ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」【解説とyoutube動画】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
独奏ピアノの奏でる静かで穏やかな美しい旋律に思わず息を呑みます。
まずは第2楽章をダイジェストで聴いてみましょう。
キリル・ペトレンコ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:ダニエル・バレンボイム
キリル・ペトレンコさんは1972年生まれ、ロシア出身の指揮者です。
サイモン・ラトルさんの後を受け2019年からベルリン・フィルの芸術監督に就任しています。
ダニエル・バレンボイムさんは1942年生まれ、アルゼンチン出身のピアニストで指揮者です。
ベルリン・フィルからは名誉指揮者の称号を贈られています。
作曲の背景
ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37はドイツの作曲家、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が作曲したピアノ協奏曲です。
この作品の最初のスケッチは1796年に開始されたとされ、1803年に初演されています。
初演の際はベートーヴェン自身がピアノ独奏を行っていますが、その際の独奏パートには意味不明の記号が書かれているだけで白紙同然であったと譜めくりを務めた同時代の音楽家ザイフリートが書き残しています。
ベートーヴェンは生涯に5曲のピアノ協奏曲を遺していますが(未完のものを除く)、その中では唯一の短調で書かれた作品です。
20代後半頃より持病の難聴が悪化していくベートーヴェンはこの作品の初演の前年にあたる1802年、ハイリゲンシュタットの遺書として有名な手紙を甥のカールと弟ヨハンに宛てて遺しています。
その中でベートーヴェンは耳が聴こえないことの苦しみ、悲しみ、そしてその為に人々から遠ざかって行ってしまう孤独感、周囲の人たちの誤解と偏見、それらすべてのことからくる絶望感を赤裸々に訴えています。
自ら命を絶つことも考えたベートーヴェンを引き留めたものは芸術であり、その使命を果たすまでは自ら世を捨てることがあってはならないとその手紙の中で強い意志をしたためています。
そんな芸術に対する強い意志と信念を示した後に完成されたこのピアノ協奏曲第3番は、翌1804年の交響曲第3番「英雄」を皮切りとしたフランスの作家、ロマン・ロランをして傑作の森と言わしめたベートーヴェンの代表作を生み出す充実した創作時期につながる転換点になる作品でもあります。
ピアノ協奏曲でありながら交響曲のような充実したオーケストラパートを持つスケールの大きな作品です。
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」解説
第1楽章 Allegro con crio
かなり長めのオーケストラによる提示部に続き独奏ピアノが堂々と登場します。
その調べは時には勇壮且つ華やかで、時には憂いを帯びた表情を見せ、変化に富んで大変魅力的です。
後半に置かれたカデンツァは大変壮麗で聴く人の心を惹きつけます。
第2楽章 Largo(19:30)
音楽の中に静寂を感じることのできる美しい楽章です。
第1楽章とは対照的な穏やかで繊細な調べに思わず息を呑みます。
第3楽章 Molto Allegro(29:20)
オーケストラと独奏ピアノが掛け合いながら弾むような旋律を奏でます。
最後は華麗な技巧を駆使しながら輝かしく終曲します。
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」youtube動画
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番
ミッコ・フランク指揮 フランス放送フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:アリス=紗良・オット
アリス=紗良・オットさんは1988年生まれ、ドイツ・ミュンヘン出身のピアノ奏者です。
ドイツ人の父親と日本人の母親を持つ彼女は数々の国際コンクールでの優勝を経て、世界の主要なオーケストラとも共演を重ねる人気のピアニストです。
ステージでは裸足のアリス=紗良・オットさんがアンコールに応えて演奏されたのは「エリーゼのために」。
会場からは少し笑い声が漏れますが、西欧でもこの作品は子供の弾く小品と言ったイメージが強いのでしょうか?
ベートーヴェン エリーゼのために(42:50)
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