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グリーグ「ピアノ協奏曲」【解説と名盤】

2020年9月13日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

ティンパニのトレモロに導かれ登場するピアノは大変劇的で、テレビ番組のBGMとしてもよく使われているので、曲名は知らずとも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

まずは第1楽章、冒頭の部分をダイジェストで聴いてみましょう。

サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:エフゲニー・キーシン

作曲の背景

ピアノ協奏曲イ短調 作品16はノルウェーの作曲家、エドヴァルド・グリーグ(1843-1907)が1868年に作曲したピアノ協奏曲です。

1863年から3年間に渡ってデンマークの作曲家、ニルス・ゲーゼ(1817-1890)のもとで学んだグリーグは1967年には従妹でソプラノ歌手のニーナ・ハーゲルップ(1845-1935)と結婚します。

同年、クリスチャニア(現在のオスロ)のフィルハーモニー協会の指揮者に就任したグリーグはその翌年の1868年に代表作となるこの作品を書き上げます。

グリーグが25歳の時の作品ですが、その後最晩年に至るまで数百回にも及ぶ改訂が施されました。

作品はノルウェーのピアニスト、エドムント・ノイペルト(1842-1888)に捧げられていて、このノイペルトは完成の翌年1869年に行われた初演も務めています。

1870年、「ピアノの魔術師」の異名を持つフランツ・リスト(1811-1886)のもとを訪ねたグリーグは携えてきたピアノ協奏曲の楽譜をリストに見てもらう機会を得ます。

グリーグの前でこの難曲を初見で見事に弾きこなしてみせたリストは「これこそ、真の北欧だ!」と絶賛したそうです。

グリーグ「ピアノ協奏曲」の解説

第1楽章:Allegro molto moderato

ティンパニのトレモロに続く冒頭の劇的なピアノ独奏はとても印象的で心に残ります。

その後木管楽器によって奏でられる第1主題はやがて独奏ピアノへと受け継がれていきますが、どこか郷愁を誘う寂寥とした雰囲気が印象的です。

中間部で見せるドラマティックな表情と、どこかもの悲しくもある第1主題のコントラストに心が惹かれます。

終盤に配置された長いカデンツァ(オーケストラを伴わない独奏箇所)では、静かな導入からドラマティックな展開を見せた後、静かにオーケストラへと旋律を引き継ぎ、再び冒頭の旋律を奏でた後、第1楽章を終えます。

第2楽章:Adagio

弦楽器の奏でる美しく情緒あふれる旋律が豊かに響きます。

独奏ピアノはその旋律を織りなすように繊細に美しい調べを奏でます。

その旋律は「明るさ」「暗さ」と言った尺度では測れない独特の情緒を含んでいて魅力的です。

もう少しその余韻に浸っていたい雰囲気の中、休みを入れずに第3楽章へと続きます。

第3楽章:Allegro moderato molto e marcato

木管楽器の奏でる短い導入に続き、独奏ピアノがドラマティックに鍵盤の上を駆け巡ります。

軽快で快活な音楽が展開された後、再び劇的な雰囲気が支配しますが、音楽がひとしきり高揚すると今度はフルートが優しく柔らかい旋律を奏で始めます。

これをきっかけに独奏ピアノも静けさを取り戻し、美しい調べを奏で始めます。

最後は再び軽快な旋律が現れた後、ドラマティックに高揚し壮大なクライマックスを迎えます。

グリーグ「ピアノ協奏曲」のyoutube動画

グリーグピアノ協奏曲イ短調 作品16
第1楽章(00:00) 第2楽章(14:20) 第3楽章(21:37)

アンコール
シグヴァルディ・カルダロウンスアヴェ・マリア(33:44)

ヴラディーミル・アシュケナージ指揮
アイスランド交響楽団
ピアノ:ヴィキングルオラフソン 

ヴィキングルオラフソンは1984年、アイスランド生まれのピアニストです。

2008年にジュリアード音楽院を卒業、2012年には母国アイスランドでレイキャヴィク・ミッドサマー音楽祭を創設して芸術監督を務め、2015年からはスウェーデンのヴィンターフェスト音楽祭の芸術監督に就任するなど幅広い活躍を見せています。

今回ご紹介する動画では珍しく第1楽章が終わった時点でスタンディングオベーションが起こっています。

アンコールに応えたヴィキングルオラフソンはアイスランドの作曲家、シグヴァルディ・カルダロウンス(Sigvaldi Kaldalóns)アヴェ・マリアを演奏しています。

とても繊細で美しい曲ですので、こちらもぜひ聴いてみてください。

グリーグ「ピアノ協奏曲」の名盤

管理人おすすめの名盤はこちら!

シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16

クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン

録音:1981年9月、1982年1月 ベルリン

クリスティアン・ツィマーマンは1956年生まれ、ポーランド出身のピアニストです。

1973年、ベートーヴェン国際音楽コンクール優勝、1975年、第9回ショパン国際ピアノコンクールで当時最年少の18歳で優勝するなど輝かしい経歴を持つ世界的なピアニストです。

今回ご紹介する録音は25歳の若きツィマーマンが74歳の晩年のカラヤンと共演した際の1枚です。

劇的な部分では硬質で輪郭のはっきりした音を聴かせ、抒情的な部分ではしなやかで美しいタッチをみせる若きツィマーマンの演奏が印象的です。

カラヤン&ベルリン・フィルならではの音響効果抜群のドラマティックな響きも曲想とマッチしていて、カップリングのシューマンも魅力的なアルバムとなっています。

いかがでしたか?こちらの作品もぜひ聴いてみてください!

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参考資料:「ピアノ協奏曲 (グリーグ)」『フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)』2020年1月26日 (日) 12:58 URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/ピアノ協奏曲_(グリーグ)
「エドヴァルド・グリーグ」『フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)』2020年3月24日 (火) 03:33 URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/エドヴァルド・グリーグ
「グリーグ :ピアノ協奏曲 Op.16 イ短調」『ピティナ・ピアノ曲辞典』URL:https://enc.piano.or.jp/musics/26
『グリーグの「ピアノ協奏曲」~これこそ真の北欧だ~』『ららら♪クラシック』URL:https://www.nhk.or.jp/lalala/archive170707.html