シューベルト「セレナーデ」【歌詞と解説】

2020年9月16日

シューベルト「セレナーデ」の解説

「シューベルトのセレナーデ」として有名なこの作品はオーストリアの作曲家、フランツ・シューベルト(1797-1828)が作曲した歌曲集「白鳥の歌」D 957の第4曲にあたります。

歌曲集「白鳥の歌」はシューベルトの書いた他の歌曲集とは異なり、3人の詩人による14の歌曲からなっています。

これは1828年にシューベルトが亡くなった時に遺作として遺された14の歌曲作品を周囲の人たちがひとまとめにして翌1829年に出版したことに由来しています。

タイトルの「白鳥の歌」は白鳥が死ぬ間際に最も美しく歌うという神話に基づいています。

シューベルトが存命であればそれぞれ別の作品となっていたであろう歌曲集「白鳥の歌」に収められている作品を簡単にご紹介しておきます。

第1曲から第7曲はもともとベートーヴェンに作曲の依頼がされたものが、その死によってシューベルトにまわってきたとされる詩人レルシュタープによる詩に基づいています。

第1曲「愛の使い」(Liebesbotschaft)
第2曲「戦士の予感」(Kriegers Ahnung)
第3曲「春の憧れ」(Frühlingssehnsucht)
第4曲「セレナーデ」(Ständchen)
第5曲「住処」(Aufenthalt)
第6曲「遠い地にて」(In der Ferne)
第7曲「別れ」(Abschied)

シューベルトはレルシュタープの詩に基づく第8曲「生きる勇気」(Lebensmut)の作曲に着手していましたが未完に終わっています。

第8曲から第13曲は詩人ハイネの詩集「歌の本」からとられた6つの詩に基づいています。

第8曲「アトラス」(Der Atlas)
第9曲「彼女の肖像」(Ihr Bild)
第10曲「漁師の娘」(Das Fischermädchen)
第11曲「都会」(Die Stadt)
第12曲「海辺にて」(Am Meer)
第13曲「影法師」(Der Doppelgänger)

シューベルトはその死の前月にこの6曲からなる歌曲の出版を出版社に依頼しています。

第14曲はシューベルトの仲間の一人であったザイドルの詩に基づいています。

第14曲「鳩の便り」(Die Taubenpost)

シューベルト「セレナーデ」の訳詞

歌詞の内容は恋する人への想いをせつせつと歌い上げています。

ここでは国際フランツ・シューベルト協会による口語訳と堀内敬三(1897-1983)による文語訳をご紹介したいと思います。

人気(ひとけ)ない真夜中に、きみを呼ぶ
静かな町角に出ておいで!
ささやく梢に月の光、月の光
人に見られても、気にはするな、気にはするな!

ナイチンゲールの鳴く声も、きみを呼ぶ
やるせないこの恋を歌ってる
鳥も知っている恋の悩み、胸の痛み
銀色の声で胸をゆすり、ハートを刺す

心があるなら聞いてくれ!
震えて待つぼくを、迎えてくれ、迎えてくれ!
やさしく

引用:国際フランツ・シューベルト協会

秘めやかに 闇を縫う 我が調べ
静けさは 果てもなし 来よや君

ささやく木の間を 洩る月影 洩る月影
人目も届かじ たゆたいそ たゆたいそ

君聞くや 音にむせぶ 夜の鳥
我が胸の 秘め事を そは歌いつ

鳴く音に込めつや 愛の悩み 愛の悩み
わりなき思いの かの一節 かの一節

深き思いをば 君や知る
我が心 騒げり
待てる我に 出で来よ君
出で来よ

引用:堀内敬三訳

シューベルト「セレナーデ」youtube動画

シューベルト歌曲集「白鳥の歌」D 957より第4曲「セレナーデ」

カウンターテナー:フィリップ・ジャルスキー
ピアノ:Jérôme Ducros

フィリップ・ジャルスキーさんは1978年生まれ、フランス出身の歌手です。

変声期を過ぎた男性が女声パートに相当する音域を歌うカウンターテナーの歌手として活躍されています。

シューベルト「セレナーデ」ピアノ版

ハンガリー出身の作曲家、フランツ・リスト(1811-1886)はこの作品をピアノ独奏用に編曲しています。

リストはこの他にも多数のシューベルトの歌曲をピアノ独奏用に編曲していますが、当時は「シューベルトへの冒涜」との批判も受けたそうです。

それでも尚、多数の作品を編曲したリストがいかにシューベルトの歌曲をリスペクトしていたかが伺えます。

シューベルト(リスト編曲):『白鳥の歌』第7曲「セレナーデ 」S.560-7
※シューベルトの歌曲集とは曲順が異なります。

ピアノ:ヴァレンティーナ・リシッツァ

ヴァレンティーナ・リシッツァさんは1973年生まれ、ウクライナ出身のピアニストです。
現在はアメリカを拠点に世界各地でリサイタルを行い、オーケストラのソリストとしても活躍されています。
you tuberとしても有名な彼女は多数の録音をアップしておりクラシックプレーヤーとしては驚異的な再生数を記録しています。
ヴァレンティーナ・リシッツァ You Tubeチャンネル

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