ヴィヴァルディ「四季」解説とおすすめの名盤
目次
まずはダイジェストで聴いてみよう!!
激しくかき鳴らされる弦楽器の調べ、それに続く劇的な独奏ヴァイオリンは夏の空にあらわれた雷鳴と、雹(ひょう)が穀物を打ち倒す様子を表現しています。
まずは第2番「夏」から第3楽章「夏の嵐」をダイジェストで聴いてみましょう。
ベルリン・バロック・ゾリステン
独奏ヴァイオリン:樫本大進
ベルリン・バロック・ゾリステンはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽器奏者たちを中心としたメンバーで構成されたバロック・アンサンブルです。
独奏ヴァイオリンの樫本大進さんは1996年、フリッツ・クライスラー国際コンクールで第1位、ロン=ティボー国際コンクールでは、史上最年少で第1位を獲得するなど、数々の国際コンクールで入賞、ソリストとして活動した後、2010年よりベルリン・フィルの第1コンサートマスターとして活躍されています。
作曲の背景
ヴァイオリン協奏曲集「四季」はイタリアの作曲家、アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)が作曲したヴァイオリン協奏曲集です。
この「四季」は1725年頃に出版された12曲からなるヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み(和声とインヴェンションへの試み)』作品8(伊:Il cimento dell’armonia e dell’inventione) の内、第1番から第4番までにあたりますが、ヴィヴァルディ自身がこの『和声と創意の試み』の中から4曲を「四季」として別に編纂した形跡はありません。
「四季」の各楽章にはソネットと呼ばれる14行から成るヨーロッパの伝統的な定型詩が添えられていて、各楽曲の雰囲気をあらわしています。
600を超える協奏曲を遺しているヴィヴァルディですが、ソネットを添えた作品は、この「四季」以外には見当たりません。
またソネットが誰の作であるかなど、詳しいことはわかっていませんが、ヴィヴァルディ自身の作と言う説もあるようです。
1678年、「水の都」として知られるヴェネツィアに生まれたヴィヴァルディは、幼い頃より父からヴァイオリンの手ほどきを受け、15歳で神学校に入学し、25歳で司祭となった聖職者としても知られています。
特徴的な赤毛の持ち主で「赤毛の司祭」と呼ばれたヴィヴァルディは、孤児などを養育するための慈善機関として1346年に設立された、ピエタ慈善院の付属音楽院の教師の仕事にも情熱を傾けます。
このピエタ慈善院付属音楽院には当時、慈善院で育った女子たちによる合奏団、合唱団がありました。
ピエタ慈善院で育った女子たちは、音楽的才能が認められると、幼い頃から集中的に訓練され、高い演奏技術を持っていたそうです。
音楽教師として彼女たちの才能を存分に発揮させたヴィヴァルディにより、その名声はますます高まり、そのコンサートの収益はピエタ慈善院の運営にも大きく寄与したようです。
ヴィヴァルディは司祭となった1703年から1740年までに断続的にヴァイオリン教師を務め、優秀な奏者を輩出すると共に、作曲家としてピエタ慈善院付属音楽院の合奏団のために、多くの協奏曲を作曲しています。
ヴィヴァルディの協奏曲の様式は急・緩・急の3楽章構成で、リトルネッロと呼ばれる主題を何度も繰り返しがら、その間に独奏楽器が技巧的なエピソードを演奏する『リトルネッロ形式』を用いた形式が大きな特徴で、この「四季」でもその形式を用いています。
同時代に活躍したドイツのヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750)に比べ、瑞々しく生気に満ちた親しみやすい曲想が特徴です。聴き比べてみるのも楽しいのではないでしょうか。
ヴィヴァルディ「四季」の解説
膨大な作品を遺しているヴィヴァルディの作品には、後世の学者たちによって整理番号が付与されています。
RV番号(リオム番号)はデンマークの音楽学者ペーター・リオムによって付与されたもので、ヴィヴァルディの作品の整理番号としては最もポピュラーなものです。
作品をネットで検索する際などに活用すると良いでしょう。
各楽章のソネットの要約はウィキペディアからの引用です。
