ヨハン・シュトラウス2世「雷鳴と稲妻」【解説とyoutube動画】
目次
作曲の背景
「雷鳴と稲妻」(独:Unter Donner und Blitz)作品324はオーストリアの作曲家でワルツ王と称されたヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)が1868年、43歳の時に作曲したポルカです。
「ポルカ」は1830年頃にチェコのボヘミア地方で興った速い2拍子が特徴の民族舞曲です。
この速くて快活な舞曲はたちまち人気を博し、当時ボヘミアを支配していたオーストリア帝国の首都ウィーンでも流行し、ワルツやマズルカと共に舞踏会でも主要な役割を果たすようになりました。
「ワルツ王」と呼ばれたヨハン・シュトラウス2世は生涯に160曲を超えるポルカを書いていますが、彼が43歳の時に書いたこの「雷鳴と稲妻」はいくつかあるポルカの種類の内、「ポルカ・シュネル」と呼ばれる速いテンポのポルカです。
※Schnell(シュネル)はドイツ語で「速い」の意味。
芸術家協会「ヘルペルス」のために作曲された作品で、「ヘルペルス」とは「宵の明星」を意味することもあってか、当初は「流星」と言うタイトルで着想されたそうです。
大太鼓のトレモロが轟く雷鳴を、シンバルの響きが稲妻を表現していて、「雷鳴と稲妻」のタイトルがぴったりの作品で、もしタイトルが「流星」のままだったら、違う曲想の作品になっていたのかも知れませんね。
親しみやすいメロディーが印象的な打楽器と共に疾風のように駆け抜けていく、短い作品です。
子供の頃に運動会で聴いた方も多いのではないでしょうか?気軽にお楽しみください。
ヨハン・シュトラウス2世「雷鳴と稲妻」解説
4小節の短い序奏に大太鼓のロールがクレッシェンドで奏され、轟く雷鳴を想わせます。
ポルカの主題はスラーで繋がれた四分音符の反復の後に、付点風の躍動するリズムが現れ、親しみやすく思わずスキップしたくなるような舞踏的な旋律です。(譜例①)
この躍動的で軽快な旋律が演奏される間にも大太鼓による雷鳴が度々轟きます。
中間部のトリオの導入では稲妻が走るようにピッコロが音階を駆け下り、流麗なトリオの旋律の間にも大太鼓の雷鳴とシンバルの稲妻が光ります。(譜例②)
トリオの後は冒頭部分に回帰し、駆け抜けるようにコーダ(終結部)へ突入し華やかに終曲します。
ヨハン・シュトラウス2世「雷鳴と稲妻」youtube動画
ヨハン・シュトラウス2世:「雷鳴と稲妻」作品324
マリス・ヤンソンス指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァルトビューネ・コンサート1994より
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まとめ
ヨハン・シュトラウス2世作曲の「雷鳴と稲妻」いかがでしたでしょうか?
スピード感とドライブ感にあふれた親しみやすくわかりやすい作品です。きっと聴かれたことのある方も多いのではないでしょうか?
ヨハン・シュトラウス2世の作品はどれも親しみやすく、心がウキウキするような楽しい作品ばかりですね。
管理人はどちらかと言うと劇的でドラマティックな大曲が好みですが、こういう短く親しみやすい作品もたまにはいいですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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