

中間部では今は亡き英雄を偲ぶかのような穏やかで明るい表情も見せますが、再び葬送行進曲の旋律が現れドラマティックに高揚していきます。

最後は葬送の足取りが徐々に重くなるように終止します。

第3楽章(31:50)
弦楽器が細かく刻むリズムに乗って木管楽器が快活に動き回るエネルギッシュでいきいきとした舞踏的な楽章です。

中間部では3本のホルンが牧歌的な響きを奏で印象的です。

第4楽章(37:50)
華やかな序奏に続き主題と変奏が演奏されます。主題は少しずつ形を変えて演奏されますが、旋律は常にいきいきしながら徐々にエネルギッシュになっていきます。

最後は序奏部分がもう一度現れクライマックスを迎えます。

ベートーヴェン|交響曲第3番「英雄」youtube動画

今回ご紹介する動画ではトランペットとホルンがベートーヴェンの作曲当時に一般的に使用されていたナチュラル・トランペット、ナチュラル・ホルンを用いて演奏されています。

現在、一般的に使用されている楽器に付いているバルブ・システムと呼ばれるピストンやロータリーの無い楽器、早い話が指で操作する部分の無い楽器です。

演奏できる音も限られ、音を変えるのは息の圧力とスピード、唇のコントロール(ホルンの場合はそれに加えベルの中に挿し込んだ右手の位置)に委ねられるため、現代の楽器に比べると演奏も困難ですが、その分ベートーヴェンが頭に描いた響きに近づけるのかも知れませんね。

ちなみにバルブ・システムの付いたトランペットやホルンが普及するのは19世紀半ば、ベートーヴェンが没して後しばらくしてからのことでした。

ベートーヴェン「交響曲第3番《英雄》」

アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮:hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)

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