「四季 (ヴィヴァルディ)」『フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)』
協奏曲第1番 ホ長調 RV269「春」(La Primavera)
第1楽章:Allegro
春がやってきた、小鳥は喜びさえずりながら祝っている。小川のせせらぎ、風が優しく撫でる。春を告げる雷が轟音を立て黒い雲が空を覆う、そして嵐は去り小鳥は素晴らしい声で歌う。
春の訪れを告げるような喜びに満ち、生き生きとしたリトルネッロの主題は、クラシックファンならずとも聞き覚えのある有名な旋律です。
楽譜には「Giunt’è la Primavera(春がやってきた)」とこの部分に対応するソネットの一節が記載されています。(譜例①)
このリトルネッロの主題が反復される間に、独奏ヴァイオリンが小鳥のさえずりや、春の訪れを告げる雷を巧みに表現します。
第2楽章:Largo
牧草地に花は咲き乱れ、空に伸びた枝の茂った葉はガサガサ音を立てる。羊飼は眠り、忠実な猟犬はそばにいる。
独奏ヴァイオリンが気持ち良さそうに眠り込む羊飼いを表現しています。
その裏で付点のリズムで揺れるヴァイオリンは「mormorio di fronde e piante(木の葉のささやき)」を、ヴィオラが奏でる低音が「il cane che grida(吠える犬)」を表現しています。(譜例②)
ここでは激しく吠えると言うよりは、羊飼いの横で番をしながら時折、低い鳴き声で唸っていると言う雰囲気でしょうか。
第3楽章:Allegro
陽気なバグパイプにニンフと羊飼いが明るい春の空の下で踊る。
どこか第1楽章のリトルネッロ主題を想起させるような旋律が優雅に奏でられます。
ニンフとはギリシア神話などに登場する森に宿る精霊のことです。
協奏曲第2番 ト短調 RV315「夏」(L’Estate)
第1楽章:Allegro non molto
かんかんと照りつける太陽の絶え間ない暑さで人と羊の群れはぐったりしている。松の木も燃えそうに熱い。カッコウの声が聞こえる。そしてキジバトのさえずりが聞こえる。北風がそよ風を突然脇へ追い払う。やって来る嵐が怖くておののく。
気怠い夏の暑さを感じるような主題に挟まれて、独奏ヴァイオリンが鳥のさえずりを模倣します。(譜例③)
「Il Cardellino」はヨーロッパでは一般的なスズメの仲間「ごしきひわ」のことで、ヴィヴァルディはフルート協奏曲 ニ長調 作品10-3 RV428『ごしきひわ』のモチーフとしても使っています。
楽曲はやがてやってくる夏の嵐への不安を感じたまま終曲します。
第2楽章:Adagio
稲妻と雷鳴の轟きで眠るどころではない、ブヨやハエが周りにすさまじくブンブン音を立てる。
ヴィヴァルディが表現するのは小鳥の鳴き声など美しい響きだけではありません。
ヴァイオリンが表現するブヨやハエの不快な羽音の響き、徐々に近づいてくる雷鳴の響きなどが、短い楽章の中に凝縮されています。
第3楽章:Presto(夏の嵐)
嗚呼、彼の心配は現実となってしまった。上空の雷鳴と雹(ひょう)が誇らしげに伸びている穀物を打ち倒した。
第1番「春」の第1楽章と並んで大変有名な楽章です。
激しくかき鳴らされる弦楽器の響きが、とうとうやって来た夏の嵐を見事に表現しています。
間に挿入される独奏ヴァイオリンの名人芸に、当時の聴衆たちが拍手喝采を送る様子が目に浮かぶようです。(譜例④)
協奏曲第3番ヘ長調 RV293「秋」(L’Autunno)
第1楽章:Allegro(小作農のダンスと歌)
小作農たちが収穫が無事に終わり大騒ぎ。ブドウ酒が惜しげなく注がれる。彼らは、ほっとして眠りに落ちる。
曲想は一転して、穏やかで陽気な小作農たちがダンスに興じる光景を再現します。
独奏ヴァイオリンのソロは興に乗った農民が、ダンスの輪の中心で踊っているようにも感じられます。楽譜に記載されている「L’ubriaco」は「酔っぱらい」の意味です。
五線譜の上をせわしく駆け上がったり、転がり落ちたりする様子は、千鳥足で踊る農民のようで愉快です。(譜例⑥)
楽曲は踊りつかれたかのように急に静かになり、眠りに落ちた後、冒頭主題を繰り返して終曲します。
第2楽章:Adagio molto(よっぱらいの居眠り)
大騒ぎは次第に弱まり、酒はすべての者を無意識のうちに眠りに誘う。
鍵盤楽器(チェンバロ)の奏でるアルペジオ(分散和音)に乗って、弦楽器が静かに眠りに誘います。
