ショパン「幻想即興曲」【解説と名盤、無料楽譜】

2020年9月14日

ショパン「幻想即興曲」の解説

幻想即興曲のタイトルで有名な即興曲 第4番 嬰ハ短調 作品66はポーランドの作曲家、フレデリック・ショパン(1810-1849)が作曲したピアノのための作品です。

ショパンは生涯に4曲の即興曲を作曲していますが、生前に出版されたのは第1番から第3番までの3曲で、これらの作品は1837年から1842年にかけて作曲されました。

今回ご紹介する即興曲 第4番(以下幻想即興曲)はショパンの死から6年後の1955年に友人で法律家、作曲家でもあったユリアン・フォンタナ(1810-1869)によって出版されました。

「幻想即興曲(Fantaisie-Impromptu)」のタイトルはその際に付けられたもので、ショパン自身が付けたものではありません。

ショパンは遺言で自身の未出版作品を破棄するように希望したと伝えられていますが、実際にはフォンタナはこの幻想即興曲以外にも複数の未出版作品を出版しています。

この作品は複数の筆者譜が遺されていましたが、ショパン自身の自筆譜は長い間見つかっていませんでした。

1962年、20世紀を代表するポーランド出身のピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタイン(1887-1982)がエステ公爵夫人に1835年に献呈された自筆譜を発見します。

つまり1835年には完成されていたこの幻想即興曲は他の3曲の即興曲より先に作曲されていたことになり、何らかの理由により出版されていなかったことになります。

初版を出版したフォンタナによればこの曲が作曲されたのは1834年とのことであり、それが事実であればフォンタナはエステ公爵夫人に献呈されたショパンの自筆譜より以前に筆写、もしくは自筆された資料に基づいて初版を出版したことになります。

このフォンタナによる初版には作曲家でもあったフォンタナの手によって強弱記号などが加えられています。

ショパンがこの作品を出版しなかった理由としては、同時代の作曲家、イグナーツ・モシェレス(1794-1870)の作品に似ていること、同様の理由としてベートーヴェンの「月光ソナタ」に似ている箇所があること、エステ公爵夫人に献呈した作品であったため、などの説がありますが、いずれも真偽のほどは定かではありません。

楽譜はフォンタナが出版した初版に基づくものと、ルービンシュタインが発見した自筆に基づくものが複数の出版社から出版されています。

楽曲は幻想的で極めて即興的な雰囲気の細かい楽句が鍵盤の上を駆け巡る印象的な出だしに始まり、甘く美しくそして胸に迫るようなドラマティックな音楽が繰り広げられる大変魅力的な曲です。

ショパンの遺志とは異なったかも知れませんが、フォンタナが出版することがなければ、今日ショパンの最も有名な作品とも言ってもよいこの幻想即興曲が世に知られることはなかったかも知れませんね。

ショパン「幻想即興曲」のyoutube動画

ショパン 即興曲 第4番 嬰ハ短調 作品66「幻想即興曲」

ピアノ:ダニール・トリフォノフ

ピアノ:Anastasia Huppmann

ショパン「幻想即興曲」の無料楽譜

ショパン「幻想即興曲」(IMSLP)

リンク先から無料楽譜をダウンロード出来ます。ご利用方法がわからない方は下記の記事を参考にしてください。

ショパン「幻想即興曲」の名盤

管理人おすすめの名盤はこちら!

『キーシン・プレイズ・ショパン』

ショパン
ポロネーズ第1番嬰ハ短調 Op.26-1
ポロネーズ第2番変ホ短調 Op.26-2
即興曲第1番変イ長調 Op.29
即興曲第2番嬰へ長調 Op.36
即興曲第3番変ト長調 Op.51
即興曲第4番嬰ハ短調 Op.66『幻想即興曲』
ポロネーズ第4番ハ短調 Op.40-2
ポロネーズ第6番変イ長調 Op.53『英雄ポロネーズ』

ピアノ:エフゲニー・キーシン

録音:2004年7月24日 スイス、ヴェルビエ音楽祭[ライヴ]

管理人のおすすめは2004年、当時32歳のキーシンがスイスのヴェルビエ音楽祭で行ったリサイタルのライヴ・レコーディング盤です。

キーシンの奏でるピアノはドラマティックと言うよりは繊細で幻想的なタッチが印象的で、ライブ録音ならではの音楽の自然な揺らぎも感じられ魅力的です。

即興曲全4曲の他に「英雄ポロネーズ」をはじめとしたポロネーズのカップリングも魅力的な1枚です。

エフゲニー・キーシンは1971年、モスクワ生まれのピアニストです。

10歳でピアノ協奏曲を弾き、11歳の時にはモスクワでリサイタル・デビューをするほどの神童ぶりを発揮。12歳でキタエンコ指揮モスクワ・フィルとの共演で、ショパンのピアノ協奏曲2曲をモスクワ音楽院大ホールで弾き、一躍世界の注目を集めました。

1988年にカラヤンの招きで、ベルリン・フィルとチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏したことが、国際的な名声と評価を決定付けます。以後、世界の一流オーケストラと共演を重ね、まさに世界のトップ・ピアニストとして活躍を続けています。

いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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参考資料:「幻想即興曲」『フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)』2019年12月25日 (水) 21:06 URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/幻想即興曲/
「ショパン :幻想即興曲 (遺作) Op.66 CT46 嬰ハ短調」『ピティナ・ピアノ曲辞典』URL:https://enc.piano.or.jp/musics/473
松本由美子著『フレデリック・ショパン 「幻想即興曲」ショパンの作品と背景について』白鴎大学発達科学部論集第3巻第1号

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