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シューマン「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」【解説とyoutube動画】

2020年9月19日

まずはダイジェストで聴いてみよう!

幅広い音域を自在に駆け巡る4本のホルン、豊潤な音色で時には柔らかく、時には勇壮に旋律を奏でます。

まずは第3楽章の冒頭部分をダイジェストで聴いてみましょう!

サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ホルン:ラデク・バボラーク、シュテファン・ドール、ステファン・デ・レヴァル・イェジェルスキ、サラ・ウィリス

ホルンの好きな方にはたまらない豪華なソリスト陣ですね。

作曲の背景

4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュックはドイツの作曲家、ロベルト・シューマンが1849年に作曲した4本のホルンのための協奏曲です。

「コンツェルトシュテュック」は日本では「小協奏曲」「協奏的小品」などと訳されているようです。

シューマンが活躍した19世紀中頃はオーケストラで使われる管楽器に様々な改良が加えられ、その性能が飛躍的に向上した時期でもありました。

ホルンもその中のひとつでそれまで使われていたナチュラルホルンは円形に丸められた金属パイプの端を大きく広げたベルに唄口(マウスピース)を付けただけのシンプルな構造でした。

音の変化は息の圧力と唇のコントロールに委ねられ限られた種類の音しか出すことが出来ませんでした。

18世紀の中頃になってベルに挿し込んだ手で音の出口を塞ぐことで音程を変化させる奏法が開発され(ゲシュトップ奏法)ある程度の半音階も演奏することが可能になりました。

この奏法を用いても出せる音はまだ限られている上に、音の出口を塞ぐことによって音程はある程度変化させることが出来るものの音色まで変わってしまい、オープンな状態で出す音との音色に差が出る状態でした。

こうした演奏上の問題を解決したのがバルブシステムと呼ばれるシステムで、左手のキイ操作によって管の長さを切り替えることによって容易に半音階を演奏出来るようになりました。

シューマンがこの作品を書いた19世紀半ば頃は従前のナチュラルホルンもまだまだ現役として使用されていたと思いますが、この新しいバルブシステムを用いたホルンの登場がこうした幅広い音域を駆け巡る楽曲の創作に少なからず影響したのではないかと考えます。

シューマン「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」解説

第1楽章 Lebhaft

冒頭から4本のホルンが華やかなファンファーレを鳴り響かせます。

華やかで勇壮なだけではなく、ホルンの持つ柔らかい牧歌的な響きの旋律も随所に聴かれます。

音域は総じて高くホルン奏者の技量が試されます。

「Lebhaft」は「生き生きと」と言った意味です。

第2楽章 Romanze. Ziemlich langsam(07:17)

「ロマンツェ」と題された第2楽章は穏やかで息の長い旋律が印象的です。

草原の上で遠くから風に乗って美しい調べが聴こえてくるような感覚に陥ります。

その調べはとても穏やかですが少し憂いも湛えています。終盤にトランペットのファンファーレが響き、次の楽章を予兆します。

「Ziemlich langsam」は「かなりゆっくりと」と言ったニュアンスです。

第3楽章 Sehr lebhaft(11:47)

再び生き生きとした4本のホルンが五線譜の上を縦横に駆け巡ります。「Sehr lebhaft」は「とても生き生きと」と言う意味のドイツ語です。

楽譜に指示される音楽用語はイタリア語の場合が多いですが、この作品のように作曲者の母国語が用いられる場合もしばしばあります。

最後は4本のホルンの華やかなファンファーレをはさみ終結します。

シューマン「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」youtube動画

シューマン 4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック ヘ長調 作品86

リスト・ヨースト指揮 プラハ放送交響楽団
ホルン:Marc Gruber, Kateřina Javůrková, Nicolas Ramez, Félix Dervaux

ソリストの方々は2016年に開催されたミュンヘン国際音楽コンクールの入賞者の方々です。(この年は1位がなしで前の2名の方々が2位を受賞、後の2名の方々が3位を受賞されています。)

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