楽譜には「Ubriachi dormienti」つまり「よっぱらいの居眠り」と記されています。
第3楽章:Allegro(狩り)
夜明けに、狩猟者が狩猟の準備の為にホルンを携え、犬を従える。獲物は彼らが追跡している間逃げる。やがて傷つき獲物は犬と奮闘して息絶える。
舞曲的にも感じる弾むような主題を縫って、独奏ヴァイオリンが逃げ回る獲物を表現します。
楽曲の中には獲物めがけて発射される猟銃の音も聴こえます。(譜例⑦)
最後は独奏ヴァイオリンが下降音型を繰り返し、息絶える獲物を表現し、終曲します。
協奏曲第4番 ヘ短調 RV297「冬」(L’Inverno)
第1楽章:Allegro non molto
寒さの中で身震いしている。足の冷たさを振り解くために歩き回る。辛さから歯が鳴る。
この「冬」の第1楽章も大変有名で、よく切り抜きで使用されているケースがあるので聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンと重ねられていく八分音符の響きが冷たい雪の中で凍える人たちを表現しています。
それに続く独奏ヴァイオリンが激しく吹きすさぶ寒風を表現します。(譜例⑧)
その後に続く、聞き覚えのある旋律は小刻みに足踏みをしながら駆け足で進む人たちを表現しています。(譜例⑨)
独奏ヴァイオリンが重音で、寒さの余り歯がかみ合わずガチガチと身震いしている姿を表現するなど、実に見事な描写が続きます。(譜例⑩)
第2楽章:Largo
外は大雨が降っている、中の暖炉で満足そうに休息。ゆっくりしたテンポで平和な時間が流れる。
緊張感あふれる第1楽章とは打って変わって、暖かい暖炉の前で静かで平和な時間が流れます。
弦楽器のピチカート(弦を指ではじく奏法)に乗って奏でられるこの旋律もとても有名で、曲名は知らずとも聞かれたことがある方も多いと思います。
第3楽章:Allegro
私たちはゆっくりと用心深く、つまづいて倒れないようにして氷の上を歩く。しかし突然、滑って氷に叩きつけられた。氷が裂けて割れ、頑丈なドアから出ると外はシロッコと北風がビュービューと吹いていく。そんな冬であるが、もうすぐ楽しい春がやってくる。
冒頭の独奏ヴァイオリンは氷の上を滑らないようにゆっくりと進む姿を表現していますが、今にもつるりと滑りそうで聴いている方が緊張します。
音量を増し、急速に下降音型を繰り返す箇所がつるりと滑って転んでしまうシーンです。(譜例⑪)
再び慎重に氷の上を進みだしますが、独奏ヴァイオリンの歩みは徐々に速くなり、ついには強い駆け足に・・・と思った瞬間、氷が割れ大きな穴が開いてしまいます。(譜例⑫)
穏やかな旋律が奏でられた後、独奏ヴァイオリンと弦楽合奏が激しく吹きすさぶシロッコと北風を表現し、終曲します。
※シロッコはアフリカから地中海を越えてイタリアに吹く南風
ヴィヴァルディ「四季」YouTube動画
ヴィヴァルディ:「四季」
第1番 「春」:第1楽章(00:04)第2楽章(03:31)第3楽章(06:02)
第2番 「夏」:第1楽章(10:22)第2楽章(15:41)第3楽章(17:54)
第3番 「秋」:第1楽章(21:01)第2楽章(26:10)第3楽章(28:41)
第4番 「冬」:第1楽章(32:05)第2楽章(35:21)第3楽章(37:00)
アムステルダム・シンフォニエッタ
独奏ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン
『国際室内楽フェスティバル2014inユトレヒト』より
ジャニーヌ・ヤンセンは1978年生まれ、オランダ出身のヴァイオリニストです。現在は世界の主要オーケストラと共演を重ねる人気のヴァイオリニストとして活躍されています。
ソロ活動の他、室内楽にも積極的に取り組んでいるジャニーヌ・ヤンセンは、2003年にオランダのユトレヒトに『国際室内楽フェスティバル』を創設し、音楽監督を務めています。
今回、ご紹介した動画は2014年にユトレヒトに新しくオープンしたコンサートホール『チボリフレデンブルグ』のオープニングコンサートとして開催された『国際室内楽フェスティバル』でのライブ映像です。
そのヤンセンの録音は『おすすめの名盤』のコーナーでもご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。
piccoloのツボ!ここを聴いて!
