ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」【解説とyoutube動画】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
独奏ヴァイオリンがトリルを連続して奏でるとオーケストラと呼応しながらドラマティックに高揚していきます。
その響きは交響曲のようでもあり、ブラームス特有の世界を作り上げています。
まずは第1楽章をダイジェストで聴いてみましょう!
アンドリス・ネルソンス指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:ガイ・ブラウンシュタイン
ヴァイオリンのガイ・ブラウンシュタインさんは1971年生まれ、イスラエル出身のヴァイオリニストです。
2003年からはベルリンフィルのコンサートマスターとしても活躍されましたが、2013年に退団され、その後はソリストとして活躍されています。
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作曲の背景
今回ご紹介するのはドイツの作曲家、ヨハネス・ブラームスが交響曲第2番を書き上げた翌年の1878年に作曲したヴァイオリン協奏曲です。
前年に聴いた名手サラサーテの演奏するブルッフのヴァイオリン協奏曲を聴いて触発されたとの説もあります。
作曲に当たっては20年来の友人でこの作品の初演のソリストを務めた名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの助言があったようで、ブラームスとの間で交わされた書簡が遺されています。
1879年にブラームス自身の指揮で行われた初演は大成功を収めました。
幼い頃からピアノの他にヴァイオリンとチェロも学んでいたブラームスはヴァイオリンの奏法を熟知していましたが、この作品を完成させたのは45歳の時で唯一のヴァイオリン協奏曲となりました。
今日ではベートーヴェン 、メンデルスゾーンの協奏曲と並び3大ヴァイオリン協奏曲と称されています。
作曲された19世紀後半はリストやワーグナーに代表される後期ロマン派と呼ばれる音楽が流行した時代。
作曲技法にも新しいスタイルが取り入れられ、音楽そのものも文学作品との結びつきが強くなったり、ドラマティックなストーリー性や美しい情景描写を伴った作品が流行しました。
そんな中にあって音楽以外のものを排除し、絶対音楽を突き詰めたようなブラームスの作風は当時の他のヴァイオリン協奏曲に見られる派手で華やかな名人芸的超絶技巧が散りばめられたような作風とは対極にあるかも知れませんが、独奏ヴァイオリンとオーケストラが緻密に絡まった奥深い作品として古今のヴァイオリン協奏曲の中でも傑作としての評価を得るに至りました。
ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」解説
第1楽章 Allegro non troppo
冒頭オーケストラがゆったりと牧歌的な第1主題を奏でます。次第に緊張感と力強さを増したオーケストラに続いて独奏ヴァイオリンが登場します。
その旋律は時に情熱的で時に優美で聴く人の心を惹きつけます。
独奏ヴァイオリンには2つの音を同時に弾く重音の箇所が増えてきますが、初演者のヨアヒムは「よほど大きな手の人でないと難しい」とブラームスに言ったそうです。
独奏ヴァイオリンとオーケストラの織りなす調べはドラマティックに展開した後、独奏ヴァイオリンのカデンツァ(オーケストラ伴奏のない独奏部分)をはさみます。
ブラームス自身はカデンツァを書かなかったので、初演者のヨアヒムや後世の名ヴァイオリニストたちの書いたカデンツァを、また時には自作のカデンツァを採用するヴァイオリニストもいます。
次の動画ではヨアヒム作のカデンツァが演奏されています。(18:07)
カデンツァが終わった後に繰り返される独奏ヴァイオリンが奏でる第1主題は息を呑むような美しさです。(22:00)
第2楽章 Adagio(24:00)
冒頭オーボエが奏でる旋律はとても穏やかで、のどかな夕暮れの田園風景の中で静かにたたずんでいるかのような感覚に陥ります。
同時代のヴァイオリンの名手サラサーテは「オーボエが美しい旋律を奏でて聴衆を魅了しているというのに、自分がヴァイオリンを持ってぼんやりそれを眺めていることに我慢がならない」と言ってこの作品を演奏することがなかったそうです。(参照:ウィキペディア)
この美しい旋律に続く独奏ヴァイオリンの調べはロマンティックで哀切な情感に満ち溢れていて惹きつけられます。
しかし高揚しきると言うよりは内省的な節度を保ったまま音が紡がれていく様がブラームスらしく印象的な楽章です。
第3楽章 Allegro giocoso,ma non troppo vivace – Poco piu presto(32:15)
冒頭から力強くエネルギッシュな舞曲風の音楽が展開されていきます。
独奏ヴァイオリンは活き活きと五線譜の上を駆け巡り、フィナーレへと登り詰めていきます。
ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」youtube動画
ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
パーヴォ・ヤルヴィ指揮 hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
ヒラリー・ハーンさんは1979年生まれのアメリカ出身のヴァイオリニストです。
10代の頃からソリストとして活躍され、世界のメジャーオーケストラとも多くの共演を重ねています。
2000年、当時20歳のヒラリー・ハーンさんはベルリンフィルの日本ツアーにもソリストとして同行されています。その時の演奏がベルリンフィルの公式youtubeにダイジェストでアップされていますのでご紹介しておきます。
可愛いお人形さんのような風貌と研ぎ澄まされた演奏のギャップにただただ驚かされます!
※管理人の個人的な感想ですのでご容赦ください。
ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1番
マリス・ヤンソンス指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
サントリー・ホール30周年記念演奏会
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