ララ「グラナダ」解説とおすすめの名盤
目次
ララ「グラナダ」解説
「グラナダ」はメキシコの作曲家、アグスティン・ララ(1897-1970)が1932年、35歳の時に作曲した歌曲です。
ジャンルとしてはクラシックとは言えないかも知れませんが、テノールのレパートリーとしてよく取り上げられる作品です。
三大テノールとして有名なスペイン出身のホセ・カレーラス(1946-)が積極的にレパートリーとして取り上げたことでも有名で、プラシド・ドミンゴ(1941-)はじめ有名なオペラ歌手が歌唱しています。
タイトルの「グラナダ」とはスペイン南部の都市の名前ですが、この街はかつてイベリア半島に存在した最後のイスラム王朝「グラナダ王国」の首都でもあります。
また「グラナダ」とはスペイン語でザクロの意味で、グラナダの街のシンボルとなっています。
この街はその王朝時代に建築された「アルハンブラ宮殿」があることでも有名です。
ララが生まれたメキシコはコンキスタドール(Conquistador)と呼ばれるスペインの征服者が現れて以来、300年に及ぶスペインの支配を受けますが、19世紀に入りようやく独立を勝ち取ります。
メキシコの人たちにとってのスペインは侵略者であり、かつ文化や言語のルーツという側面が入り混じった、複雑な存在です。
そんなスペイン文化の影響が強く残ったメキシコで生まれ育ったララですが、一度もグラナダを訪れることなくこの作品を作曲したそうです。
オリジナルの歌詞はララ自身がスペイン語で作詞したもので、夢にまで憧れたグラナダを描いた曲想にぴったりの情熱的な歌詞になっています。
歌詞の中で「グラナダ」は、女性として擬人化して表現され、愛する女性に熱く語り掛ける男たちの歌のようにも感じます。

3分ほどの短い曲なので、いろいろと聴き比べてお楽しみください!
ララ「グラナダ」YouTube動画
テノール:プラシド・ドミンゴ
ズービン・メータ指揮:ロサンジェルス・フィルハーモニック
世界3大テノール’94 夢の競演より
この動画は1994年ワールド杯サッカー決勝前夜祭としてドジャースの本拠地「ドジャー・スタジアム」で開催されたライブの模様で、DVDとして発売されています。
ララ「グラナダ」おすすめの名盤
Be My Love-a Tribute to Mario Lanza:ジョゼフ・カレヤ(テノール)
収録曲
ララ:グラナダ
ビゼー:「カルメン」より「花の歌」
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「母さん、あの酒は強いね」
ジョルダーノ:「フェドラ」より「愛さずにはいられないこの想い」
レオンカヴァッロ:「道化師」より「衣装をつけろ」
プッチーニ:「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」
他、全18曲
テノール:ジョゼフ・カレヤ
スティーヴン・メルクリオ指揮
BBCコンサート・オーケストラ
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ジョゼフ・カレヤは1978年生まれ、マルタ島出身のテノール歌手。19歳のデビュー以来、世界の一流オペラハウスで次々とデビューを飾り、世界の主要な歌劇場で活躍するテノール歌手です。
このアルバムは1959年に38歳の若さで夭折した、アメリカのテノール歌手マリオ・ランツァに捧げるトリビュート・アルバムとなっています。
※動画の歌唱はアルバムに収録されているものとは異なります。
Sol y Vida(ソル・イ・ビダ):エリーナ・ガランチャ(メゾ・ソプラノ)
収録曲
ララ:グラナダ
デ・クルティス:帰れソレントへ
デ・クルティス:忘れな草
ピアソラ:私はマリア
他、全17曲
メゾ・ソプラノ:エリーナ・ガランチャ
カレル・マーク・チチョン指揮
グラン・カナリア・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2018年
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「グラナダ」の歌詞は憧れの土地を女性として擬人化したような内容で、男声による歌唱が多い作品ですが、女声による歌唱もまた魅力的です。
おすすめするこのアルバムは、スペイン、イタリア、ラテン・アメリカと南国をテーマに、クラシック・レパートリー以外の曲を集めて収録したアルバムです。
アレンジはこのアルバムでも指揮を務めている彼女の夫、カレル・マーク・チチョンです。
クラシック初心者にも気軽に楽しめる作品をガランチャの素晴らしい歌声で楽しめるおすすめのアルバムです。
次の動画は2020年10月に行われた、ドイツで最も権威のあるクラシック音楽賞「オーパス・クラシック」の受賞セレモニーでの歌唱です。
曲想に合った情熱の真っ赤な衣装に身を包んだガランチャの素晴らしい歌唱をぜひお楽しみください。