このコーナーでは今回ご紹介した作品の中から「是非ここを聴いて欲しい!」と言う管理人piccoloの独断と偏見によるツボをご紹介しています。
「全曲聴くのは長すぎて・・・」と感じられるクラシック初心者の方はぜひここだけでも聴いてみて下さい。
今回のpiccoloのツボは「四季」の中でも最も有名であろう第1番「春」の第1楽章をピックアップしたいと思います。
今回の楽曲解説では所々で楽譜に書き込まれたソネットの一節をご紹介しながら解説させていただきましたが、このコーナーでは「春」の第1楽章をクローズアップして、実際の譜例とソネットの一節を対比してみたいと思います。
「楽譜など読めない!」そんな方も難しく考える必要はまったくありません。楽譜と思わずに単なるグラフィック、図形と思って、音符の並んでいる向きと密度に注目しながら聴いていただければそれでOKです。
『春がやってきた(Giunt’è la Primavera)』(譜例Ⓐ)
リトルネッロの主題です。この後のエピソードを挿みながら調を変え、度々登場します。
『小鳥たちの歌(Canto de gl’uccelli)』(譜例Ⓑ)
「小鳥たちが陽気な歌で春にあいさつをする」と言うソネットに対応していて、独奏ヴァイオリンと2台のヴァイオリンが互いに応答するように小鳥のさえずりを描写します。
3羽の小鳥たちの美しい鳴き声に耳を澄ませてみて下さいね。
『西風の息吹に泉はあふれ流れる(E i fonti allo Spirar de’zeffiretti~)』(譜例©)
「西風の息吹に泉は優しくささやきながらあふれ流れでる」というソネットに対応しています。
ヴァイオリンが二度の音程をスラーで行き来する動きが、あふれ出る泉の音に聞こえませんか?
『稲妻と雷鳴が春の訪れを告げに来る(E Lampi, e tuoni ad annunziarla eletti)』(譜例Ⓓ)
「黒いマントで空を覆いつつ、稲妻と雷鳴が春の訪れを告げにやって来る」というソネットに対応しています。
独奏ヴァイオリンの前には空を覆う黒い雲をトッティ(総奏)で描写する場面があります。
『嵐が静まると小鳥たちは再び魅惑的な歌を奏で始める(Indi tacendo questi, gl’Augelletti~)』譜例Ⓔ
独奏ヴァイオリンに導かれるように2台のヴァイオリンが、最初のエピソードのように順を追って小鳥の鳴き声の模倣をします。
それはまるで雨上がりの森の情景そのものです。
ここにご紹介したエピソードの間に何度も姿を現す『春がやってきた』の主題が重要な役割を果たしています。
ヴィヴァルディの描いた美しい春の情景に、しばし耳を傾けてみませんか?
ここでは「春」の第1楽章をピックアップしてご紹介させていただきましたが、他の楽曲に含まれるエピソードもソネットを読みながら耳を澄ませて聴いてみると、きっと新しい発見がきっとあると思いますよ。
オランダバッハ協会
独奏ヴァイオリン:佐藤俊介
ヴィヴァルディ「四季」おすすめの名盤
管理人おすすめの名盤はこちら!
