モーツァルト「フルート協奏曲第2番」【解説と名盤】
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!
小鳥のさえずりのように軽やかなフルートのメロディが、まるで五線譜の上を天使が駆け回るように躍動します。
まずは第3楽章をダイジェストで聴いてみましょう。
マリス・ヤンソンス指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フルート:エマニュエル・パユ
エマニュエル・パユは1970年生まれ、スイス出身のフルート奏者です。
神戸国際フルートコンクール、ジュネーヴ国際音楽コンクールなどでの1位受賞を経て、現在はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者として活躍されているフルート奏者です。
作曲の背景
フルート協奏曲第2番ニ長調K.314はオーストリアの作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1778年に作曲したフルート協奏曲です。
この曲はオランダ人のフルート愛好家、フェルディナント・ド・ジャンからの「3曲のフルート協奏曲と2~3曲の四重奏曲」という依頼に応えて作曲されたものです。
しかし結局出来上がったのは2曲のフルート協奏曲と3曲の四重奏曲でした。しかも第2番と呼ばれる本作品は、前年に作曲されたオーボエ協奏曲からの書き換えだったために、報酬は当初の約束より大幅に減らされることになりました。
フルート協奏曲第1番はオリジナルで、第2番はオーボエ協奏曲の編曲ものと言うことになりますが、演奏される機会はこの第2番の方が多いのではないでしょうか?
※遺されたモーツァルトの書簡の内容等から通説となっていますが、異説もあります。その辺の経緯についてはオーボエ協奏曲の記事に詳しく書いていますので、そちらも是非ご覧ください。
モーツァルト「フルート協奏曲第2番」の解説
第1楽章 Allegro aperto
颯爽としたオーケストラのテーマに続き、独奏フルートが音階を華やかに駆け上がり輝かしく美しい音を吹き伸ばします。
それはまるで風にのって飛んでいくかのように軽やかで伸びやかです。
独奏フルートは時には音階を駆け巡り、時には跳躍し、自由闊達そのものです。
終始、晴れやかで輝かしい第1楽章は独奏フルートのカデンツァを挟んで終わります。
第2楽章 Adagio non troppo
ゆったりと雲が流れるようなおおらかなオーケストラの旋律、独奏フルートの穏やかなメロディは春風に乗って聴こえてくる歌声かのようです。
第3楽章 Allegretto
軽快に飛び跳ねるように躍動するフルート、自然と体が動き出すような舞踏的な楽章です。
3つの楽章とも終盤にカデンツァが置かれているので、いろんな演奏を聴いて比べるのも楽しいかも知れませんね?
※カデンツァはオーケストラ伴奏を伴わず、独奏楽器により即興的に演奏される部分ですが、即興的な要素は時代とともに薄れ、作曲者自身が綿密に楽譜に記すケースもあり、ジャズのアドリブなどとはニュアンスが異なります。
本作品の演奏では過去に著名な作曲家もしくは演奏者によって作曲されたものか、演奏者自作のカデンツァが演奏されることが一般的です。
モーツァルト「フルート協奏曲第2番」youtube動画
今回ご紹介する動画は2014年に開催されたジュネーヴ国際コンクールの本選の様子が収録されたものです。
フルート部門の結果は1位なしの2位を2名の方が受賞されたので、お2人の演奏を掲載してみました。
※クラシック音楽のコンクールでは1位なしと言うのはしばしば見られる光景です。
ソリストの違いでどんな風に曲の雰囲気が変わるのか比べてみるのも面白いかも知れませんね?
動画は本選の演奏全てを収録しているため、モーツァルトの協奏曲の後にアンドレ・ジョリヴェの協奏曲が収録されています。
近代の作品でクラシック初心者の方には少し難解に感じられるかもしれません。
ちょっと違った刺激を味わいたい方はチャレンジしてみても良いかも?
モーツァルト:フルート協奏曲第2番ニ長調K.314
第1楽章(00:00) 第2楽章(07:20) 第3楽章(13:50)
アンドレ・ジョリヴェ:フルートと弦楽合奏のための協奏曲(19:40)
ニコラス・シャルヴァン指揮 ジュネーヴ室内管弦楽団
フルート:アドリアナ・フェレイラ
第1楽章(00:00) 第2楽章(07:25) 第3楽章(14:00)
ジョリヴェ(20:20)
ニコラス・シャルヴァン指揮 ジュネーヴ室内管弦楽団
フルート:キム・ユビン
モーツァルト「フルート協奏曲第2番」の名盤
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モーツァルト
フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K.299
フルート協奏曲第1番ト長調 K.313
フルート協奏曲第2番ニ長調 K.314
クラウディオ・アバド指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フルート:エマニュエル・パユ
ハープ:マリー=ピエール・ラングラメ
録音時期:1996年9月
録音場所:ベルリン、フィルハーモニー
モーツァルトが遺したフルートのための3つの協奏曲をパユの美しくしなやかな演奏で楽しむことの出来る1枚、パユが26歳の時の録音です。
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