ピアソラ「アヴェ・マリア」解説とYouTube動画
目次
ピアソラ「アヴェ・マリア」解説
「アヴェ・マリア」はアルゼンチンの作曲家でバンドネオン奏者のアストル・ピアソラ(1921-1992)が作曲した歌曲です。
1984年、63歳のピアソラはイタリアの劇作家でノーベル文学賞受賞者でもあるルイジ・ピランデルロ(1867-1936)の同名戯曲に基づき、イタリア映画界の巨匠マルコ・ベロッキオ(1939-)が作った映画「エンリコ4世」の音楽を担当することになります。

ピアソラはこの映画のためにいくつかの曲を書いていますが、その中でオーボエとピアノのために書かれた「Tanti Anni Prima(昔々)」という作品があります。
そして、この「Tanti Anni Prima」の旋律にイタリア語(ラテン語)の歌詞を付けたのが、今回ご紹介する「アヴェ・マリア」です。
歌詞はイタリア語とラテン語のものがあり、伝統的な祈祷文のアヴェ・マリアとは異なりますが、誰の作なのかはわかりませんでした。
「鶏が先か、卵が先か?」
この作品について触れた複数の日本のウェブサイトには「もともと『アヴェ・マリア』として書かれた歌曲をこの映画のためにオーボエ用に編曲した。」と言うような記述が見られましたが、海外のウェブサイトを見てみると「もともと『Tanti Anni Prima』として映画用に作られた作品を、ピアソラのイタリア人エージェントAldo Paganiが商業的な理由から『アヴェ・マリア』として作り替えた。」と言うような全く逆の記述がありました。
資料が少なく真偽は定かではありませんが、クラシック音楽レーベルNAXOSの解説にもオリジナルは「Tanti Anni Prima」と言う記述が見られますし、アルゼンチン(公用語はスペイン語)の作曲家であるピアソラの作品にイタリア語の歌詞が付けられている点からも、やはり後で「アヴェ・マリア」として歌詞が付けられたと考えるのが自然かな?と個人的には思っています。
まぁ、そんなことはさて置き、 タンゴの革命児と称されるほどタンゴのイメージの強いピアソラが書いた、美しくも甘美な旋律をぜひご堪能下さい。
ちなみにこの映画「エンリコ4世」のために書き下ろされた作品の中には、後日この「アヴェ・マリア」同様に歌詞が付けられて大ヒットした「オブリヴィオン(忘却)」がありますが、それはまた別の機会に。
ピアソラ「アヴェ・マリア」YouTube動画
さまざまな楽器のためにアレンジされた中から歌曲版以外にもいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。
ピアソラ「アヴェ・マリア」歌曲版
ピアソラ「アヴェ・マリア」(歌詞:ラテン語)
歌唱:Milva
Milva(ミルバ)は1939年生まれ、イタリア出身の歌手です。1988年、ピアソラと共に行った日本公演は大きな反響を呼び、DVDとしても発売されています。
※アヴェ・マリアは含まれていません。
ピアソラ「アヴェ・マリア」(歌詞:イタリア語)
ソプラノ:Javiera Saavedra
ピアソラ「アヴェ・マリア」バンドネオン版
Bandini – Chiacchiaretta Duo
ピアソラ「アヴェ・マリア」チェロ版
チェロ:ステファン・ハウザー
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「ピアソラのアヴェ・マリア」いかがでしたでしょうか?
タンゴのイメージの強いピアソラですが、甘美で美しいこの作品の旋律を聴くと、ピアソラがいかに優れたメロディーメーカーであったかがうかがえます。
「三大アヴェ・マリア」と呼ばれるシューベルト、グノー、カッチーニの作品にも引けを取らない素晴らしい作品だと思いませんか?
それらの作品ともぜひ聴き比べてお楽しみいただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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