指揮はカリーナ・カネラキス、オケはセレモニー会場となったベルリンのコンツェルトハウスを本拠地とするベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団です。
※動画の歌唱はアルバムに収録されているものとは異なります。
3大テノール世紀の競演 パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス
【収録曲】
・帰れ、ソレントヘ(デ・クルティス)
・グラナダ(ララ)
・誰も寝てはならぬ(プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』より)
・他9曲
・フィナーレ・メドレー1(マリア/トゥナイト/太陽の土地/シェリト・リンド)
・フィナーレ・メドレー2(メモリー/黒い瞳/カミニート/ばら色の人生)
・フィナーレ・メドレー3(マティナータ/ウィーンわが夢の街/アマポーラ/オ・ソレ・ミオ)
・アンコール1(オ・ソレ・ミオ)
・アンコール2(誰も寝てはならぬ)
ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)
プラシド・ドミンゴ(テノール)
ホセ・カレーラス(テノール)
ズービン・メータ指揮
フィレンツェ五月祭管弦楽団
ローマ国立歌劇場管弦楽団
録音:1990年7月7日、ローマ、カラカラ浴場(ライブ)
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こちらは1990年代に一世を風靡した世界を代表する3人のテノール歌手によるコンサート「3大テノール世紀の競演」です。
「グラナダ」はホセ・カレーラスが歌唱しています。
この「3大テノール」のタイトルで数多くの作品がリリースされていますが、今回ご紹介するのはこの3人で行う記念すべき最初の公演となった1990年にイタリアで開催されたサッカーワールドカップ前夜祭のライブ収録盤です。
この時のコンサートは一晩で8億人もの人が視聴し、このCDは1600万枚と言う信じられないセールスを記録しました。
これをきっかけにララの「グラナダ」はこの「3大テノール」の公演で度々取り上げられることになり、一躍メジャーな作品になったと言っても過言ではありません。
「グラナダ」がこの公演で好んで取り上げられるようになったのは、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスの2人がグラナダのあるスペイン生まれであることとも深い関係があるように思います。
しかもプラシド・ドミンゴは幼い時にララの母国、メキシコに移住し音楽を学んでいるのです。
そんな「3大テノール」による豊かな歌声を存分に楽しめるおすすめのアルバムです。
サッカーワールドカップ1990前夜祭より
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※下記の検索結果は本記事の投稿日現在、「Amazon Music Unlimited」で「Lara Granada」「ララ グラナダ」などのキーワードで検索した例です。すべての録音を表示しているわけではありませんのでご了承ください。
【テノール】
「ホセ・カレーラス」「ルチアーノ・パヴァロッティ」「プラシド・ドミンゴ」「フリッツ・ヴンダーリヒ」「フアン・ディエゴ・フローレス」「マリオ・デル・モナコ」「ラッセル・ワトソン」「ジョセフ・カレヤ」「錦織健」
【ソプラノ】【メゾソプラノ】
「キャサリン・ジェンキンス」「エリーナ・ガランチャ」「レナータ・テバルディ」
「三大テノール」それぞれの歌唱を聴き比べることができます。
1966年に35歳の若さで階段からの転落事故で急逝したフリッツ・ヴンダーリヒの歌唱も凄いインパクトがりおすすめです。
パヴァロッティをして「歴史上もっとも傑出したテナー」と言わしめたフリッツ・ヴンダーリヒの「グラナダ」は一聴の価値があります。
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まとめ
アグスティン・ララ作曲の「グラナダ」いかがでしたでしょうか?
三大テノールが度々コンサートで取り上げることで一躍有名になっこの作品ですが、この三大テノールの公演は1996年には日本でも開催されることになりました。
そのチケットはまさにプラチナチケットで、S席7万円、A席6万円と言う高額にもかかわらず、6万枚ものチケットが瞬く間に売り切れたそうです。
この公演でも「グラナダ」はホセ・カレーラスが歌唱し、東京の国立霞ヶ丘競技場を埋め尽くした観客を魅了しました。
クラシック作品ではありませんが、オペラのガラ・コンサートなどではアンコールピースとしてもよく取り上げられる作品です。
南米の作曲家らしく情熱的な雰囲気で肩の力を抜いて楽しめる作品ですので、ぜひ聴いてみて下さい。

最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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