フェリックス・アーヨ:イ・ムジチ合奏団
【収録曲】
ヴィヴァルディ
協奏曲集『四季』 op.8/1-4
ヴァイオリン協奏曲ホ長調 RV.271『恋人』
イ・ムジチ合奏団
独奏ヴァイオリン:フェリックス・アーヨ
録音:1959年(四季)1957-58年(恋人)
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イ・ムジチ合奏団はローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミア出身の音楽家12名によって1951年に結成された室内合奏団です。
翌1952年にデビューしたイ・ムジチ合奏団は2022年に創立70周年を記念して、このヴィヴァルディの「四季」の通算9回目となる録音を行っていますが、ここでご紹介するのは1959年に録音された2回目のアルバムです。
このイ・ムジチの「四季」はバロック音楽ブームの火付け役といっても、クラシック音楽レコード史上最も有名なアルバムといっても過言ではない、この作品を一躍有名にしたアルバムです。
独奏はこのアンサンブルが創設された時の中心メンバーで、初代コンサートマスターでもあったフェリックス・アーヨが務めています。
流麗で美しいレガートが印象的な演奏は、その後、巻き起こった古楽アンサンブルによる演奏とはかなり対照的で、日頃、ピリオド奏法による演奏しか聴かないという古楽派の方には違和感を感じるかも知れませんが、むしろ柔らかく流麗な演奏が斬新に感じるかも知れません。
フェリックス・アーヨ&イ・ムジチ合奏団のコンビでの録音は1955年にモノラル録音で行われた第1回録音盤もありますので、CD購入の際はご注意ください。
ジャニーヌ・ヤンセン
【収録曲】
ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』 op.8/1-4
ジャニーヌ・ヤンセン(ソロ・ヴァイオリン)
カンディダ・トンプソン(ヴァイオリン)
ヘンク・ルービング(ヴァイオリン)
ジュリアン・ラクリン(ヴィオラ)
マールテン・ヤンセン(チェロ)
ステイシー・ワットン(コントラバス)
エリザベス・ケニー(テオルボ)
ヤン・ヤンセン(オルガン&チェンバロ)
録音:2004年
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こちらはYouTube動画でもご紹介したジャニーヌ・ヤンセンの録音です。一般的には弦楽合奏による演奏機会の多いこの作品ですが、この録音では各パート1人が演奏する、より室内楽的な響きを楽しめる録音になっています。
ちなみに先ほどご紹介したイ・ムジチ合奏団の録音ではヴァイオリン6人、ヴィオラ、チェロ各2人、コントラバス、チェンバロ各1人の12人の編成を採用しています。
ジャニーヌ・ヤンセンの録音は編成だけでなく、演奏もより室内楽なアプローチで、瑞々しく凛と冴え渡ったアンサンブルを味わえるアルバムです。
通奏低音に加えられている「テオルボ」は、バロック期に使われたリュート族の撥弦楽器です。鍵盤楽器はオルガンとチェンバロが楽曲によって使い分けられています。
「Amazon Music Unlimited」でヴィヴァルディの「四季」を聴き比べ!
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※下記の検索結果は本記事の投稿日現在、「Amazon Music Unlimited」で「vivaldi four seasons」「ヴィヴァルディ 四季」「vivaldi op.8」などのキーワードで検索した例です。すべての録音を表示しているわけではありませんのでご了承ください。
「フェリックス・アーヨ:イ・ムジチ合奏団(1959年)」「ロベルト・ミケルッチ:イ・ムジチ合奏団(1969年)」「ピーナ・カルミレッリ:イ・ムジチ合奏団(1982年)」「クレーメル:アバド&ロンドン交響楽団」「スコットランド室内管」「ジャニーヌ・ヤンセン他」「クリスチャン・リ:メルボルン交響楽団員」「アンドリュー・パロット&タヴァナー・プレイヤーズ」「イツァーク・パールマン:ロンドン・フィル」「ミシェル・シュヴァルベ:カラヤン&ベルリン・フィル」「フランコ・グッリ:シャイー&ボローニャ市立歌劇場管」「フランチェスキーニ:ブリツィ&イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ」「アンネ=ゾフィー・ムター:トロンハイム・ソロイスツ」「アラン・ラヴディ:ネヴィル・マリナー&アカデミー室内管」「ウォーレン=グリーン:ロンドン室内管」「ズッカーマン:カナディアン・ナショナル・アーツ・センター管」「アイザック・スターン他:メータ&イスラエル・フィル」「マゼール&フランス国立管」「五嶋龍:シンフォニア・ヴァルソヴィア」「ニュー・フィルハーモニア管」「ムローヴァ:アバド&ヨーロッパ室内管」「ルッジェーロ・リッチ:ストラディバリウス室内管弦楽団」「ギル・シャハム:オルフェウス室内管」「アッカルド:イ・ソリスティ・ディ・ナポリ」「ビオンディ:エウローパ・ガランテ」「サイモン・スタンデイジ:トレヴァー・ピノック&イングリッシュ・コンサート」「クリストファー・ハイロンズ他:ホグウッド&エンシェント室内管」「カルミニョーラ:ソナトリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ」「徳永二男:NHK室内合奏団」「川久保賜紀:紀尾井シンフォニエッタ東京」「千住真理子:NHK交響楽団員」「浅井咲乃:延原武春&テレマン室内管」他
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「おすすめの名盤」のコーナーでご紹介したのはイ・ムジチ合奏団の1959年録音の盤でしたが、Amazon Music Unlimitedでは他の盤とも聴き比べすることが出来ます。
1969年のミケルッチ盤ではフェリックス・アーヨ盤の流麗な演奏とは対照的な颯爽とした明瞭な四季を楽しめます。
1982年のカルミレッリ盤もすっきりとした凛とした雰囲気の演奏で、同じイ・ムジチ合奏団の演奏でもそれぞれ違う味わいを楽しめます。
クリスチャン・リは中国系オーストラリア人のヴァイオリニストで、この録音はわずか13歳でメルボルン交響楽団のメンバーによる室内アンサンブルを弾き振りした衝撃のデビュー・アルバムです。
2018年のメニューイン国際コンクールでは10歳で史上最年少優勝を果たし、その時の『夏』の演奏で一躍有名になった今後の活躍が期待されるヴァイオリニストです。
ズービン・メータとイスラエル・フィルの録音はアイザック・スターン、ピンカス・ズッカーマン、シュロモ・ミンツ、イツァーク・パールマンと言う当時の楽壇を代表する錚々たるヴァイオリニストたちが一堂に会し、1曲ずつソロを務めると言うユニークなアルバムです。
四季の違いを味わうと共に、それぞれのヴァイオリニストたちの音色の違いを楽しめる面白さがあります。
「おすすめの名盤」のコーナーでは、古楽器アンサンブルによる録音もご紹介したかったのですが、個人的におすすめの「サイモン・スタンデイジ:トレヴァー・ピノック&イングリッシュ・コンサート」の録音は現在CDの入手が困難なようで、ご紹介出来ませんでした。
ピリオド奏法を研究する古楽器奏者たちに言わせれば「これこそがヴィヴァルディが生きていた時代の四季!」と言いたいところなのでしょうが、「イ・ムジチ」の演奏に慣れ親しんだ筆者の世代にとっては、かなりデフォルメされたクセの強い演奏も多いように感じ、少々違和感を感じると言うのが私の正直な感想です。
反面、古楽ファンに言わせれば、私のような感覚こそ時代錯誤も甚だしいのかも知れませんが、自分の好みにあった演奏を楽しむのがクラシック音楽の良い所のようにも思います。
個性的?独創的?な演奏の多い古楽器アンサンブルによる録音の中でも、かなり攻めた印象の強い演奏をお好みの方は「ビオンディ:エウローパ・ガランテ」あたりを聴いてみると良いでしょう。独創的な演奏にハマる方もいるかも知れませんね。
比較的オーソドックスな演奏をお好みの方は「サイモン・スタンデイジ:トレヴァー・ピノック&イングリッシュ・コンサート」を一度聴いてみて下さい。
いずれにしても「Amazon Music Umlimited」なら聴き放題なので、気軽に「四季」の聴き比べを楽しめるのでおすすめです。
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まとめ
ヴィヴァルディの「四季」は、彼が書いた数多くの協奏曲の中でも、「ソネット」と呼ばれるヨーロッパの伝統的な詩が添えられていると言う点で、他の協奏曲とは異なる特異な形式を有しています。
ヴィヴァルディが過ごした17世紀後半から18世紀前半のヴェネツィアの四季がどのようなものであるのかは、知る由もありませんが、彼が遺した美しい音楽の中から想像するのは容易です。
美しい小鳥たちの鳴き声、轟く雷鳴、激しい夏の嵐、秋の収穫の楽しいダンスの光景、そして凍てつく冬に吹きつける風・・・それらの光景が弦楽器が奏でる音楽で見事に再現され、添えられたソネットがその光景をさらに具現化してくれます。
映像などと言うメディアのない時代、ヴィヴァルディの音楽を聴いてイマジネーションを膨らませた当時の聴衆たちの目を見張るような姿が目に浮かぶようです。
クラシック初心者の方もバロック音楽を入門するのには打ってつけの作品です。
みなさんもぜひ、このヴィヴァルディの「四季」から聞こえてくる美しい自然の音に耳を傾けてみませんか?
最後までお読みいただきありがとうございます。こちらの作品もぜひ聴いてみてください!
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